「F(x)tec Pro1」レビュー ポケットに収まるサイズ感、QWERTYキーは日本語入力が快適(2/3 ページ)
「F(x)tec Pro1」は、スレートスタイルとクラムシェルスタイルとを使い分けることができる、ハードウェアQWERTYキーボード搭載のAndroidスマートフォンだ。本記事ではそのサイズ感やキーボード入力について検証していこう。
英語配列なのに日本語入力が快適な理由
F(x)tec Pro1は、ディスプレイを開いてハードウェアQWERTYキーボードを使う。ただし、同じディスプレイを開いてハードウェアQWERTYキーボードを使うCosmo Communicatorとは使い勝手がだいぶ異なる。
クラムシェルのようにディスプレイを「パカッ」と開くCosmo Communicatorでは、ディスプレイを閉じた状態では1.9型サブディスプレイに表示する通知の確認にとどまる。しかし、F(x)tec Pro1はディスプレイを「シュルン」とスライドする機構を採用しているので、キーボードを収納したスタイルでもメインディスプレイが外側にあって、通常のスマートフォンと同様に使える。「タッチ操作が主/キーボードが従」「タッチ操作は従/キーボードが主」とユーザーの使い方や利用目的、主に使用する場面などに応じて、幅広く適用できるのがF(x)tec Pro1の特徴といえる。
そのキーボードだが、本体サイズがCosmo Communicatorと比べてコンパクトなので、使い勝手は大きく異なる。キーピッチは実測で横方向に9.5mm、縦方向に6.5mm確保する。キートップサイズは横方向に8mm、縦方向に5mmでキートップ中央が頂点となるような緩やかな曲面を形成している。
キーボードを使えるような形態にするとクラムシェルスタイルになるので、本体を卓上に置いて両手を使ってタイプをしたくなる。しかし、キートップのサイズやキーピッチ、そして、タイプに要する力加減を考えると、両手を使ったタイプではなく、両手で本体を保持し、両手の親指を使うタイプが適している。
とはいえ、実際に試してみると、本体の幅がほんのわずかに長く、両手持ち親指タイプはできるものの、本体を微妙に傾けたり手首の角度を変えたりする必要がある。ただ、クリックの感触、タイプに要する力加減、ストロークは、親指タイプでちょうどよい加減だ。しかし、クラムシェルノートPCのような両手タイプは一転して難しい。実際に試してみると、スペース的には片手あたり2本指の4本指タイプが現実的な限界だ。そして、キーを押し込むのに必要な力が両手打ちには硬すぎる。快適なキータイプをしたいと思ったら、わずかに本体が大きいと感じても、両手持ち親指タイプがベストだ。
キーレイアウトは英語配列でキートップにかな刻印もない。しかし、それでいて日本語の文章を入力すると、Unihertz TitanよりもCosmo Communicatorよりもタイプしやすい。Unihertz TitanやCosmo Communicator、そして8型以下のディスプレイを搭載した超小型PC(UMPC)も、狭いボディーにキーボードを搭載するために、ShiftキーやAltキー、CtrlキーにFnキーなどと組み合わせたショートカットで記号を入力することが多い。
一方、F(x)tec Pro1では記号キーの多くを専用キーで用意している。特に、長音、句点、句読点を専用キーで用意しているのに加えて、標準的なキーボードとほぼ同じ場所に配置しているおかげで、日本語文章の入力が快適になっている。
なお、日本語文章の入力で使用頻度の高いカギカッコも専用キーを用意しているが、場所が通常の右上(Pキーの右隣)から左下(Zキーの左隣)に移っているので、慣れないうちは戸惑うが、いったん慣れてしまえばショートカットでないので使いやすい。場所的にも左手の親指で押しやすいので、評価作業中でもすぐに慣れた。カーソルキーも独立しているのでカーソルポジションの指定が楽だ。
また、主に記号キーに刻印した副次的な記号を入力する場合、通常Shiftキーとの組み合わせで有効になる。しかし、F(x)tec Pro1ではShiftキーではなく、特別に設けた「右上矢印」キーとの組み合わせで有効になる。親指タイプの場合、片側にしかないとタイプに苦労することもあるが、両側に用意しているので問題ない。
他に、Shiftキー、Ctrlキーも両側に備えている。CrtlキーはC、X、Zキーとの組み合わせでコピー、カット、ペーストとして利用できる。カーソルキーが独立してあるので、「カーソルキーで範囲を指定してCtrl+C、Ctrl+Xでコピー、または、カット。Ctrl+Vでペースト」といったPCのテキストエディタで文章入力中によくある作業をAndroidデバイスでも簡単に使えるのは、大きなメリットだ。
レイアウトで戸惑うのは、先ほど述べたカーソルキーの他に、Aキーの左脇にあるバックスラッシュキーだろう。どうしても「Aキーの左はCtrlキー、もしくはCapsLockキー」という認識が強いと、違和感が長く残るかもしれない。実際、評価作業において、キーボードをタイプするときに最後まで気になったところではある。
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