「ぜひ検証して」 電波改善成果に自信を見せるソフトバンク
「少なくても、圧倒的に負けているという状態は脱したようだ」――ソフトバンクの孫社長が、決算会見で同社の電波改善の成果をアピール。速度調査の結果などを紹介し、“速度”と“接続率”で他社との大きな差は無くなっているとの見方を示した。
「少なくても、圧倒的に負けているという状態は脱したようだ」――ソフトバンクが1月31日に行った決算会見で、同社の孫正義社長がネットワーク品質の改善を語った。過去のネットワーク品質が他社に劣っていたことを認めつつ、基地局の増設やプラチナバンドと呼ばれる900MHz帯の電波を獲得したことによって、状況は大きく変わったと説明。速度計測アプリの提供会社が発表した全国のデータ通信速度比較結果でソフトバンクが他社より優勢だったことを紹介したほか、電話がつながる割合やデータ通信がタイムアウトしない割合なども、他社に拮抗するレベルに改善されているとした。
あらゆる調査機関に「ぜひ検証していただきたい」
「ソフトバンクは電波がつながらない」――NTTドコモやKDDIに比べてソフトバンクのネットワーク品質が劣っているというイメージを持つユーザーは多い。こうした中でソフトバンクは2010年3月、「電波改善宣言」を発表。傘下となったウィルコムの基地局ロケーションなども生かしつつ基地局を増やしてきた。
また、2012年7月からは、遠くまで電波が届きやすいとされるプラチナバンドこと900MHz帯でのサービスをスタートした。これまで3キャリアの中でプラチナバンドを唯一持っていなかったソフトバンクは、悲願の電波獲得で更なる電波改善と“つながらないソフトバンク”の汚名返上に躍起になっている。900MHz帯の基地局数は1月に1万6000局を突破。計画では3月の目標だったところを、2カ月前倒しで達成した。今後も、総務省への申請計画を上回るペースでプラチナバンド基地局の設置を進めていく考えだという。
孫社長はこうした電波改善の成果として、ブロードバンド情報サイト「RBB TODAY」が1月23日に発表したデータ通信速度の調査結果を紹介した。スマートフォン向け速度計測アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」のユーザー計測結果を10~12月の期間に集計して導きだしたもので、3キャリアの全国の速度平均でソフトバンクが最も高速な結果だったことなどをアピールした。
また、調査会社のイプソスが了承を得たユーザーに対して行っている“音声接続率”調査の結果も紹介。同調査では、各キャリアのスマートフォンユーザーに月間合計13万件の発信を行って接続率を算出しているという。その結果、プラチナバンドサービス開始直前の7月24日では全国平均で97.3%だったソフトバンク端末の接続率が、1月29日には98.4%にまで改善されたと孫社長は説明する。加えて、同調査ではソフトバンクが5カ月連続でNTTドコモの接続率を上回っているとも。「一時的かもしれない、錯覚、調査の失敗かもしれない」と前置きした上で、少なくても“圧倒的最下位”という状況ではないということを強調した。
「北海道や九州や四国では調査結果で(他社に)まだ負けている。しかし東名阪では直近の結果だと1位。これはみなさんの想像の外側の結果だろう。Twitterでは『御託はいいからつなげ』『ソフトバンクは打線はつながるが携帯がつながらない』と言われたが、少なくても、圧倒的に負けているという状態は脱したようだ」
また、グループ会社のヤフーが提供する「防災速報」など各種アプリのユーザー通信ログを根拠にデータ通信の接続率を算出。データ収集に了承したユーザーの端末約2万8000台(ドコモ1万5000台/ソフトバンク8000台/au5000台)から30分ごとにごく少量のパケットを飛ばし、10秒以内に送信できれば接続できたとカウントするというもので、月間3000万件規模のデータを収集した結果、ソフトバンクがドコモやauを上回る97.3%の接続率を記録した。「圏内でも通信がタイムアウトする“パケ詰まり”という現象が最近話題になっている。データ通信の接続率も、重要な指標となっている」
こうした接続率の検証結果に関して孫社長は、「皆さんからすると『本当かよ』『検証しなきゃ』という結果だろう」と話す一方、「あらゆる調査会社、いろんな雑誌、ぜひ検証していただきたい。我々の勘違いであればいち早く我々も知りたいし、さらに改善したい」と語り、改善成果への自信を見せた。
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