KDDI、NTTの光回線卸売りで総務省に要望書 「NTTの実質的な再統合・一体化につながる」
NTT東西の光回線卸売りに対し、KDDIが「厳正な検証」求める要望書を総務省に提出した。
KDDIは6月10日、NTT東西地域会社が光回線のサービス卸事業を始める計画について、「これまで機能してきた競争環境を阻害しないか厳正に検証」し、十分な検討を行うよう求める要望書を総務省に提出した。
NTT東西地域会社は10月以降、光回線の卸売りを開始する計画。携帯電話のMVNOと同様、通信設備を持たない事業者がネットワークを借りる「FVNO」(仮想固定通信事業者)として自社ブランドでサービス展開することが可能で、NTTドコモがFVNOとして固定ネットワークを借り、携帯とセットにしたセット割を展開することも可能になる。
KDDIは要望書で、「NTT東西が光アクセスのサービス卸をNTTドコモやNTTコミュニケーションズなどのグループ会社に対して提供しつつ、グループ連携を強化すれば、これまでの分離・分割の趣旨を蔑ろにすることになる」と懸念を示し、特に営業機能の統合が進めば「NTTグループが保有する1億3000万件を超える巨大な顧客基盤を共用して市場を囲い込むことが可能となり、競争が後退することは避けられない」と主張。競争環境の後退により、2020年代に向けたITインフラの高度化や低廉化が困難になるとしている。
KDDIはNTT東西のサービス卸について「設備競争に重大な悪影響を及ぼし、巨大な特殊法人であるNTTの実質的な再統合・一体化につながる点で大きな問題がある」と批判。総務省に対し厳正な検証を求め、禁止行為規制のあり方を含めた検討を十分に行った上で必要な制度的措置を講じるよう要望している。
NTT東西のサービス卸に対しては、CATV事業者らも料金を認可制とするなどの制度的措置を講じるよう求める要望書を提出している。
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