全国展開が始まった「JPQR」 コード決済の利便性向上も、手数料がネックか
1つのQRコードで複数のコード決済を利用できる「JPQR」の全国展開がスタート。総務省は広報大使としてお笑い芸人の銀シャリを任命して、今後テレビやラジオCMなどで本格的に普及促進を図る。先行4県の導入店舗は約7000店。QRコードが1つになった点や申し込みが一度に行える点が好評だったという。
1つのQRコードで複数のコード決済を利用できる統一QR「JPQR」は、これまで地域を限定して導入が始まっていたが、7月に全国展開がスタート。それに伴い、事業を所管する総務省は広報大使としてお笑い芸人の銀シャリを任命して、今後テレビやラジオCMなどで本格的に普及促進を図る。総務省では10万店の導入を目指し、地元の商工会議所などでの説明会も実施していく考えだ。
先行してJPQRを導入したのは、岩手県、長野県、和歌山県、福岡県の4県。総務省のJPQR普及事業として導入されたこの4県に加え、のちに栃木県が導入促進事業を実施してJPQRの導入を図った。
1つのQRコードを掲示するだけでOK
コード決済サービスは、事業者ごとにQRコードが異なり、店舗が複数のコード決済を導入しようとすると、店頭に幾つもQRコードを並べる必要があった。申し込みも個別に行わなければならず、手間もかかっていた。
コードの相互乗り入れや統一QRの仕組みは他にもあるが、総務省が音頭を取って統一QRに乗り出したのがJPQRだ。JPQRに対応したコード決済サービスであれば、店頭のJPQRを決済アプリで読み取るだけで、そのままいつものように支払いが行える。店頭には1つのQRコードを掲示すればよく、レジ周りがスッキリする。
また、JPQRの申し込みで決済サービスへの申し込みも同時に行えるため、店舗側の手間が削減できる。同時に申し込めることから、複数の決済サービスに対応しようという店舗も出てくれば、利用客にとっても普段使っているコード決済が利用できるようになって利便性が向上する。
先行4県では約7000店舗が導入
総務省の情報流通行政局情報通信政策課調査官の飯倉主税氏によれば、先行4県の導入店舗は約7000店。QRコードが1つになった点や申し込みが一度に行える点が好評だったという。6月22日から、全国展開にあたってのオンライン申し込みがスタート。先行4県では紙の申し込みで書き間違いなどもあったため、オンライン申し込みを導入したという。
新型コロナウイルスの影響もって、申し込みは900件弱と伸び悩んでいるが、7月下旬には最初の申し込み店舗にQRコードなどが送付される予定で、広報大使任命とテレビなどのCMの放映開始に加え、各地の商工会議所などを活用した地域での説明会なども実施することで、さらに申し込みを加速させたい考えだ。
売り上げを一括管理できるのがメリット 手数料は?
JPQRでは複数のコード決済が利用できるため、売り上げ管理がバラバラになってしまうという課題があったが、マネーフォワードが提供するJPQR売り上げ管理画面を使うことで、売り上げを一覧で管理できるようになっており、利便性も向上した。
コード決済サービスでは、QRコードを店頭に設置するMPM(店舗掲示型コード決済)方式の場合に、決済手数料を無料にするキャンペーンを実施しているものもある。それに対し、JPQRでは手数料を有料にしているサービスもある。特にPayPayは自社開拓の加盟店では無料にしつつ、JPQRでは1.99%(2021年3月31日まで)と差をつける形だ。
それに対して飯倉氏は、「店舗側にとってはQRコードが1つ増えるけれども決済手数料が安いか、QRコードを1つにまとめるかと選択できる」と指摘。一定の決済手数料を設けるサービスが多いが、総務省では「手数料は安いことに越したことはないので、これからも手数料引き下げのお願いをしていきたい」(飯倉氏)として、継続して交渉を行っていく考えを示している。
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