北海道での緊急無料Wi-Fi「00000JAPAN」は発動困難か 通信自体が途絶える恐れも
9月6日未明に発生した、北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源とする最大震度6強の地震の影響で、北海道全域での停電が続いている。災害時に通信キャリアなどが公衆無線LANを無料で提供する「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)の解放が待たれているが、今回の迅速な解放は難しいかもしれないことが、各キャリアへの取材で分かった。
追記:2018年9月7日午前11時
6日午後9時、ソフトバンクは00000JAPANを一部のWi-Fiスポットで解放した。
7日午前10時までに、KDDIは道内21カ所に充電設備と無料のWi-Fiスポットを設置した。
00000JAPANとして各キャリアが解放するアクセスポイントは、「docomo Wi-Fi」「au Wi-Fi」「ソフトバンクWi-Fiスポット」といった各社のユーザー向け公衆無線LANサービスだ。
アクセスポイントの動作には、電源が要るのはもちろん、アクセスポイントからインターネットへの回線もつながらなければいけない。そして、アクセスポイントからインターネットへの接続に、多くの場合は各社の携帯電話向け無線通信を利用している(固定回線を引いているものもある)。
無線通信の確立には無線基地局の稼働が不可欠だが、道全域で停電が続いていることから、各キャリアの基地局は非常用のバッテリー電源で動作している状況だ。
NTTドコモとKDDIは「バッテリー電源での動作は数時間から24時間程度」という。一方で「道全域での電力復旧には少なくとも1週間かかる」と世耕弘成経済産業相は見通しを示している。もし停電が1日以上続くようだと、基地局が稼働できず、無線通信インフラ自体が途絶える恐れが出てくる。
「電源がないことには基地局は稼働できない。00000JAPANの発動も難しいのではないか」と、NTTドコモは取材に応えた。ソフトバンクは「検討中。解放した際にはサイトに告知するので注視してほしい」とした。KDDIは「移動基地局車の出動も含め、どのような支援をすべきか検討中。00000JAPANの解放は各社がそれぞれ判断できるので、KDDIはKDDIの判断で決めるだろう」とした。
なお、NTTドコモとKDDIの一部の基地局については、自家発電による無停電設備を備えており、非常用バッテリー電源のみの基地局よりは長く稼働できるとしている。
無線設備の応急対策には、移動基地局車の配備が待たれる。これまでの災害で通信が不通となった時、各キャリアは移動基地局車を配備してエリアをカバーしてきた。東日本大震災の際には、各社は衛星エントランス搭載移動基地局車を40台以上、移動電源車数百台を被災地に配備し、応急対策を実施していた。
NTTドコモとKDDIは、配備について「検討中」(ソフトバンクは回答待ち)とした。
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