総務省が中古スマホのSIMロック解除を要請へ――マルチキャリアMVNOが相次ぐ中、需要はどこまであるのか:石川温のスマホ業界新聞
総務省が解約済み携帯電話のSIMロック解除を義務付ける方針であるとの報道があった。MVNOサービスと組み合わせることでより安く携帯電話を使えるようにするための施策だと思われるが、本当に国民にとって良いことなのだろうか。
今週、中古ショップで売られているSIMロックのかかったスマホを、キャリアショップに持ち込めば、SIMロックを解除できるようになるという報道があった。
格安スマホを活性化させるため、総務省がキャリアに対して指導をするようだ。これにより、中古スマホを安価で購入し、格安SIMを刺して使うということが可能になる。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年8月18日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
以前から疑問に思っているのだが、総務省がここまでして、中古スマホ市場を盛り上げたがる意味がわからない。
そもそも、いまの格安スマホ市場では、NTTドコモだけでなく、KDDI、さらにはソフトバンクのSIMカードを選ぶことができる。SIMロックがかかっていても、MVNOのサービスのほうを選べばいいはずだ。すでにそんな状況になっているにもかかわらず、わざわざ、キャリアショップの手間を増やすような施策を、なぜ総務省はやりたがるのか。
また、これは以前から指摘していることだが、中古スマホを購入し、使うことを国を挙げて推奨することが、国民にとって本当にいいことなのか、理解に苦しむ。
Androidスマホにおいては、長期に渡って、OSがアップデートされることは稀といえる。古いOSやセキュリティパッチの当たっていない、セキュリティ面で不安のあるスマホを使いつづけ、個人情報を抜かれるということがあったら、総務省は助けてくれるのか。
また、最近のスマホはバッテリーの交換できないものしかないが、中古スマホとなると、バッテリーのトラブルに遭遇しやすくなるという点を総務省ではしっかりとアピールする気があるのか。
「中古スマホと格安SIMの組み合わせなら、家計の負担を下げられる」という点がばかりが強調され、中古スマホを使う上でのリスクをしっかりと訴求しないことには、結局、国民が不利益を押し付けられることになる。中古スマホ市場を盛り上げたいなら、そうしたリスクもしっかりと提示する必要があるだろう。
総務省としては、OSの寿命も長い、中古iPhoneの流通を活性化したいのだろうが、それであれば、古い端末を回収し、分解。再び組み立て直し、電池などが比較的新しいものと交換される「リファービッシュ品」をもっとアピールし、流通量を増やすような取り組みをしたほうが賢明のように思える。こちらのほうが、よっぽど、安価で安心して使える中古スマホではないか。
総務省にはもうちょっと国民のためになるような施策を展開してほしいものだ。
関連記事
ムスビーの中古スマホランキング 7月はSIMフリー「iPhone SE」が2位に浮上
ムスビーは、2018年7月中古携帯/スマホランキングを発表。NTTドコモのiPhone 6sが4カ月連続で1位を獲得した一方、国内版SIMロックフリーのiPhone SEが2位に浮上した。Androidスマートフォン部門では「Xperia XZ2 Compact SO-05K」が初ランクインしている。携帯市場の中古ガラケーランキング7月 202SHが7カ月連続1位に
携帯市場は、8月1日に2018年7月度の中古フィーチャーフォン販売・買取ランキングを発表した。シャープの「202SH PANTONE WATERPROOF」が販売・買取で7カ月連続1位となり、Androidを搭載したガラホ「P-01J」が販売ランキング5位にランクインした。「4年縛り」は景表法違反? 「0円端末」は本当に悪? モバイル通信政策シンポジウムで語られたこと
米国のシンクタンクが、モバイル通信政策に関するシンポジウムを開催。日本の通信政策、特に携帯電話の通信料金の低廉化に関する施策の有用性を議論するのが目的。4年縛り、0円端末、楽天の参入など、さまざまなトピックが出た。ゲオの2018年上半期中古スマホランキング 販売/買取ともにiPhoneが独占
ゲオは、全国のゲオショップ1200店で取り扱った中古スマートフォンのデータを発表。総合ランキングは販売台数・買取台数ともにTOP10をiPhoneシリーズが独占し、SIMフリーの販売台数トップは「Blade V7Lite」、買取台数トップは「iPhone X」となった。ムスビーの中古スマホ調査、購入理由は「価格が安い」「格安SIMで使う」
ウェイブダッシュは、同社が運営するフリーマーケットサイト「ムスビー」で中古スマホに関するアンケート調査を実施。中古端末を購入しようと思った理由の上位は「価格が安い」「格安SIMで使う」、重視した点は「商品の状態」「価格の安さ」が多くなった。
関連リンク
© DWANGO Co., Ltd.