3キャリアが若年層向けに「50GBまで無料」に 注意点は? MVNOはどうなる?:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)
総務省の要請を受け、3キャリアが新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン学習を行う学生に対する支援策を発表した。各社とも、容量超過後のチャージを50GBまで無料にするという点は同じ。ただし、期間や適用される条件などは異なる。
トラフィック対策は十分なのか? MVNOはどうなる?
大手3キャリアとも学生支援策として50GBの追加に踏み切った格好だが、一時的に大容量プランと同等かそれ以上のデータ通信を利用できるユーザーが、急増することになる。トラフィックについては、十分な対策が取れているのか。この疑問に対しては、3社とも「全く問題ない」と口をそろえる。ドコモは、その背景を「一律で容量を増やすわけではなく、必要な容量が追加されていく形なので問題はない」と話す。まとめて容量を付与すると、一気にデータ通信を使われてしまう恐れがあるが、容量追加であれば、利用が分散するというわけだ。
過去に実施した支援策での実績も、トラフィックをさばけると判断した根拠になっているという。ドコモ広報部は、「災害時データ無制限モードのデータを見る限りでは、特に影響がない」と話す。災害時データ無制限モードとは、2019年に発生した台風19号の被災地で、災害救助法が適用された地域に住むユーザーに対して実施した措置のこと。2019年10月13日から11月30日にわたって提供され、データ容量の制限が一時的になくなった。今回の支援策は、地域が全国区になるものの、25歳以下で50GBまでと制限がついているため、影響は軽微といえそうだ。
大手3キャリア以外からの支援策は、まだ発表されていない。総務省からの要請は、MVNOが集うテレコムサービス協会にも出されているため、いわゆる格安SIM事業者も何らかの検討をしているとみられる。その1社であるIIJは、「支援策は現在検討中」と明かす。とはいえ、MVNOは大手キャリアから帯域単位で借り、ユーザーに提供している。その分料金が安いわけだが、総トラフィックが一気に増えると、別のユーザーに対し、速度低下などの影響が出てしまう恐れもある。MNOと同レベルの支援策を求めるのは難しいかもしれないが、MVNOならではの工夫を凝らした対応を期待したい。
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