「Windows on Snapdragon」正式ローンチ、ASUSとHPが対応製品を発表 Snapdragon 845も披露:Snapdragon Tech Summit 2017(1/3 ページ)
Qualcommが「Windows on Snapdragon」の正式ローンチを発表。ASUS、HP、Lenovoの3社がパートナーとして対応製品を投入する。次期プロセッサの「Snapdragon 845」も披露した。
米Qualcommは12月5日(米国時間)、米ハワイ州マウイ島で開催している「Snapdragon Tech Summit 2017」において「Windows on Snapdragon」の正式ローンチと、次期フラグシッププロセッサの「Snapdragon 845」を発表した。同イベントには関連パートナーやOEM各社が登場し、間もなく市場に投入される最新製品をアピールしている。
1年の準備期間を経て「Windows on Snapdragon」がついに登場
デビュー10年を迎えるSnapdragonは蓄積された通信技術をもとにスマートフォンやタブレットで一定の成功を収めることができたが、Qualcommではこのプロセッサを使った次なる成長機会をうかがっているのは、10月に開催された「Qualcomm 4G/5G Summit」でも紹介した通りだ。
4つの新しい重点分野の1つである「モバイルPC」のカテゴリーは、現在Intelが圧倒的シェアを誇るPCプロセッサとの競合となる。パートナー企業は当然ながらWindows OSを擁するMicrosoftということになるが、すでに終息しつつあるWindows 10 Mobile、大きなチャレンジとなるデータセンター向けプロセッサ「Centriq 2400」、そして今回の「Windows on Snapdragon(WoS)」が続く形となる。
Qualcommにとっては新分野への挑戦となるWindows on Snapdragonの概要を説明する、米Qualcomm Technologies EVP兼Qualcomm CDMA Technologiesプレジデント Cristiano Amon氏
WoSに関する取り組みはちょうど1年前にさかのぼる。2016年12月初旬に中国の深センで開催されたWinHEC Shenzhenにおいて、両社はSnapdragon 835を搭載した「WoS」の最初のコンセプトを発表した。「x86プロセッサ向けに記述されたアプリケーションであってもエミュレーションを使ってARMプロセッサであるSnapdragon上で実行できる」というもので、フル機能に対応したARM版Windows 10を搭載したPCを2017年第4四半期中に投入すると表明していた。
それから半年後の2017年6月には、台湾の台北市で開催されたCOMPUTEX TAIPEIでMicrosoftが「Always Connected PC」構想を発表し、「eSIM」を組み合わせた「どこでも手軽にインターネット接続が楽しめるPC」をうたっている。特に、WoSとして登場するデバイスは全て「Always Connected PC」ということが明言され、実際のパフォーマンスと合わせてレファレンスデザイン上でのデモが報道陣に披露されている。
Officeなどの一般的なアプリケーションの動作は全く問題なく、その点で不満のあった以前のARM版PCである「Surface RT」とは違って“使える”点があらためて強調されていた。
そして今回、満を持してのWoSの正式ローンチとなった。基調講演のステージには米MicrosoftでWindows&デバイス部門EVPのTerry Myerson氏が招かれ、真のモバイルPCがもたらす変化について説明した。WoSが「2~3日充電しなくても利用が可能」という驚異的なバッテリー駆動時間を実現していることは以前にも説明されていた。
Myerson氏は「Week of Battery Life(1週間のバッテリー駆動時間)」と表現しており、従来までの「充電なしで1日フルに使える」という持続時間をはるかに上回ることをアピールしている。米Qualcomm Technologies EVP兼Qualcomm CDMA Technologiesプレジデント Cristiano Amon氏は、携帯ネットワークによる常時接続がもたらすメリット、「従来(PC)製品の5倍以上」というスマートフォン並みの起動時間といった特徴が、新しいPCの世界を実現すると説明する。
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