ソシャゲに偏見を持つ私が1日4時間プレイするほど熱中した「Fate/Grand Order」について(3/3 ページ)
FGOの特質性
そう、このゲームがソーシャルゲームの中でも異質なのはユーザーの現実時間とゲーム内の時間がリンクしているということと、2016年内に物語が完結するという明確な「終わり」が設定されていることだった。
FateのIPを切り売りするガチャゲーなのでは、という自分の先入観がどうやら間違っていたと分かった瞬間だった。そうは言ってもやってみなければ分からない。いくらストーリーがゲームの核だと知っても、例えばゲームシステム的に課金しなければ途中から先に進めない仕様かもしれない。
そのような懸念も依然としてあったが、やはり食わず嫌いはよろしくないし、第1部の物語をクリアした友人たちから「面白いからやってみな」と肩を押されたのもあって私もついにFGOを始めてみた。
やってみて分かったこと
変な寄り道はせずに真っすぐストーリーを進めたが、バトル時間も含んでいるとはいえ、クリアまでに150時間かかったことを考えると「このゲームの核はストーリーである」というにふさわしいテキスト量であるといえるのではないだろうか(Fate/stay nightの標準的なクリア時間は60時間とされている)。
他にもやってみて分かったことは、フレンドはパーティにフレンドのサーヴァントを1体呼べるくらいでコミュニケーション要素はなく、ランキング制度もないということだ。
特にランキングのようなユーザーどうしで競争する要素がないのは正しいと感じた。リズムゲームなどユーザーの技術が得点になるゲームではしばしばランキングが実装されて「上位1万人には限定アイテムをプレゼント」など上位者のみが得られるアイテムを作って競争を煽るが、この形式は自分のペースでゲームを楽しめなくなることがあるので、疲れて離れていくユーザーも出てくる(私だ)。
その点、FGOはガチャこそあれ、他人の進捗を気にせずに自分のペースでストーリーを進めることに集中できた。
ただ、これは触れておかないといけないのだが、ガチャはやった。今のところ計1万円ほど課金した。「お前あれだけ射幸心が、価値観がと言っていたくせに」と思われるかもしれないが、このゲームの核がガチャではなくストーリーである以上、ガチャはあくまでも付加要素だ。確かにガチャによって強いサーヴァントを引いたのはゲームを進めるのに役立ったが、彼らがいなくてもストーリーは進められるし、彼らがいても「令呪」や「聖晶石」(復活アイテム、どちらも時間経過やログインボーナス、クエストクリアで手に入る)で復活しないとどうしようもない局面もある。
強いサーヴァントをガチャで引くことはこのゲームの楽しみの1つではあっても、主たるストーリーでの比重は高くないということを強調しておきたい。
第1部を越えて
2017年1月1日からFGOを始めたので、それ以前からプレイしていたユーザーとは違って、2016年12月31日までに人理を修復するというリアルタイムにリンクした遊び方ができなかったのは今更ながら残念に思うところだが、それでも150時間という長時間プレイの末のクリアは買い切り型フルプライスのゲームと同じかそれ以上の満足感だった。
現在は第2部への準備期間で、2月24日からは第2部へとつながる1.5部の配信が始まっている。
私は現在、配信された1.5部(の第1章)をクリアして続きを心待ちにしているのだが、1つ懸念がある。ソーシャルゲームはいつか終わる。このゲームはどんな終わり方をするのだろう、と。
述べたようにこのゲームの核はストーリーだ。ストーリーには始まりがあって終わりがある。人気な漫画がきちんと練られた構成で最終回を迎えるように、あるいは不人気な漫画が打ち切りで終わるように、FGOもどちらかの形で終わりを迎えるのではないかと思う。
願わくは、よくある不人気なソシャゲのような運営打ち切りではなく、大団円を迎えた後の区切りとしての終わりが来てほしいものだ。
ソシャゲの在り方
このコラムで私は意味の変遷を踏まえた上でFGOを「ソーシャルゲーム」と呼んだが、FGOは「ソーシャルゲーム」の形について自分に認識を新たにさせたように思う。
FGOは「基本無料」「ガチャ課金」「スタミナ制」という要素こそあれど、「対人コミュニケーション」「ランキング」という特にソーシャルな要素を省いていることから、単純にスマホ向けオンラインRPGといったほうが的確なのだ(現にFGO公式では「ジャンル:FateRPG」としている)。
コミュニケーションやランキングから射幸心を煽ってガチャを核としていた一時期のソシャゲから、今後はFGOのようなあまり他人を気にしなくていい、ソーシャル成分がおとなしめなソシャゲが増えてくるのかもしれない(既にそうかもしれない)。
私の文でFGOの魅力の全てを語り尽くせたとは到底考えていないが、一般に想像するソシャゲとは少し違う作品だということは伝えられたのではないかと思う。
もしも興味を持っていただけたなら、FGOの世界に一歩踏み出してはいかがだろうか。なに、課金しない限りは無料で遊べるさ!
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