KDDIが「au Starlink Direct」で新サービスを投入――NTTドコモ、ソフトバンクはどこまで本気で戦うつもりなのか:石川温のスマホ業界新聞
KDDIと沖縄セルラー電話が、au Starlink DirectをUQ mobileブランドの一部プランでも利用できるようにした上で、緊急通報を中継する「SOSセンター」を開設する。競合他社もStarlink Directを導入する中で、差別化を進めている。
KDDIは2026年4月23日、au Starlink Directに関する説明会を開催。この4月にソフトバンクとNTTドコモが相次いでStarlink Directを開始する中、さらなる差別化をアピールしていた。
au Starlink Direct SOSセンターの開設、海外ローミングの対象国の追加といった具合だ。
NTTドコモではahamo、ソフトバンクではワイモバイルでもStarlink Directが利用できるとあって、KDDIもUQモバイルにおいても手軽にStarlink Directが使えるようになった。
もはや各社とも有償オプションとしての提供は難しく、低廉なプランでも使えるようになってしまった。となると「中身で差別化」するしかないようだ。
KDDIにとってみれば、1年間、他社をリードしてきただけに「Starlinkといえばau」という認知を強固なものにしておきたいだろう。
一方で、NTTドコモやソフトバンクとしてみれば、他社対抗のためにStarlink Directに対応したものの、これ以上、深入りするのは悩ましいのではないか。そもそも衛星とスマホの直接通信がほとんど儲からないなか、海外ローミングやSOSセンターの開設など手間とコストを増やすのには相当、躊躇していそうだ。
今回のKDDIが行った説明会で、地味ながらも注目したのがStarlinkを閉域網でつなげるという法人向けサービスだ。Starlink Directではなく、専用のアンテナを使ったStarlinkになるが、官公庁や医療機関、金融機関など「衛星通信は使いたいが、インターネットには流したくない」という需要は結構、多そうだ。
今回のサービスを提供しようと思った場合、Starlinkの地上局からの専用回線を流用する必要がある。また、KDDIによればスペースXと「2024年から閉域ネットワークとStarlinkの直接接続に関する技術仕様の検討やグローバルな連携体制の構築を進めてきた」という。
専用アンテナによるStarlinkもKDDIがリードする一方、他社は「対抗上、用意してきた」という感が強い。
法人に向けた閉域網サービスは、KDDIがかなりリードを保てるのではないか。
NTTグループやソフトバンクは今年、HAPSを始めると宣言しているが、HAPSでここまで幅広いサービスのラインナップを揃えるのは難しいのではないか。
ソフトバンクとNTTドコモもStarlinkに本気にならないと、KDDIにリードを奪われ続けることになりはしないだろうか。
© DWANGO Co., Ltd.
関連記事
3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化
KDDIとSpaceXの衛星通信サービスで先行するauが新施策を発表した。ソフトバンクとドコモが追随する中、KDDIは救助要請を支援するSOSセンターやエリア拡大で対抗する。UQ mobileでの実質無料化も進め、運用実績とサービス面での差別化でリードを狙う。
「空が見えればつながる」安心を“カナダ”や“フィリピン”でも au Starlink Direct対象国、4カ国に拡大
KDDIと沖縄セルラー電話は2026年6月以降、衛星通信サービス「au Starlink Direct」の海外ローミング対象国を拡大する。現在の米国に加えてカナダやフィリピン、ニュージーランドを追加し、計4カ国で展開する予定だ。空が見える場所なら、現地の圏外エリアでも普段のスマートフォンでデータ通信や通話が可能になる。
KDDI、圏外エリアからの通報を“年中”可能に 「au Starlink Direct SOSセンター」開設で
KDDIは、衛星とスマートフォンが直接通信するサービスにおいて、圏外からのSOSを24時間体制で受信する専用センターを新設する。2026年5月下旬から運用を開始し、山間部や郊外の道路など電波の届かない場所での救助を可能にする。対応アプリを通じて情報を集約し、警察などの機関へ迅速に連携する体制だ。
UQ mobile、「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」加入ならau Starlink Directが無料に
KDDIと沖縄セルラー電話は、UQ mobileの特定プラン利用者に対し、衛星通信サービス「au Starlink Direct」を無料で提供すると発表した。2026年5月利用分から、月額料金の負担なしで衛星とスマートフォンの直接通信が可能になる。山間部や島しょ部などの圏外エリアでも、空が見える場所であれば連絡手段を確保できる。
選択肢が増えた「Starlink衛星とスマホの直接通信」 ドコモとauのサービスに違いはある?
スマートフォンと衛星を直接つなぐ通信サービスにおいて、先行するKDDIと後発のNTTドコモの戦略や機能の違いを詳しく解説する。世界初の機能を次々と実装し他社ユーザーにも広く開放するKDDIと、自社ユーザーへの還元や独自のエコシステム連携を重視するドコモの企業姿勢の違いを比較し、最新サービスの全貌を解説していく。
