インタビュー

“口うるさくもすばらしき先輩たち”に捧ぐ新スタンダード──「P706ie」開発陣に聞く「P706ie」(2/4 ページ)

らくらくホンシリーズとは少し異なる“使いやすさ”を目指すドコモの706ieシリーズ。らくらくホンと何が違うのか。急速に普及した携帯だからこそ生じてしまった“ニーズのすき間”とは何か。その開発の意図を「P706ie」開発チームに聞いた。

決して“ご老人用”でない──ユーザーすべてに便利な機能

── “しっかりトーク”や“ゆったりトーク”に類似する機能は、例えばらくらくホンシリーズにもありますが、こちらはどんな工夫があるのでしょうか。

大北氏 これらの機能はシニア向けだけかというと、決してそうではありません。例えば賑やかな街中で相手の声が聞こえにくく、こちらの声も相手に伝わりにくいという経験がおありだと思います。コンセプトは「どんなときでも話しやすく」です。

 しっかりトークは、賑やかな状況下においてその騒音の特性や音量に応じて受話音量を補正する機能です。騒音レベルにリニアに反応し、音量を逐次調整するのがポイントです。

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── なるほど。例えばガード下で、列車が通過している時は大きく、通り過ぎたら自動的に下げてくれるわけですね。

大北氏 はい。約1秒おきに調整されます。ノイズキャンセラはこの機種に初めて搭載する機能ではありませんが、この機能も重要です。マイクから入力された音を分析し、自分の発する声はそのまま、周囲の雑音だけを低減します。これで、自分の声を相手へ明瞭に伝えられます。

「しっかりトーク」と「ノイズキャンセラ」「改善型レシーバ」で、賑やかなところでも聞きやすく、話しやすくなる

大北氏 以下、萱森氏 ここで分析した雑音情報は、前述した“しっかりトーク”にも使います。送話と受話、両方の雑音状況を制御する仕組みです。この機能は標準で有効になっていますので、何か操作する必要もなく、特に意識せず使っていただけると思います。

相手の声がゆっくり聞こえるようになる「ゆったりトーク」の仕組み

大北氏 ゆったりトークは、会話の文節の合間に生じる無声部分を使って、声がゆっくり聞こえるようになる機能です。息継ぎなど、会話中に無声になる部分を圧縮し、その分、前節の言葉を伸ばす(ゆっくり聞こえるようになる)仕組みです。

 この機能は普段は無効になっておりまして、必要な時にキー操作([メニュー]キー)で有効になります。

 といいますのも、会話にはスピード感も重要ですし、仮に少し聞こえなかった部分があったとしても、前後の内容や感覚で相手が何を言っているのかだいたいは理解できますよね。日時や場所、伝達事項など「聞き逃せない」会話をするときや「あれ、少し聞こえにくいな」と感じたらすかさず有効にすれば安心、という感覚で使っていただければよいと思います。

── 従来の機種でも文字を大きく表示する「拡大もじ」が備わっていたと思いますが、何が違うのでしょうか。

大北氏 P706ieは、全てのメニュー階層とアドレス帳やメール入力、機能メニュー、ポップアップ画面などの主要画面も含めて「拡大もじ」になります。

UIデザイン担当の佐井章重氏 以下、佐井氏 “拡大もじ”は30×30ドットの大きい文字を基本にしています。ただ、大きくすればいいというものでもありません。

 例えば、文字は大きいが、変なところで文字列が改行されるとその内容を一瞬で視認できなります。これでは使いやすさにつながりません。そのため、縦倍とする箇所もいくつか設け、メニューの表現はほぼ同じだが、違和感なく大きい文字でも表示できるように全ての表示項目を一から見直しました。

 文字は大きく、一覧性よく、配色も理解しやすく見やすい。そうといっていかにも“ご老人向け”ではないので普段使いに使える。そんなメニューになっていると思います。

大北氏 ちなみに、ダイヤルキーに専用の[文字サイズ(兼マルチ)]キーを設けまして、ワンタッチ(長押し)で標準→拡大→特大→標準と一括変更できるようにしたのもポイントです。「あれ、少し見にくいな」と思ったときに、すぐパッと変えられるのが便利ですよ。

文字サイズ「標準」の場合
「拡大」の場合

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