“実はすごい”デジカメケータイ――「930SH」が折りたたみボディになった理由:開発陣に聞く「930SH」(2/2 ページ)
ソフトバンクモバイルが発売したシャープ製の「930SH」は、コンパクトデジカメ並みの800万画素CCDカメラを搭載した薄型軽量モデル。一見するとミドルクラスの折りたたみケータイだが、高性能カメラがさりげなく搭載されている。930SHならではのこだわりとは。なぜ折りたたみボディを採用したのか。シャープの開発陣に話を聞いた。
“幅48ミリ”へのこだわり
930SHでもう1つ注目したいのが“本体サイズ”だ。「デジカメを意識して買っていただくお客さんはもちろん、これから2年使うのに飽きない/持ち運びやすいデザインを求めるお客さんに選んでいただけるようなサイズ感に仕上げる」ために、厚さを約15.2ミリ、幅を約48ミリに抑えた。特にこだわったのが“幅”で、「48ミリはシャープのケータイの中では最も細い部類に入る」という。
2005年に発売された「703SH」は幅約47ミリだが、厚さが約23ミリあり、930SHよりも約8ミリ厚かった。スリムなワンセグケータイとして好評を博した「THE PREMIUM 820SH」と「THE PREMIUM 821SH」も、幅は49ミリだった。930SHの幅をここまで抑えたのは「本体を握りやすいよう、女性を意識したため」だという。
一方で、折りたたみ端末にフルワイドVGAサイズの3インチ液晶を搭載したのは初のことで、かなりの苦労があったようだ。「(折りたたみボディで幅50ミリの)824SHではワイドQVGAの2.8インチ液晶を搭載しましたが、液晶のサイズと解像度をアップさせて、なおかつ本体の幅を縮めるのはかなりハードルが高く、8Mカメラをこの中に入れることよりも難しいほどでした」(井之村氏)
光学ズーム復活の可能性も?
撮影機能以外にカメラの操作性も向上させてある。専用カメラキーの短押しでカメラを起動、長押しで「最後に撮影した写真」を閲覧でき、そこからデータフォルダにもアクセスできる。
「(長押し操作を)リスト表示にするか、最後の画像にするかという議論はありましたが、多くのデジカメが最後に撮影した画像をまず表示するので、この仕様にならいました」(井之村氏)
画像ビューアーは従来のモデルと同様で大きくは変わっていないが、モーションセンサーにより、縦向きで撮ると縦位置で、横向きで撮ると横位置できちんと保存される。
カメラのシャッターを押してから実際に撮影されるまでの「レリーズタイムラグ」は、今までのCMOS機に比べると約半分に短縮された。さらに撮影間隔時間も大幅に短縮。これまでは撮影後、保存されるのを待つ必要があったが、バックグラウンドに保存する機能を備えたことで、撮影後、すぐに次の撮影画面に移れるようになった。「デジカメと比べてケータイカメラが劣っていた部分を改善しました」(井之村氏)
このほか、撮影した画像を簡単にブログにアップロードできる「ブログツール」も採用した。「これまで、ケータイで撮った画像をブログにアップするには、ブラウザかメールを使っていましたが、これを1カ所にまとめることで、簡単にアップできるようにしました」(井之村氏)
シャープ製端末はこれまで、「V602SH」や「904SH」「910SH」など、光学ズームをカメラに採用したことでも注目を集めた。高感度の8M CCDカメラに光学ズームが加われば、さらにデジカメに迫る性能を実現できるだろう。サイズが大きくなるなどの課題はあるが、今後のモデルで光学ズームを採用する可能性はあるのだろうか。
「もちろん、何のしがらみもなければ、光学ズームも付けたいですよ。どの要素を優先するかは、今後もCCDカメラ対応機を作る中で考えていきたいです。決して光学ズームを排しているわけではありません」と井之村氏。市場のトレンドが合致すれば、光学ズームが復活する可能性もありそうだ。シャープが本気で取り組むカメラ機能のさらなる進化に期待したい。
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