ソフトバンクとドコモの決算を振り返る ahamoやLINEMOなど新料金の影響は?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ソフトバンクは8月4日、ドコモは8月6日に第1四半期の決算を発表した。業績自体は好調ながら、どちらも2月、3月以降の料金値下げや新料金プランの導入が響き、通信料収入は減収に見舞われている。一方で、ソフトバンクとドコモを比較すると、中身には少々違いがある。
ソフトバンクは8月4日、ドコモは8月6日に第1四半期の決算を発表した。前週にあたる7月30日に決算発表を行っていたKDDIと同様、業績自体は好調ながら、どちらも2月、3月以降の料金値下げや新料金プランの導入が響き、通信料収入は減収に見舞われている。自社内でより低価格なブランドにユーザーが移行しているのが主な理由だ。一方で、ソフトバンクとドコモを比較すると、中身には少々違いがある。その詳細を見ていこう。
料金値下げが直撃するも、端末販売や非通信で増収増益を維持
ソフトバンクの第1四半期決算は、辛うじて増収増益を果たした。売上高は約16%増の1兆3566億円、営業利益は1%増の2831億円。増収幅が大きいが、同社代表取締役兼CEOの宮川潤一氏によると、その理由は「LINEの子会社化が完了したことと、コロナ影響を受けた端末の販売台数が回復した結果」だという。セグメント別で見ても、全て増収。宮川氏は「総じて順調に進んできている」と自信をのぞかせた。
一方で、コンシューマー事業は、やはり料金値下げの影響が直撃した。売上高自体は、6932億円と増収しているものの、これは端末販売が2020年度に比べて上向いた結果。「モバイルの通信料収入は、値下げの影響がそろそろ出始めている」(同)状況だ。実際、2020年度に4120億円あったモバイルの通信料収入は4081億円へと減収している。年間での影響は「700億円程度の減収になることを見込んでいる」(同)という。
中でも、ソフトバンクからY!mobileへのブランド変更が進むことの影響は大きそうだ。宮内氏は「ソフトバンクブランドのユーザーの中で価格の敏感な方がY!mobileに移動しているケースが多い。移行すると、自動的にARPUが下がり、全体のARPUも下がっていく」と語る。また、3月に開始したLINEMOも、「ソフトバンクブランドからの乗り換えがほとんどに近い状態」で、通信料収入の押し下げ効果が出ている。
その影響はブランドごとの契約者数からもみて取れる。スマーフォン累計契約者数は2618万と、2020年度第1四半期から7%増えているものの、ソフトバンクブランドはほぼ横ばいか微減程度。伸びを支えているのがY!mobileやLINEMOであることが分かる。宮川氏によると、Y!mobileは700万契約を突破、LINEMOは「50万にも満たない状態」だが、7月に月額990円(税込み、以下同)の「ミニプラン」を投入したことで今後伸びが加速する可能性はある。
一方で、Y!mobileが伸びていることで「グループ外への移行を抑制できている」のも事実だ。ユーザーを他社に奪われると、当然だが、ソフトバンクへの収入はゼロになる。収入が半分になっても、ソフトバンク内の別ブランドにとどまってもらった方が減収の影響は小さくなる。他社からのユーザー獲得も「意外と好調」だといい、これがスマホ累計契約者の増加につながった格好だ。細部に違いはあるものの、構造自体は前回の連載で分析したKDDIの状況に近い。
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