「まずはポイントを動かしてほしい」 KDDIに聞く、スマホ決済「au PAY」の狙い:モバイル決済の裏側を聞く(1/3 ページ)
KDDIのコード決済「au PAY」が4月9日にスタートした。コード決済は、「PayPay」「d払い」「LINE Pay」「楽天ペイ」など競合がひしめく中で、KDDIはどのような戦略で臨むのか。KDDI ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井武志氏に話を聞いた。
KDDIのコード決済「au PAY」が4月9日にスタートした。au PAYは、auユーザーが持つ電子マネー「au WALLET」を使って支払いができるサービス。au WALLETアプリからバーコードを表示させて、店頭で読み取ってもらうことで支払える。
au WALLETは、当初はプリペイドカード、その後、クレジットカードに対応し、Apple Payでも使えるようになった。Androidスマホでau WALLETの非接触決済を利用することは現在できないが、コード決済ならOSを問わず利用できる。au PAYではau WALLETの決済手段を、auのスマートフォン全体に拡充した形だ。
QRコードを使ったスマホ決済は、「PayPay」「d払い」「LINE Pay」「楽天ペイ」など競合がひしめく中で、KDDIはどのような戦略で攻めるのか。KDDI ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井武志氏に話を聞いた。
なぜ「コード決済」なのか?
―― au WALLETでは、非接触決済サービス(Apple Pay)やカード決済(au WALLET プリペイドカードとクレジットカード)をやっている中で、なぜコード決済を追加したのでしょうか?
中井氏 大きくは2つあります。1つは、auユーザーにはバーチャルな口座(au WALLET)が2000万以上あります。それを物理のプリペイドカードとApple Payで使っていただける状況は作っています。そんな中で非接触が便利だと思われている方が大半だと思われがちですけど、そのまま物理カードで使っているお客さまが相当いらっしゃる。
当たり前ですが、最後の使い方はお客さまが選択されればいいと思っていて、多様な手段を準備していくことが必要だと思っています。今回はコード決済ですけど、今後、時間の流れの中で、違うインタフェースが出てくれば、それは積極的に検討していきたいと思います。
もう1つが加盟店の視点です。中規模以上でPOSが入っている加盟店は、それなりの存在感のある決済サービスなら採用するでしょうけど、中小の店舗はそうはいきません。今のスマホ決済ブームが終わった後でも、継続的に加盟店が採用していただける状態を作ろうとすると、手数料の問題は重要です。その中で仕組み上、低料率で抑えられるコード決済は、加盟店拡大という観点でも可能性を感じています。
KDDIは加盟店向けに、決済用の「au PAY for BIZ」アプリを無償で提供する。2021年7月までは手数料が無料なので、店舗側はアプリを使うスマホやタブレットさえあれば、無料でau PAYを導入できる
―― 物理カードを使っている人が意外と多いということですが、コード決済なら、そういう人たちにも使ってもらえるということですか。
中井氏 使える場所がどれだけ増えるかによってくるかと思います。後は、初回の利用(ハードル)をどう超えていくのかも重要です。
―― カード決済よりもスマホ決済を増やしたいという狙いがあるのでしょうか?
中井氏 決済だけではなくて、スマホ1台でできる範囲がどんどん広がっています。加えて他の金融サービスも、ここを入り口にしながらシームレスにつながっていくと、分断された手続きがまとめて行えます。
au PAY開始に合わせて、KDDIは「au WALLET」アプリをリニューアル。他の金融サービスも横断して利用できるよう工夫。ちなみに、Apple Payの決済画面を呼び出せるショートカットも用意している
キャリア決済のオートチャージはイチオシ機能
―― オートチャージは、キャリア決済以外の手段には対応しないのでしょうか?
中井氏 じぶん銀行の口座をお持ちの方には、オートチャージは提供しています。かんたん決済でのリアルタイムチャージは、僕としてはイチオシの機能です。auに契約しているだけで全ての人が対象になりますし、今月使っても来月のお支払いなので、「後払い」という特徴もあります。
―― じぶん銀行以外の銀行からのチャージはいかがですか?
中井氏 いろいろお話はさせていただいていますが、自分たちでも銀行業はやらせていただいていることもあり、検討中です。
―― (じぶん銀行の口座連携によって使える)個人間送金は、どれだけ使われているのでしょうか?
中井氏 今のところ、そこまでの大きな動きにはなっていません。ここも、他社サービスも見させていただきながら、UI(ユーザーインタフェース)を磨いて、より使われるような状況にしていきたいですね。
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