「楽天モバイルWiFiスポット」を試してみた 屋内通信の不満解消へ期待も「接続性」に課題
楽天モバイルが提供するWi-Fiスポットの接続性と通信速度を検証した。専用の目印がない店舗内を手探りで探し、条件を満たした端末であれば高速な通信を確認できた。しかし接続の不安定さや動作の課題もあり、今後のインフラ改善に期待がかかる。
楽天モバイルが、公衆Wi-Fiサービス「楽天モバイルWiFiスポット」を6月19日から順次提供している。
同社が公衆Wi-Fiサービスを提供する背景には、動画視聴やSNS利用の急速な拡大に伴うトラフィックの急増がある。しかしそれ以上に、ネットワークの整備が追い付いていない現状がみてとれる。実際、SNSでは、屋内や地下での圏外や通信が遅いといった不満の声が絶えない。
そうしたユーザーの切実な不満を少しでも解消し、通信の負荷を分散する目的で導入されたのが本サービスとなる。
6月19日時点における楽天モバイルWiFiスポットの提供エリアは次の通りだ。
- 群馬県
- イオンモール太田
- 千葉県
- アトレ新浦安
- イオンモール木更津
- イオンモール幕張新都心 A棟
- イオンモール幕張新都心 B棟
- イオンモール幕張新都心 C棟
- イオンモール幕張新都心 E棟
- 東京都
- アトレ吉祥寺
- アトレ大井町
- イオンモールむさし村山
- 神奈川県
- アトレ川崎
果たしてこれは、楽天モバイルのユーザーにとっての通信のオアシスとなるのか。提供エリアのアトレ川崎へ足を運び、徹底検証を行った。
目印なしの手探り状態と初回接続のステップ
現地に到着してまず直面したのは、どこで使えるのか全く分からないという問題だった。事前に楽天モバイル広報へ取材したところ、専用のポスターやステッカーなどの目印は一切用意していないとの回答を得ており、まさに宝探しのような状況だった。
平日15〜16時台にかけて行った検証では、まずAppleが国内で販売しているSIMフリー版の「iPhone Air」を使用し、館内を歩き回ってエレベーター付近でようやくSSIDへの接続に成功した。Wi-Fiの項目を選択して機能をオンにし、ネットワーク一覧にSSIDのRakuten_Mobileが表示されたら、それをタップして接続を開始する。
Rakuten_Mobileをタップした後に表示されるログイン画面へと進み、利用規約を確認した上で規約に同意して利用するをタップした。初回接続時にはこの手順を踏むことで接続が可能となる。
しかし、数分後には通信が途切れてしまい使い物にならなかったため、端末をau向け「Galaxy Z Fold7」に変更して試してみた。
4G回線よりも高速だが、数分で切断されるトラブルも
Galaxy Z Fold7では無事に接続でき、Webブラウジングが利用可能になった。YouTube動画も再生できた。
ここで、Opensignalアプリで通信速度のテストを3回実施した。いずれも4G回線での接続だ。結果は、1回目が下り7.60Mbps・上り21.2Mbps、2回目が下り7.48Mbps・上り24.8Mbps、3回目が下り6.58Mbps・上り25.2Mbpsだった。3回の平均値は下りが7.22Mbps、上りが23.73Mbpsとなり、安定した上り速度を記録した。
次に、4G回線から楽天モバイルWiFiスポットの回線に切り替え、Opensignalアプリを利用して3回速度テストを実施。1回目は下り97.7Mbps、上り50.6Mbps。2回目は下り91.3Mbps、上り74.8Mbps。3回目は下り85.5Mbps、上り54.3Mbpsだった。これら3回のテストの平均値を算出すると、下りは約91.5Mbps、上りは約59.9Mbpsとなった。いずれも4G回線よりも高速だ。
しかし、やはり数分後には接続が途切れてしまったため、長時間の視聴には向かない。さらに端末はそのままでエレベーター付近からほど近い店舗へと場所を変えてみたが、ここでも数分後に通信が途切れる現象が頻発した。
速度自体はやや出ているタイミングもあったが、いざレジでの決済時に楽天ペイを使おうとすると、アプリ起動時のロゴが表示されっぱなしになり、肝心のバーコード表示画面へ遷移しない。後ろに並んでいた人の視線が気になり、非常に焦る状況となってしまった。
対応機種で使えず、非対応機種で使えた不可解な現象
このWi-Fiスポットを利用するためには、いくつかの条件が存在する。楽天モバイル広報によると、他キャリア販売の端末やSIMフリーモデルであっても、楽天SIMが挿入されていれば基本的には利用できる。
OSの条件として、iPhoneはiOS 26.4以降、AndroidはAndroid 11以降かつGoogle Wi-Fi Provisioner搭載という指定がある。楽天モバイル公式サイトで公表されている対応製品リストを確認すると、今回2度目の検証で使用したGalaxy Z Fold7はそのリストに含まれていなかった。本来は対応しているiPhone Airでほぼ使えず、非対応のGalaxy Z Fold7で使用できたので、対応機種の検証は厳密に行ってほしいところだ。
つながりにくいモバイル回線を補完するために導入されたはずのWi-Fiスポットだが、肝心の接続が不安定では本末転倒だ。今回の検証では、満足かつ納得のいく結果を得ることはできなかった。
とはいえ、条件を満たした端末で安定してつながる場所を見つけることができれば、データ消費なしで高速通信が使える利点は大きい。現時点では手放しで褒められる状況ではないが、このインフラ整備の取り組み自体は評価したい。
機会があれば、対応端末リストにあるスマートフォンを用意し、別の場所でも再度試してみたいと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
楽天モバイルが「WiFiスポット」開始 ローミング終了で「つながらない」ユーザー救済か
楽天モバイルは都心部などの通信不満を解消するため契約者向けに公衆Wi-Fiサービスの提供を開始した。これはかつてソフトバンクが導入して通信環境の危機を乗り越えた戦略と非常に似ている。通信品質をどこまで改善できるか注目される。
楽天モバイルのauローミングエリア“縮小” 8割超が電波改善を実感も、なお残る「つながらない」の声
KDDIは楽天モバイル向けローミングサービス提供エリアを更新し、都市部を中心にエリアを順次縮小している。松田社長は自社網のトラフィック増加を理由に挙げ、楽天モバイルも自前エリア構築を進める。楽天モバイルはユーザーからの要望に迅速に対応し、電波改善を実感する声も増えている。
楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に
楽天モバイルは契約数1000万を突破し、三木谷氏は次なる目標として「早期に2000万」を掲げた。 ユーザー急増とデータ無制限プランにより一部で品質が低下しており、5G導入や地下鉄の帯域拡大を急ぐ。 2026年には5G SAの導入やKDDIローミングの終了を控え、通信品質とエリア維持の両立が急務だ。
楽天モバイルのネットワーク改善戦略 都内地下鉄は7月に対策完了へ、「つながりやすさでもNo.1を目指す」と矢澤社長
楽天モバイルが2月2日、「つながりやすさ強化宣言2026」と題して、ネットワーク改善の見通しについて説明した。繁華街や混雑する場所では5G基地局を整備してトラフィックを分散している。都内の地下鉄は、2026年7月に電波対策が完了する見通しだ。
楽天モバイルの通信品質を意識? KDDIのpovoは「通信不安の声を拾う」戦略 “意味深”なメッセージの意味
KDDI Digital Life社長がpovo説明会で意味深なプロモーションの真意を語った。他社の通信不安による不満がpovoへの加入増という追い風になっていると明言した。基本料0円から維持できる強みを生かし、副回線からメイン回線へと誘導する戦略だ。






