「jetfon」「変なSIM」登場 改めて「クラウドSIM」のメリット・デメリットを知ろう:5分で知るモバイル通信活用術(1/2 ページ)
筆者の連載でも何度か取りあげた「クラウドSIM」。モバイルルーターだけではなく、SIMやスマートフォンでも使えるものが出てきました。新たに登場する対応スマホを紹介しつつ、改めてそのメリットとデメリットを改めて見ていきましょう。
SIMカードを仮想化することで、所在地に最適な通信ネットワークを選んでデータ通信できる「クラウドSIM(バーチャルSIM)」。筆者の連載でもクラウドSIMに対応するモバイルルーターやSIMカードを何度か取りあげてきました。
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そんな中、クラウドSIMに対応するスマートフォンが国内でも発表されました。そこで、今回はクラウドSIM対応スマホを紹介しつつ、改めてクラウドSIMのメリットとデメリットを見つめます。
日本初のクラウドSIMスマホ「jetfon」
MAYA SYSTEMが7月17日発表した「jetfon(ジェットフォン)」は、国内初のクラウドSIM対応スマホです。価格は3万9800円(税別)で、現在公式Webサイトや家電量販店などで予約を受け付けています。
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同社が手がける海外渡航者向けモバイルルーターの販売・レンタルサービス「jetfi(ジェットファイ)」と同様に、香港uCloudlinkのクラウドSIMテクノロジーを採用し、月額基本料金無料で、1日380円からデータ通信を利用できるようになっています(※1)。SIMスロットを2つ備えていて、国内での通話・通信用に大手キャリアやMVNOのSIMカードを入れておくこともできます(※2)。
※1 日本を含むアジア地域における「300MB/1日」プランの料金。料金は海外利用分は非課税、日本国内利用分は税抜(別途課税)となる
※2 クラウドSIM利用時はSIMスロットは1つのみ有効
モバイルルータータイプやSIMカードタイプの場合、スマホにおいて接続設定が必要ですが、jetfonは接続設定せずにクラウドSIMサービスを使えるという点が大きなメリットです。
ただし、注意点もあります。
その1つが「データプランの購入」です。jetfonでクラウドSIMを利用する際は、渡航先やデータ容量・日数に合わせたデータプランを購入します。その購入に当たり、何らかのネット接続手段を用意する必要があるのです。
「現地に着いてからゆっくり選べばいいや」と思っていると、その“ネット接続”を探すのに難儀することも予想されます。空港での無料Wi-Fiスポットサービスは、空港に降り立ったらすぐ使えるとも限りません。
できる限り、渡航前にデータプランを購入しておくことをお勧めします。
もう1つが「接続するネットワーク」です。仕様上、jetfonはNTTドコモ、au(KDDI・沖縄セルラー電話)、ソフトバンク(Y!mobileを含む)のネットワークに対応しています。ドコモとソフトバンクのネットワークではVoLTEも使えるようにしています(※3)。
しかしクラウドSIMはデータ通信専用で音声通話はできません。これは良い(想定通り)として、クラウドSIMで接続するキャリア(ネットワーク)を明示的に選択できないことに注意が必要です。
クラウドSIMは「その場所に合った最適なキャリアを選択して接続できる」ことが特徴です。jetfonの発表会に展示されていた実機は、ソフトバンクのネットワークに接続していることが確認できました。
MAYA SYSTEMの説明では、「一番電波が強い回線(キャリア)に接続する仕様」になっているとのことですが、筆者はこの説明に疑問を持っています。というのも、サービスを提供する立場であれば、コストを極力抑えるためにより安く接続できるキャリアを優先して選ぶようにしたいと考えるはずだからです。
実際には日本を含む各国で「優先接続キャリア」があり、接続できなかった場合に別のキャリアで接続するという実装になっていると思われます(あくまで予想ですが)。
ちなみにjetfonのクラウドSIMのキャリアは(再)起動のタイミングで取得・切り替えを行う仕様となっています。「(同一国内でも)自動的に最適なキャリアにつなぎ替える」という仕様ではないので注意しましょう。
※3 VoLTE通話に対応したSIMカードが必要です
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