「P20」シリーズでキャリア/SIMフリー市場を攻めるHuawei 呉波氏に聞く、夏商戦の意気込み:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/3 ページ)
SIMフリー市場を切り開いてきたHuaweiだが、2018年は大手キャリアへの進出を本格化させている。この夏に、3キャリアから同社のスマートフォンが発売された。ファーウェイ・ジャパンで、デバイス部門のプレジデントを務める呉波氏に夏商戦の意気込みを聞いた。
SIMフリー市場を切り開いてきたHuaweiだが、2018年は大手キャリアへの進出を本格化させている。春商戦にKDDIから発売された「HUAWEI nova 2」を皮切りに、ドコモからはフラグシップモデルの「HUAWEI P20 Pro」が発売される。しかも、P20 Proはドコモ独占になり、大きな話題を集めた。夏モデルでは、他にもKDDIが「HUAWEI P20 lite」を、ソフトバンクが「HUAWEI Mate 10 Pro」や「HUAWEI nova lite 2」を取り扱うなど、大手キャリアのメインブランドから、Huaweiのスマートフォンが続々と発売されている。
一方で、SIMフリー市場では、P20 Proの兄弟機にあたる「HUAWEI P20」を発売。大ヒットモデルとなった「HUAWEI P10 lite」の後継機にあたるP20 liteも、auからだけでなく、SIMロックフリー端末としても発売する。キャリアモデルとSIMロックフリーモデルの“両翼”がそろった格好で、ますます勢いに乗るHuawei。そのHuaweiの日本法人であるファーウェイ・ジャパンで、デバイス部門のプレジデントを務める呉波氏が、夏商戦に向けた意気込みや、各端末を発売して以降の手応えを語った。
販売台数は2017年と比べて4~5倍伸びている
―― P20 Pro、P20、P20 liteとP20シリーズが6月15日に一斉に発売になりました。反響はいかがでしたか。
呉氏 私が口で申し上げるよりも、(店頭の様子を)ご覧になっていただいた方が早いと思います。P20シリーズ3モデルは、キャリア、MVNO、家電量販店、Eコマースと、4つの販路で順調に販売を伸ばしています。特に先週(発売日の6月15日とその週末)はリアル店舗に行くと、Huaweiが高い露出だったことが分かります。それも特定の店舗だけでなく、日本全国津々浦々そういう展示がされていました。
週末に東京の20店舗を回って写真をまとめてみましたが、屋外広告、店内の展示や器具、キャリアコーナーに至るまで、どこを見てもP20シリーズが露出していました。
中でも、秋葉原のヨドバシカメラには、面で弊社のスマートフォンを販売していただけていることがよく分かります。ドコモコーナーにはP20 Pro専用の器具があるのですが、あまりに質問に来るお客さまが多かったので、カウンターの方が拡声器をもって後ろから説明していました。ドコモコーナーだけでなく、Y!mobileのコーナーも拡声器を使って紹介されていました。お客さんが多かったので、店員1人では足りなかったのでしょう。
MVNOとEコマースについては、サイトを見ると真っ先にP20が目に飛び込んできました。楽天、OCN、Nifty、BIGLOBE、DMMに、Amazonもそうです。販路を問わず、どこも面プッシュで売っていただけたということが分かりると思います。
BCNでも最新データが発表されましたが、4位、5位、10位に弊社のスマートフォンがランクインしました。トップ10のランキングに弊社のスマートフォンが3機種入っているのです。価格.comでの人気ランキングでは、トップ3が全てHuaweiの端末になりました。ドコモのスマートフォンの中では1位、auでも1位で、Y!mobileでは3位です。もちろん、SIMフリーでの1位もHuaweiです。全体で見ても、キャリア別に見ても、弊社のスマートフォンが上位に入っている状況になりました。
価格.comでは消費者がHuaweiのことを調べますが、実際に買った方も感想を投稿しています。そういったものは、全て読ませていただきました。
―― 反響は大きかったようですが、売れ行きにも反映されているのでしょうか。
呉氏 6月11日に発表、15日に発売しましたが、それ以降の販売状況を見てみると、昨年(2017年)と比べて、4~5倍ぐらいに伸びています。
―― 何が大きかったのでしょうか。
呉氏 発売に向けた計画をきちんと立て、15日に全ての販路で一気に発売したのが大きかったと思います。5月にキャリアの発表会が行われた後、Googleのトレンドにも注目していましたが、その発表会をきっかけに検索する方も多かったですね。
3つ目の要因としては、業界において、キャリアも家電量販店もMVNOも、自信をもってHuaweiのスマートフォンを販売していただけるようになったことが挙げられます。興味深い数字ですが、お買い上げいただいている消費者の中で、以前Huaweiのスマートフォンを使ったことがある人の割合が大きくなっています。これは、1回使って、次も使おうと思っていただけたということです。
2番目に多いのは、もともとA社(Appleを指していると思われる)のスマートフォンを使っていて、Huaweiにシフトしてきた方です。この2つを合計すると、全体の80~90%を占めています。
―― ドコモから発売されたことで、サムスンやソニーからの乗り換えが増えると思っていたので、その数字は意外です。
呉氏 A社のスマートフォンのユーザーは母数が非常に大きいので、それが要因だと思います。これは、われわれのパートナー企業も驚いているところだと思います。
P20 Proを求めるMVNOもあった
―― P20 Proはドコモ、P20はSIMフリー、P20 liteはauとSIMフリーというように、今回は機種ごとに販路を分けています。この理由をあらためて教えてください。
呉氏 今回は端末ごとに販路を分けることになりましたが、これは、お客さまと打ち合わせを重ねて、長い期間をかけて決めたことです。それぞれのお客さまが得意としている部分があり、社内でもそれは当然分析しています。お客さまごとに注目ポイントが違い、大きく意見が食い違うこともありませんでした。最終的には、ほぼ全ての販路で販売できることになっています。しかしながら、この過程を振り返ってみると、むしろ弊社は後手に回るような立場でした。
―― というと?
呉氏 弊社よりも、お客さまがどの端末を扱い、どう販売していくかの考えをしっかり持っていました。やはり、それぞれに得意としている分野があり、自分たちのラインアップにどういうものを加えればいいのかは分かっているということです。弊社の方が、先生に学ぶような感じでしたね。
―― とはいいつつも、P20 Proを欲しいというMVNOもあったのではないでしょうか。
呉氏 実はありました。当初、P20 Proが大々的に宣伝されたこともあり、興味を持っていただけたようです。ただ、実際にP20とP20 Proの両方をご覧いただくと、MVNOやSIMフリー市場にはP20の方がいいという結論に至ります。弊社に限らずですが、A社もS社(サムスンのことだと思われる)もP20 Proと同じように、ドコモやKDDIに販路が集中していますが、やはりこれは自然と製品のすみ分けができてしまうからだと思います。
P20 Proはもともとの価格が10万円以上ですが、ここに購入補助(月々サポート)が適用されます。一方で、P20はオープンマーケットで7万円ぐらいです。消費者は細かい仕組みを知ることなく、最終的な値段だけを見て差があると感じてしまいます。そのため、どの端末をどの販路で販売するかは、自ずと決まってしまうのです。
―― P20 ProはMNPだとさらに実質価格が下がります。ドコモとしてもかなり力が入っているように見えますが、独占販売などを含め、ここに至った経緯を教えてください。
呉氏 弊社としては、今後もドコモとは長期的に一緒にやっていきたいという意欲があります。そのため、P20 Proは何年もかけて準備をしてきました。実際にドコモの内部でどのような経緯があってこの結果になってのかまでは分かりませんが、願わくは、われわれと同じような気持ちを持っていただければと思っています。今回、これだけプッシュしていただいているのは、ドコモに認めていただけたことの表れだと思っています。
ドコモの発表会でも、吉澤(和弘)社長が時間をかけ、P20 Proを紹介してくださりました。その後のメディアの取材のときにも、P20 Proを手に持っていただけました。記事を読んでいると、ありがたいほどご紹介していただけたと感じています。
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