「F906i」のセキュリティはどこまで強固なのか:ここまで個人情報を隠せる(2/2 ページ)
指紋認証で端末内データを保護できる、富士通の「F90xi」シリーズ。最新モデルの「F906i」はセキュリティ機能にさらに磨きがかかり、メールや着信などの情報を“隠していることすら隠せる”ようになった。
スケジュールのメンバーリストに登録されている場合にも、メンバーリスト一覧に表示されなくなる。アドレス帳のグループにシークレット属性を設定することも可能で、グループに属するデータにも反映される。普段からグループ機能を使っている場合には、シークレット属性のオン/オフを一括で適用できて便利だ。
メールはアドレス帳と連携するだけでなく、フォルダ単位でシークレット属性を設定し、フォルダ単位で保護することも可能。アドレス帳に登録していない相手からのメールを自動振り分けして保護したり、題名で自動振り分けを設定すれば、メーリングリスト(通常、題名に定型文字列が含まれる)のメールを保護することも可能。後者を活用すれば、送信相手が同じでもメーリングリストに投稿された受信メールのみ保護するといった使い方ができる。また事前に取り決めをしておき、題名に特定キーワードを含んだメールのみを保護するといった使い方もできる。
プライバシーモードを有効にした場合には、振り分け設定の操作時にも認証が求められ、保護したフォルダの存在を隠してくれる。ただし、一時解除機能と同様、プライバシーモードを利用していることが分かってしまうという弱点でもあるので、少々注意が必要かもしれない。
なお、アドレス帳やメールを「認証後に表示」に設定した場合、個別のデータやフォルダを保護するのではなく、アドレス帳、メール、各履歴全体にアクセスする前に認証が要求される。これは露骨に保護していることが分かってしまうので「非表示」を利用したほうがスマートだ。
音声着信、メール着信時の動作もさらに強化
F906iで大幅に強化されたのが、プライバシーモード有効時の音声着信、メール着信時の動作だ。F905iでは動作が決まっていたが、F906iでは動作を選べるようになった。音声着信は「指定電話帳非表示」に設定した場合、さらに細かい動作を選択できる。
上の表は、プライバシーモードを有効にした場合の音声着信時の動作で、「未登録番号として扱う」を選択するとF905iと同じ動作になる。音声着信を、より周囲に分かりにくくしたのが「サイレント着信」で、いずれの場合もサブディスプレイ、イルミネーション、バイブレータによる通知は無効になる。閉じた状態であれば、机の上に置きっぱなしにしても、音声着信があったことを悟られずにすむわけだ。「留守番電話に接続」に設定すれば、メインディスプレにも表示されなくなり、開いた状態でも通話が着信したことは全く分からない。
「表示通知する」は「サイレント着信」とまったく逆の位置付け。音声着信時は分かりやすく、電話帳の登録や設定そのままに通知を行うが履歴は保護される。“音声着信は逃したくないが履歴を他人に見られたくない”といった場合に便利に使える機能だ。
メール着信は「表示・通知する」「表示・通知しない」から選択可能。「表示・通知しない」がF905iと同じで、シークレット属性をオンにした電話帳データのメールアドレスからのメール受信、シークレット属性をオンにしたフォルダに自動振り分けされるメールの受信は通知されない。「表示・通知する」の場合には、通常通りの通知がある。どちらの設定でもメールの受信履歴や待受画面のメール未読通知には反映されない。
F906iでは「サイレント着信」が追加されるなど、“リアルタイムの音声着信すら、他人に知られない設定”も可能になったわけだが、本人がまったく把握できないのでは便利とはいえない。これははF905iと同様、待受画面のバッテリーアイコンを使った通知機能の「プライバシー新着通知」を利用することで解決できる。シークレット属性をオンにした電話帳の相手から着信があった場合、あらかじめ設定したバッテリーアイコンに切り替わる仕組み。このロジックを知っている人には着信したことが分かってしまうので、この機能はオフにも設定できる。
そしてさらなる完璧を目指したF906i
F906iのプライバシーモードは、かなり強固に個人情報を保護してくれるが、その反面、プライバシーモードを利用していることが分かると、疑われる可能性も高くなる。ビジネスに関する個人情報保護なら問題ないが、ほかの事情で使う人もいるだろう。プライバシーモードの有効/無効は、利便性を考慮して十字キー左の長押しに割り当てられているが、この操作では偶然、プライバシーモードを利用していることが分かってしまう可能性も否定できない。
そこでF906iでは指紋認証利用時に限り、認証画面が表示されないプライバシーモードの有効/無効の操作が選べるようになった。待受画面で「MULTI」→「カメラ」の順にキー操作すると指紋センサーが有効になり、登録した指で指紋認証すればいい。
重要なのは認証画面が表示されないことに加え、指紋認証に成功した場合にのみプライバシーモードが変更されたことを通知し、指紋認証に失敗してもなんら警告などは表示されないことだ。さらに十字キー左の長押しでの認証が無効になるので、プライバシーモードを利用していること自体が分かりにくくなる。
ほかにも、ライフスタイル機能を利用すれば、毎日、決まった曜日の特定の時間にプライバシーモードを有効にするといった設定も可能。平日のビジネスタイムに合わせて、また、プライベートタイムの開始に合わせてプライバシーモードを自動で有効にするといった設定も行える。
このように、F906iのセキュリティ機能は着実に進化している。リアルタイム着信時の通知の自由度を拡張することで、よりセキュアにもライトにもプライバシーモードを利用できるようになった点は評価に値する。
プライバシーモードの利用自体を悟られたくない場合の穴はいくつかあるものの、この点もF905iからは着実に進化している。F906iが現時点での“最強セキュリティケータイ”であることは、おそらく間違いないだろう。
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