「報酬はいらない」の声が多数 mineoが“アンバサダー制度”を始める狙い:MVNOに聞く(4/4 ページ)
サブブランドが勢力を伸ばす影響で、個人向けMVNOの多くが苦戦を強いられている。ケイ・オプティコムの「mineo」もその1つだ。こうした状況を打破しようと、同社はユーザーがサービス創出やサポートに参加する「アンバサダー制度」を開始する。その狙いを聞いた。
ソフトバンク回線はY!mobileに流れている
―― ソフトバンク回線があまり伸びていませんが、どう見ていますか。
上田氏 もう少し来ると思っていましたが、ソフトバンクのユーザーがY!mobileに行く率が高い。
―― LINEモバイルもソフトバンク回線が増えているので、その影響もありそうです。
上田氏 そうですね。今、料金はLINEモバイルの方が(ソフトバンク回線は)安いので、その影響もあるかもしれません。
―― 2020年度までに200万回線を目指すという目標は、いったん見直す形になりました、どれぐらいの数字を目安にしていますか?
上田氏 まさにその数字を検討しているところです。2020年度に200万は、見直さざるを得ないですね。
―― 端末についてもお聞かせください。特にiPhoneが好調だそうで、「iPhone 8」を発売してから、iPhone比率が伸びているそうですね。
上田氏 iPhone 8を扱っているところがMVNOでは少ないことも影響したのかもしれません。
―― iPhone 8は新品ですか?
上田氏 iPhone 8は国内の新品です。
―― 「iPhone SE」も発売しました。当初はカナダの整備済製品との案内でしたが、実は新品だったと訂正がありました。
上田氏 いろいろなモデルや容量などの話があったため、混乱して間違えてしまいました。このiPhone SEは、発売してから3~4日で200台が売り切れました。今は追加の発注をしているところです。
―― 今売っているのはiPhone 8とSEだけですか?
上田氏 6sはまだありますが、7は売り切れました。
―― 法人回線はどうですか?
上田氏 (シェアは)だいたい5%ぐらいです。方向性としては強化したいと思っています。法人もIoT需要が出てくるので、そこを含めて、4月1日に会社(関電システムソリューションズ)が合併して、通信からシステム、ソリューションまでトータルで「オプテージ」として提供できます。MVNEも、トリプルキャリアだから声をかけてくださるところも増えています。mineoとつなげば3キャリアに対応できるという点では意味があったかなと。
―― フルMVNOはいかがですか?
上田氏 技術検討はしていて、価格もどれだけ掛かるかは分かっています。投資に見合った新たな市場が見込めるかどうかで、今は二の足を踏んでいます。そんなに投資をして、新たな市場が取れるまでは行かないかなと。
―― やるとしたら、あくまで自社でHLR/HSS(加入者管理機能)の開放について、キャリアと交渉していくと。(既にフルMVNOのサービスを提供している)IIJに設備を卸してもらうわけではない。
上田氏 そうですね。恐らく、IIJさんに相談をしたら、乗ってくれると思いますが、具体的にはしていないです。
―― MVNOにとっては逆風が吹いていますが、その中で、どう存在感を出していきますか?
上田氏 もともとの強みである、「ユーザーさんと一緒に創っていくMVNO」であることに磨きをかけていきたいですね。その辺を特徴に押し出していきたいです。
取材を終えて:アンバサダー制度の成否が成長のカギを握る
ケイ・オプティコムは、これまでもマイネ王で、ユーザー同士のQ&Aや、新サービスのアイデアを出し合う場を提供している。共創アンバサダーとサポートアンバサダーは、マイネ王の取り組みを拡張したものといえる。いずれも「ユーザーが参加できること」が特徴であり、熱量の高いファンが多い、mineoらしい取り組みだ。
ただ、この取り組みが、サブブランドを中心とする競合他社に対して優位性を示せるようになるには、時間がかかると感じた。アンバサダーになったユーザーの満足度を高める効果はあるが、こうしたユーザーは少数派だ。より大多数の、他社ユーザーに対する企業の信頼度を高めるためには、この取り組みを継続、成功させる必要がある。
サポートアンバサダーについては開始のめどが立ったようだが、共創アンバサダーについては、ルール作りが定まっておらず、サービス開始にはもう少し時間がかかりそうだ。まずはしっかりトラブル対策を行い、万全の体制でアンバサダー制度を始めることが重要だ。このアンバサダー制度の成否が、mineoがさらに成長するカギを握るといっても過言ではない。
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