iPhoneの投入は「可能性を検討」、個人向けBlackBerryも「鋭意検討」――ドコモ株主総会
6月20日、NTTドコモが株主総会を開催した。同日をもって社長を退任する中村維夫社長が議長を務め、株主からの株価低迷対策やiPhone、BlackBerryなどの端末投入、企業価値向上のための具体的な施策などの質問に経営陣が答えた。
6月20日、NTTドコモが株主総会を開催した。議長を務めたのは、同日をもって社長を退任する中村維夫氏。株主からは、株価低迷のてこ入れ策やiPhone、BlackBerryなどの端末投入、企業価値向上のための具体的な施策などの説明を求める声が相次いだ。
企業価値を向上させる、新たな成長ドライバーは
長らく株価が低迷していることもあり、株主からは、てこ入れ策や企業価値の向上に関する具体的な施策について説明を求める声も相次いだ。
中村氏は株価低迷の要因について、(1)国内の発展性に対する危惧(2)キャリア間の厳しい競争や、番号ポータビリティに伴う料金の値下げなどによる財務体質に対する危惧 が影響を与えていると話す。こうした中で、いかに成長路線をとれるかが大きな課題であり、ブランド戦略も含めて経営の見直しを進めているとした。
同社副社長の平田正之氏は、今後の事業成長のカギとなるのは、通信とその周辺にある関連ビジネス、国内外に向けた新サービス、広告検索サービス、音楽・映像サービスであるという見方を示した。
また、2006年の400億円から2007年には800億円と倍増し、2008年には1000億円の収益を見込む国際サービスについては、3つの戦略で着実な成長を目指すとした。1つは、海外にそのまま持ち出して使える携帯サービスの拡充。年間のべ1800万人規模の渡航者向けだけでなく、年間700万人規模ともいわれる海外からの旅行者向けサービスも充実させる計画だ。2つ目は、海外での企業活動に役立つソリューションの提供。3つ目は、アジア各国キャリアとの協力関係の構築だ。
ドコモは経済交流が進んでいるアジアを軸に事業協力を推進しており、韓KTFや香港のHutchison Telephone Company、フィリピンのPhilippine Long Distance Telephone Company、バングラデシュのTM Internationalらに出資している。「これまでの経験やマネジメント力を生かしながら、海外キャリアにどう出資し、どう回収するかの戦略を立てていきたい」(平田氏)
iPhoneの投入、個人向けのBlackBerry販売は「検討中」
ドコモも販売交渉を進めていたAppleのiPhoneが、ソフトバンクモバイルから発売されると決まったことを受け、株主からは交渉が決裂した理由を知りたいという質問がとんだ。辻村氏は、iPhoneの魅力の1つとしてタッチパネルを採用したUIを挙げ、ドコモとしてすでに「PRADA Phone by LG」や「SH906i」といったタッチパネル対応の端末を投入していると説明。「(両端末の投入で)十分に市場のニーズに対応していけると考えており、(対応端末の数を)増やしていきたい」とした。iPhoneに関する交渉については、Appleとの秘密保持契約を交わしていることから、「その内容については話せない」としながらも、市場における動向については十分に注視し、「ドコモからの発売の可能性についても引き続き検討したい」と意欲を見せた。
また米国を中心に高い人気を誇り、日本でもドコモが法人向けに提供しているRIMのBlackBerryについては、ワールドワイドで1400万台が販売されていることを挙げ、「個人向けの販売についても鋭意検討したい」(ドコモ 山田隆持副社長)とした。
2段階のパケット定額は「検討課題」
今やケータイキャリア各社が導入し、加入者を伸ばしているパケット定額については、株主から現状の利用動向とそれによる収益や設備投資の規模、価格の水準に関する質問が挙がった。
ドコモ取締役の伊東則昭氏は現状のシェアについて、パケ・ホーダイの利用者は3月末で約1270万契約となり、FOMAユーザーの約31%が加入していると説明。価格については「月3900円で提供しており、上限枠はauやソフトバンクモバイルより安い」とし、他キャリアが導入している2段階のパケット定額プランについては「検討課題」(中村氏)というにとどめた。
設備投資は、音声に比べてパケットの利用が大きく伸びていることから、投資のかなりの部分をデータトラフィック対策に費やしているとし、今後はFOMAハイスピードやスーパー3Gに移行していく中で、トラフィックを吸収するという考えを示した。
また、2.5GHz帯を使ったWiMAXの免許を取得できなかったことについて辻村氏は、「他社が構築したWiMAXのネットワークをMVNOで使いながらサービスを提供する方法も考えられる」と話すとともに、ドコモが採用する通信方式の延長線上にあるスーパー3GやLTEといった、WiMAXに匹敵する高速通信技術が対抗策になるとし、サービスや設備の準備を進めるという。
中村氏から山田氏へ――新社長、誕生
なお、ドコモの中村氏は6月20日をもって取締役相談役に退き、新社長に同社副社長の山田隆持氏が就任した。社長に就任して以降、番号ポータビリティや料金競争の激化、携帯ビジネスのオープン化など、厳しい環境下で指揮を執ってきた中村氏は4年間を振り返って「(難しい課題に)全身全霊で取り組み、一定の道筋をつけた」とコメントした。次世代高速通信や次世代マルチメディア放送の導入など、技術・サービス面の大きな革新が始まる時期に指揮を執ることになる山田氏は「顧客の声、現場社員の声に耳を傾け、企業価値の向上に全力をつくす」と意欲を見せた。
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