デザインや世界観の“深化”が気になった1年:ITmediaスタッフが選ぶ、2008年の“注目ケータイ”(ライター石野編)
「ワンセグ」「HSDPA」「高画素カメラ」「タッチパネル」など、ケータイには次々と新機能が搭載されているが、ここ最近は目新しさがなくなってきたのも事実だ。そこで、2008年は端末の持つ世界観に注目した。
2008年は、機能面での“進化”よりも、端末の持つ世界観の“深化”が際立った1年だと感じている。その中から、筆者の琴線に触れた3台を、新しいものから順に選んだ。どれも今までのケータイとはひと味違う出来で、今後の端末を占う指標にもなるはずだ。
端末のデザインだけで十分魅力的な「Walkman Phone, Xmini」
インターネット接続機能に始まり、カメラ、音楽再生機能、ワンセグ、GPS、FeliCaが搭載されてから、ケータイのマルチメディア化が一気に進んだ。とはいえ、誰もがすべての機能を使いこなしているわけではないので、すべての機種が同じ方向に進んでしまっては少々味気ない。そんな中で登場したのが「Walkman Phone, Xmini」だ。
この機種にはカメラもGPSもなければ、ワンセグにも非対応。ディスプレイはわずか1.8インチのQVGA液晶だ。だが、足りない機能やスペックを羅列しなくても、端末のデザインだけで十分といえるほどの魅力を感じた。手のひらにすっぽり収まるサイズ感も、ほかの機種にはないオリジナリティといえる。
少数派かもしれないが、かつての「premini」ユーザーのように、「割り切ってでもクールな端末が欲しい」というニーズはまだまだ根強い。そんなユーザーの期待に応えたという意味で、この機種の動向に注目したい。
“iPhone以上”の使いやすさを実感した「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」
日本の多機能ケータイも、タッチパネル1つでガラッと印象が変わる――これを証明したことに「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」の価値があると思う。
「モバイルウィジェット」に対応する初号機という意味でも931SHには注目している。931SHは日本でしか販売していないため、ウィジェットストアのアプリはまだ少ないが、今後に期待できるサービスだ。
使いたい機能をワンタッチで待受画面に置ける「デスクトップショートカット」も便利だ。例えば、筆者が頻繁に利用する「Bluetoothのオン/オフ」も、ショートカットとして配置しておけば、画面を指で1回押すだけでよい。デスクトップショートカットに設置できる機能や設定が多く、カスタマイズの自由度も高い。「便利に使う」という点では、同じタッチ操作で話題をさらったiPhone 3G以上だと感じている。
さらに、タッチパネルの感度が驚くほどよい。インタフェースもiPhone 3Gをしっかり研究している印象だ。iPhone 3G発売からわずか数カ月で、ここまでキャッチアップしたシャープの技術力と開発力には素直に敬意を表したい。
ブランドコラボの底力を感じた“amadanaケータイ”「N705i」
NTTドコモの70xiシリーズは、正直あまりパッとしない印象だったが、705iシリーズから風向きが少し変わったように感じた。特に「N705i」はamadanaとのコラボレーションが功を奏し、非常にスタイリッシュな端末に仕上がった。売れ行きも好調だったようで、8月には質感やカラーを変えた「N706iII」が登場した。
この機種の魅力は、ほかにはないレトロフューチャーなデザインと、必要十分な機能にある。さらに、限定版としてamadanaショップでしか買えないbrownish woodを発売するなど、独自の世界観もたくみに演出した。機能による差別化が難しくなり、各社は“ライフスタイル”に合わせた端末を多数リリース。ドコモも2008年冬モデルから「PRIME」「STYLE」「SMART」「PRO」というシリーズに、ブランドを変更した。N705iはこうした潮流を先取りしたモデルだといえる。
この機種のように、コラボや限定版といった形で差別化を図る端末は、今後増えていくだろう。その意味で、N705iの成功には大きな意義があったと考えている。
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