「従業員満足度」「シナジー」「外国人スタッフ」 携帯ショップで業績を上げる工夫:ワイヤレスジャパン 2018(3/3 ページ)
「ワイヤレスジャパン2018」で「携帯電話販売代理店向けビジネスセミナー」が開催。近年、さまざまな業界で人手不足が問題視されているが、携帯電話販売代理店も例外ではない。どのように優秀な人材を確保して業績を上げているのだろうか。
優秀な外国人スタッフを採用
3社目は、愛知県、岐阜県でauショップ24店舗を運営する光通信システムの事例だ。光通信システムの春日井修社長は「外国籍の社員大活躍!!」というタイトルで講演し、外国人スタッフを採用するようになった背景と取り組みを紹介した。
光通信システムのショップは、全スタッフ255人中、外国人スタッフが61人。外国人スタッフ比率が約24%と高い会社だ。光通信システムがショップ展開している東海地区は、トヨタをはじめ製造業で働く人たちが多く、ショップスタッフを集めるのが難しい地域だという。特に景気がいいときほど集まらない。「どうしたらいいか必死に考えた」結果、外国人の採用を決心した。
現在は、主にハローワークの無料セミナーに参加して外国人スタッフの採用を行っている。年々人数を増やし、2018年5月1日時点で8か国61人の外国人スタッフが働いている。一番多い国籍は中国、次がブラジルだ。
採用時には「通訳&販売職」で募集する。通訳を募集することが重要で、将来、日本語を生かした仕事に就くことを目指している外国人が応募してくる。しかし、重視するのは「接客ができるかどうか」。日常的な会話ができるかどうかを、ペーパーテストの他、1時間程度の面接で会話しながら確認していく。
外国人スタッフは定着率が非常に高いという利点がある。仕事を辞めないのは、日本で就職したい、日本が好きという気持ちがあることはもちろんだが、「仕事がなくなって就労ビザが取得できないと、帰国しなくてはいけないという危機感がある」からだろうと春日井氏はみている。辞めた人もいたが、仕事が嫌になったのではなく、日本語の理解力不足によって社員とうまくコミュニケーションできなかったためだった。
また、外国人スタッフを採用後、外国人のお客さんもたくさん来店するようになった。「口コミが広がって、その外国人スタッフがいるときを狙って、遠くからも来店してくれる」(春日井氏)。日本人のお客さんも、一生懸命説明する姿勢に好感を持ってくれる人が多いという。実際、外国人スタッフの年間成績は日本人スタッフに引けを取らないどころか、むしろ成績がいい人もいる。
なお、外国籍スタッフは就労ビザを取得する必要があるので、そのための必要書類作成を手伝っている。あまり見慣れない書類で最初は戸惑ったが、「一度やればあとは同じ」なので負担にならない。また、母国に帰省できるように、長期休暇を取りやすい環境を整えているという。もちろん、日本人スタッフも同じ恩恵を受けられる。
春日井氏は、外国籍スタッフが増える傾向は「止まらない」と見ている。そして、それをネガティブには捉えていない。「外国人スタッフは真面目で一生懸命、誠意をもってやってくれる。成績も優秀」と、積極的な採用を呼びかけた。
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