SIMフリー市場で“ポストHuawei”の座をつかんだOPPO キャリア攻略が課題に:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
オウガ・ジャパンが、OPPOスマートフォンの夏モデルとして「Find X3 Pro」と「Reno5 A」を発売する。Reno5 Aは、日本の市場動向に合わせた価格帯で出せるよう、オリジナルの設計になっている。今後はキャリアで扱ってもらうモデルを増やすことが課題といえる。
OPPOのスマートフォンを日本で展開するオウガ・ジャパンは、夏モデルとして、2つの端末を発売する。1つがフラグシップモデルの「Find X3 Pro」。もう1つが、日本独自のシリーズとして展開してきたReno Aシリーズの系譜に連なる「Reno5 A」だ。前者はauが、後者はY!mobileと楽天モバイルが取り扱う他、SIMロックフリー版が家電量販店などで販売される。
参入から3年がたったOPPOだが、SIMフリー市場で徐々にシェアを上げると同時に、キャリアでの取り扱いも増えてきている。そんな同社が、次の一手として繰り出してきたのが、Find X3 ProとReno5 Aだ。ここでは、2モデルの特徴を振り返るとともに、同社の狙いを解説していきたい。
ボリュームゾーンのミドルレンジは、ゼロベースで日本仕様を取り込む
2018年に日本上陸を果たしたOPPOだが、参入直後は、SIMロックフリースマートフォンの売れ筋と投入する端末のミスマッチもあり、低空飛行が続いていた。一方で、同社はおサイフケータイなど、日本仕様の取り込みにも積極的だった。こうした成果が結実したのが、Reno5 Aの原点ともいえる「Reno A」だ。同モデル投入に合わせ、端末と同名の指原莉乃さんをCMに起用。SIMフリー市場で一気にシェアを上げると同時に、2020年にはKDDIやソフトバンクが端末を取り扱うようになる。
2019年にReno Aを発売したOPPOは、翌年、後継機の「Reno3 A」を投入。その2021年版ともいえるのが、新たに発売するReno5 Aだ。Reno Aシリーズは、「日本に合わせてゼロベースで開発した端末」(オウガ・ジャパン 専務取締役の河野謙三氏)。おサイフケータイや防水・防塵(じん)といった仕様に対応していることが注目されるが、単にグローバルモデルに日本向けの機能やカラーリングを付加した端末というわけではない。日本の市場動向に合わせた価格帯で出せるよう、仕様の細かなところまで、オリジナルの設計になっているという。
仕様が近い海外向け「Reno5 5G」と比べると、プロセッサはSnapdragon 765Gで同じだが、ディスプレイが有機ELから液晶になっていたり、指紋センサーがディスプレイ内から背面に移っていたりと、一部でコストダウンを図っていることが分かる。一方で、Reno5 AはデュアルSIMの2スロット目を物理SIMとeSIMから選択でき、microSDも利用できる。おサイフケータイや防水・防塵以外の細かな部分からも、日本のニーズをくみ取った跡が見え隠れする。単純に日本仕様を加えただけでなく、仕様や価格まで含めて最適化した端末に仕上がっているというわけだ。
Reno Aシリーズとして見ると、スペックの向上に加え、5Gに対応しているのも初となる。Y!mobileで取り扱っていることもあり、5G用に新規で割り当てられた周波数に加え、4Gから転用した周波数帯である1.7GHz帯のn3や、700MHz帯のn28にも対応。転用周波数は速度が4G並みになってしまうが、エリアの拡大が急速に進んでいる。SIMロックフリーモデルで転用周波数帯に対応したモデルはまだ少ないだけに、サブブランドやオンライン専用プラン/ブランドで利用する端末としても、有力な候補になりそうだ。
Reno A、Reno3 Aと着実に評価を積み重ねてきたこともあり、販路は広い。Reno5 Aは、Y!mobileと楽天モバイルの2キャリアが取り扱う他、IIJmioやイオンモバイル、OCN モバイル ONE(goo Simseller)、BIGLOBEモバイルなどの大手MVNOも販売。Amazon、楽天市場をはじめとするオンラインストアに加え、大手家電量販店の店頭にも並ぶ。指原莉乃さんを起用したテレビCMも放送予定で、知名度が高くなれば、これまでのReno Aシリーズと同様、指名買いされる端末になりそうだ。
関連記事
OPPOの端末戦略 フラグシップはキャリア市場、ミッドレンジは性能で勝負する
オウガ・ジャパンが5月25日、2021年夏商戦向けのスマートフォンを発表した。ラインアップは、フラグシップの「OPPO Find X3 Pro」、ミッドレンジの「OPPO Reno5 A」「OPPO A54 5G」の3モデル。フラグシップ機では他社が未導入の技術を採用し、キャリア市場で勝負していく意向を示した。「OPPO Find X3 Pro」「OPPO A54 5G」のSIMフリーモデル登場 6月下旬から順次発売
オウガ・ジャパンが、「OPPO Find X3 Pro」と「OPPO A54 5G」のSIMロックフリーモデルを投入する。Find X3 Proは7月中旬以降、A54 5Gは6月下旬以降に発売する予定だ。「コスパ」と「5G」を武器に日本で台頭したOPPO その歩みと今後の戦略を読み解く
OPPOの5Gスマートフォンがauとソフトバンクから発売される。SIMフリー市場では、コストパフォーマンスに優れたRenoシリーズでシェア拡大を目指す。今後はスマートフォンの周辺機器も拡張して満足度向上に努める。そんなOPPOの日本での戦略を解説する。「OPPO Reno3 A」レビュー パフォーマンスは先代よりダウンしたが、コスパの高さは健在
オッポジャパンが6月25日に発売する「OPPO Reno3 A」は、コストパフォーマンスの高さから高い人気を集めた「OPPO Reno A」の後継機にあたる。おサイフケータイや防水・防塵(じん)にも対応。価格は税込みで3万9800円で、Reno Aとほぼ同じ水準だ。カメラがクアッドカメラになった一方で、プロセッサはReno Aよりも低スペックの「Snapdragon 665」を採用している。おサイフ+防水対応で3万円台 「OPPO Reno A」はなぜここまで安い? トウ社長に聞く
OPPOのSIMロックフリースマートフォン「Reno A」が好調に売れている。Reno AはSnapdragon 710を採用し、おサイフケータイや防水などの日本仕様にも対応しながら、価格を3万5800円(税別)に抑えたモデル。なぜここまで安くできたのか? オッポジャパンのトウ・ウシン社長を直撃した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.