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FMチューナー経由とアプリでラジオを聴ける「ラジスマ」登場――iPhoneにFMチューナーが載る日は来るか?石川温のスマホ業界新聞

日本民間放送連盟(民放連)が、「radiko+FM」アプリをプリインストールするFMラジオ内蔵スマートフォンを「ラジスマ」と銘打って訴求し始めた。ラジスマの最大のメリットは、チューニング(周波数)を知らなくてもFMラジオを聴けること。若者向けにこそラジスマが必要だと思うのだが、どうなるだろうか。

 民放連は、radiko.jpアプリで、FMラジオチューナー経由の放送も聴ける「ラジスマ」を発表した。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年3月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。

 radiko.jpアプリでラジオを聴ければ、それだけでいいような気もするが、FMチューナーを搭載することで、災害時、ネットが使えない際にも情報入手が可能になる。FMラジオチューナーで聴く際には「アプリと比べて消費するバッテリーは3分の1程度になる」(京セラ)ということで、災害時にはかなり重宝するという。

 また、radiko.jpアプリであればどうしても数十秒の遅延が発生してしまうが、FMラジオチューナーであれば、遅延無くスポーツ中継などを楽しむことが可能だ。

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 2015年12月から、AMラジオの放送がFMで聴ける「ワイドFM」が始まっている。これにより、関東であれば、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送などもFMでの聴取が可能となっているため、ラジスマの展開が一気に進んだ模様だ。

 今回、開発担当者の話を聞いて、興味深かったのが、ラジスマにより「ラジオの周波数を覚えなくてもいいようにしたかった」という発言だ。

 ラジオを聞こうと思ったら、昔は、それぞれのラジオ局の周波数を覚えておく必要があったりしたものだ。TBSなら954Hz、文化放送は1134Hz、ニッポン放送は1242Hz、TOKYO FMは80.0Hz、J-WAVEは81.3Hzといった具合だ。ラジオ局は、リスナーに周波数を覚えてもらおうと、番組中にやたらと周波数を連呼する。これが当たり前のことだった。

 ラジスマでは、アプリを起動させた際、GPSによって、位置情報を取得し、その地域にあった周波数を選んでラジオが聴けるようになる。

 「広島のラジオ局では中継局が県内に13カ所あり、そうでないと県内をカバーできない。誰もすべての周波数を覚えていないわけで、そうした不便をアプリで解消したかった」(開発担当者)という。

 スマホに搭載されることによって、「周波数で選ぶ」という時代は終わり、ラジオ番組も「アイコンで選ぶ」ことになりそうだ。

 今回、ラジスマ対応機種になったのは、富士通「らくらくスマートフォンme」と京セラ「URBANO」の2機種。普段からラジオを聞いている、年配層をターゲットにしているスマホから搭載された。

 個人的にはこれからリスナーを増やさなくてはいけない若者向けスマホこそ、搭載されて欲しいと思う。

 アメリカでも、ハリケーンなどの災害時を考慮して「iPhoneにFMチューナーを載せろ」という動きがあったりもした。iPhoneがFMチューナーを載せると、ラジスマも面白いことになるだろうが、果たして、アップルはそんな声に応えてくれるだろうか。

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