「Photoshop Camera」で遊んでみた 先端技術を駆使して誰もが“写真作品”を作れる(1/3 ページ)
Adobeがリリースしたカメラアプリ「Photoshop Camera」。ここに搭載されている「レンズ」を使うと、撮影した写真から人や動物、建物などを自動的に切り分けて、背景にポップな絵柄をつけたりして遊べる。その使い方についてご紹介しよう。
Adobeから、iOSとAndroid向けの無料カメラアプリ「Photoshop Camera」がリリースされた。名前だけ見てもいったいどんなアプリなのかよく分からない。Photoshopを長年使っている身からすると(たぶん1991年頃から使っている)、Photoshop用写真素材を撮るのに適したカメラかな、Photoshopのように高度なレタッチ機能を持ったカメラかなと想像してしまうが、実態は全然違ったのである。
簡単に言えば、誰でもPhotoshopで高度な処理を施したような、派手な画像を作れるカメラアプリだったのだ。
Photoshopはユーザーが自分で使いこなすソフトなんだけど、Photoshop Cameraは誰でもPhotoshopパワーを駆使した処理を楽しめるのだ。
アプリの紹介ページには「ソーシャルメディアで写真を共有して目立ちたいモバイル初心者向けのソフトウェアです」なんてぶっちゃけているくらい。いやそれはぶっちゃけすぎだと思うのだけど、カメラとしてはもうめちゃシンプルで、高度な使いこなしは一切不要。
ユーザーがすることは、ただシャッターを押すだけだ。
それだけで、Photoshopパワー全開のいろんなフィルター(レンズと呼んでいる)をオンにすることで、いろんな写真……というか写真をベースにした画像作品を作れる。それが面白いのだ。
何しろ、撮るときからしてこうである。リアルタイムで処理がかかるので、いきなり超現実。
Photoshop Cameraは被写体を自動的に判断してくれる
Photoshop Cameraを楽しむには、まずカメラを被写体に向け、レンズを選ぶ。これは「天体」を選んだところ。それぞれのレンズに複数の効果が入っている。
このままシャッターを押せばOK。
ちなみに、何の効果もかけていない元画像はこちらだ。
続いて、「コミックススカイ」レンズをかけてみた。
空が変わるのみならず、手前のビルもレンズに応じて調整されているのがすごい。コミックススカイのときはイラスト風になっているし、天体のときは日食っぽい絵なので、ビルも夜のように暗くなっている。
さらにもう1つ突っ込んでみよう。撮影後、天体レンズを付けた状態で、2本指で操作すると、背景の天体の大きさを変えたり位置を動かしたりできるのだ。
ミソは、「天体」がビルの影に隠れていること。
ここにPhotoshop Cameraの本質が詰まっていると思う。
何が起きているかというと
- AIが(Adobe Senseiと名付けられているAI)、元写真のメインの被写体と背景とを切り分け、別のレイヤーにする
- 背景レイヤーには背景用の画像を合成する(あるいは何らかのフィルターをかける)
- 背景とメインの被写体の間にオブジェクトを置く。それによって、ビルの影に隠れる天体を作れる
- メインのレイヤーにはまた別の処理をかける
- メインのレイヤーの前にもまた別のオブジェクトを置ける
それらを合成して1つの画像にする、である。見ている限り、たぶんそうだ。
そもそもPhotoshopが得意とするのは「複数のレイヤーに置いた画像をさまざまな技巧で合成したり、オブジェクトを自由に置いたりして、レイヤーを重ねることで作品を作る」ことなのである。だが、それを使いこなすのはなかなか大変だ。Photoshop自体はプロ向けのソフトで、親切さというものはないのでハードルが高い。
Photoshop CameraはそのPhotoshopが得意とする「技」を、使う人が意識することなく自分で撮った写真に対してかけまくれる点にあるのだ。
このユーザーが撮った写真を2つのレイヤーに分け、それぞれに対して他の画像やオブジェクトを重ねたり、画像処理を施したりすることで、Photoshop Cameraならではの写真作品を作れるという仕組みなのだ。
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