多機能化と裾野の拡大を重視──成長する「EZナビウォーク」:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)
GPSを活用した、ケータイ地図・ナビゲーションサービスを黎明期から牽引してきたKDDIの「EZナビウォーク」。このサービスはKDDIがキャリアとして深く開発に関わり、市場の創出と成長に貢献してきた。EZナビウォークは今後どう進化していくのか。担当者に聞いた。
地図上に広告を表示する「ナビゲーションアド」も模索
携帯GPS市場は、現在のナビゲーション分野が主流であるが、中長期的な視野では“ローカル広告”のメディアとしても注目されている。ユーザーの位置情報が分かり、地図上に店舗や施設の広告を載せられる上に、店までの誘導までできる。スーパーのチラシや飲食店の広告などは、今は新聞の折り込み広告やフリーペーパーなどが主な露出先であるが、メディアとしての可能性や柔軟性はむしろ携帯GPS市場の方が大きいと言えるだろう。
EZナビウォークでもローカル広告への取り組みを始めており、2007年11月から「ナビゲーションアド(通称ナビアド)」という機能を用意している。
ナビアドのサービスでは、広告を地図上のアイコン表示やお勧め施設情報として掲載するほか、「出稿していただいた施設へのナビゲーションは、有料会員でなくても無料で利用できる」(幡氏)のが特徴だ。地図を見せるだけでなく、“お店まで案内する”ところまでできるのが、他の広告媒体にない特徴になっている。また、ユーザー側から見ても、ナビゲーション機能によって無料で「広告で見たお店まで連れて行ってもらえる」のはメリットだろう。
「ナビアドでは、地図上のアイコンも広告主のものに変えられます。(広告主の)ブランドで使っているアイコンを表示させると、かなりインパクトがありますよ。地図上のアイコンをクリックすれば、そのお店や施設の情報が見られます」(齋藤氏)
ナビアドはサービス開始前の昨年7月からキリンビールと実証実験を行っており、その際の写真を見ると、確かに地図表示アイコンのインパクトは大きい。そこから簡単な操作で店舗までのナビゲーションが行われるのも便利である。
「まだ新しい広告媒体であり、新しいサービスなので広告主への認知度が低いのが悩みの種なのですが、EZナビウォークの会員数はすでに100万人を突破していますし、広告を見せるだけでなくナビゲーションまでできるという部分に可能性があると思います。
また、ナビアドはすべてケータイだけで完結する必要もなくて、紙広告のQRコードをケータイで読み取って、そこからナビアドと連携するということもできます。この際も(ユーザーの)ナビゲーション利用料は無料になりますから、“お客様をお店まで案内する”という使い方はできます」(幡氏)
EZナビウォークユーザーの裾野を広げたい
EZナビウォークは着実にユーザー数を増やし、auを代表するサービスの1つにまで成長した。その上で、今年の目標はユーザーの裾野を拡大することだという。
「EZナビウォークは機能的にかなり成長しましたが、それをきちんとご理解いただけているお客様はまだ少数です。ですから、今年は(auの)3000万人のお客様に、さらにEZナビウォークを知っていただきたい。
加えて今年の重要な取り組みとなるのは、ユーザビリティ(使い勝手)の向上です。EZナビウォークは100万人以上のユーザーにご利用いただいていますので、お客様の声を聞きながら、地道に(UIの)改善をしていきます」(幡氏)
翻ってみれば、EZナビウォークの歴史は、先進的な取り組みを“地道に積み重ねる”ものだった。ナビタイムとともに改善と改良を繰り返した結果、使いやすく誠実なサービスに育ったのだ。
より多くの人が利用する携帯GPSナビゲーションサービスへ──。EZナビウォークの今後に期待である。
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