クラウドSIM搭載スマホ「jetfon」はどれだけお得なのか?
MAYA SYSTEMのスマートフォン「jetfon」は、SIMカードを抜き差しすることなく、世界中で通信が可能になる「クラウドSIM」に対応している。このjetfonを使うメリットはどこにあるのだろうか。使い勝手や価格の面から考えたい。
MAYA SYSTEMが2018年8月に発売予定のSIMロックフリースマートフォン「jetfon」は、SIMカードを抜き差しすることなく、世界中で通信が可能になる「クラウドSIM」に対応しているのが大きな特徴。同じ仕組みを使ったモバイルWi-Fiルーター「jetfi」もあるが、その機能をスマホに搭載したわけだ。
このjetfonを使うメリットはどこにあるのだろうか。
海外で通信をする主な方法として「国際ローミング」「プリペイドSIM」「レンタルWi-Fiルーター」がある。国際ローミングは、昔に比べればだいぶ値下げされつつあるが、それでも1日980円〜と、他のサービスに比べて割高になることが多い。プリペイドSIMは安価なものが多いが、初心者が買ってAPN設定をするのはハードルが高い。レンタルWi-Fiルーターは事前の申し込みや返却などで手間が発生する他、荷物が1つ増える。
これらのデメリットを解消するのがjetfonというわけだ。料金は、アジアだと1日300MBプランが380円(非課税、以下同)〜、7日1GBプランが980円〜、30日3GBプランが1880円〜。ドコモの「パケットパック海外オプション」とauの「世界データ定額」は、1日980円で国内のデータ容量を使える。国内で契約している(ドコモとauの)プランによってお得度は変わってくるが、1日当たりのプランはjetfonの方が600円〜安く、600MB分を購入しても760円〜で済む。
レンタルWi-Fiルーターとの違いはどうか。jetfiのルーターは、現在のところ1日350MBのアジア周遊プランが380円、グローバル周遊プランが420円と、jetfonと肩を並べる安さだが、これらはキャンペーン価格。本来は前者が680円、後者が980円なので、通常価格はjetfonの方が安い。他社でも、1日300円〜という料金はなかなか見かけない。「業界最安」という冠は付けていないが、最安クラスと言っても差し支えないだろう。
H.I.S.モバイルが提供する「変なSIM」は、1日200MBのプランを500円で購入できる。Jetfonの場合、アジア以外は1日300MBが580円〜680円なので変なSIMより高いが、データ容量は100MB多いのでいい勝負といえる。またアジアに限れば、jetfonの方が価格も安くてデータ容量が大きい。
jetfonの端末代金として、3万9800円(税別)の初期費用はかかるが、クラウドSIMを使った通信に基本料金はかからず、使うときだけプランを購入すればいい。国内ではSIMロックフリースマホとして、キャリアやMVNOのSIMカードを入れて使い、海外に行くときだけプランを購入すればよいので、余分なコストは発生しない。さらに、国内でもドコモ、au、ソフトバンクのネットワークにクラウドSIMが接続できるので、1日だけ通信したいというときのためのバックアップ回線として、国内プランを活用する手もある(料金は1日300MBなら380円+消費税)。
注意したいのは、クラウドSIMは音声通話に対応していないこと。海外で音声通話をするには、国内のSIMを挿してローミングをするか、IP電話を使うなどの対応が必要。MAYA SYSTEMは、jetfi向けのオプションサービスとして、海外でルーターからIP電話を1日180円(税別)で利用できる「jet-phone」というサービスを提供しているが、これをjetfonでも利用可能になることにも期待したい(サービス名が似ているので紛らわしいが)。
スマホ1台を国内外で利用できることから、MAYA SYSTEMは、jetfonで「国境フリー」を目指す。jetfonが、海外でデータ通信をする有力な選択肢になりそうだ。
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