「0円プランには踏み込まない」「半導体不足の影響はiPad」 ソフトバンク決算会見で宮川社長が語ったこと(2/2 ページ)
ソフトバンクが2022年3月期 第2四半期の決算説明会を行った。売上高は2兆7242億円で12%増収、半期ベースでは過去最高だった。LINEの子会社化や、携帯端末の販売がコロナ禍で大幅に減った2020年度よりも回復したことが要因だ。質疑応答では料金プランの在り方や半導体不足の影響、ドコモの通信障害などについて挙がった。
―― 5Gの無制限プランによってARPUが上がっていくのはいつか。
宮川氏 一度下げた料金はなかなか上げづらい。5Gで、無制限プランに寄ってくる時代がまた来て、リッチコンテンツをきちんと出していくことによって、マーケットが広がると思う。どのキャリアも、今年(2020年)から来年(2021年)にかけて、5Gネットワークを作り上げることが主戦場になると思う。今年度中には、どのキャリアもスタンドアロン(SA)のコア設備が整うと思うので、ネットワークスライシングなどの新しいサービスが生まれてくると思う。2、3年という単位で全く違った料金体系が出てくることを想像しているので、そのときに出遅れることなく、業界をリードしていきたい。
―― LINEMOの契約数は?
宮川氏 LINEモバイルとLINEMOを合わせて100万を超えている。LINEMO単体の開示はしない。ただ、LINEMOは月額990円のミニプランを出してから勢いが増して順調に伸びている。
―― ドコモのエコノミーMVNOやKDDIのpovoに対して、LINEMOをどう育てていくのか
宮川氏 Y!mobileブランドの方がお客さん受けが良い。オンラインでLINEMOを支持する人は、それはそれで受け入れるが、Y!mobileの受けの方がはるかに上。Y!mobileをもっと強化していきたいと考えている。
―― Y!mobileやLINEMOからソフトバンク側に移る動きはあるのか。
宮川氏 ソフトバンクからY!mobileやLINEMOに移る数の方が絶対的に大きい。5Gを使う人はトラフィックが増えるので、定額制料金プランを選ぶ人たちがソフトバンクに戻るという循環はある。これが1対1くらいで循環してくれるいいが、残念ながらY!mobile側に移動する数が多い。
―― NTTドコモとNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの統合について。
宮川氏 ドコモとNTTコムの話は超脅威。大きすぎるといって分割したものが、また同じ形に戻りつつある。時代が変わったら仕方がないということだったが、何らかの議論があってもいいことだとは思う。NTTドコモもNTTコムも、法人のDX化が得意な会社。われわれソフトバンクも同じことをしている。これは健全な競争でウエルカム。切磋琢磨した中で、新しいビジネスモデルが生まれてくる、そんな環境が望ましいと思っていたので、これがあるべき姿だと思う。
―― NTTドコモの通信障害について
宮川氏 正直、これは起こりうる障害だと思った。IoTのデバイスでローミングすると、どのキャリアの信号も読めるように作らなくてはいけないが、IoTデバイスのコストが上がってしまって現実的に難しいと思う。『われわれはこういう制御プログラムを使ってやっている』ということを、キャリア同士、情報交換していくことが必要になるかなと思った。
―― 半導体不足の影響について
宮川氏 クリティカルな影響はまだないが、発注した部品が入るタイミングがずいぶん先になり、少しずつ影響は見えつつある。作業が止まってはいないが、だんだんと影が見え始めた感じ。ただ、実際に今、本当に実害があるのはiPadが入らないこと。新しいiPhoneは、必要な分の在庫は確保しているので大丈夫。
―― PayPayの黒字化の時期について
宮川氏 数年以内には黒字化できると思っている。ただ、PayPayについてはもう少し拡大路線を取る。それからしっかりとした回収時期に入りたいと考えている。この1年で何か触るのではなく、まだ攻めたい。どのタイミングでIPO(株式の新規上場)できるのかの議論は、決まり次第、お知らせする。
―― 5G SAの商用サービスをどのように広げていくのか。
宮川氏 最初に「Airターミナル5」でSAに対応したのはチップセットの関係。スマートフォンのSA化は、チップが順調に出てきたらという条件付きにはなるが、春までにはやりたいと思っている。SAのコアの仕組みは出来上がったので、これをいろんなデバイスに横展開していく。
―― 先日、米Alphabetの子会社LoonからHAPSの特許を獲得した。どこを評価したのか。今後、どこに役立つのか。
宮川氏 Loonはヘリウムガスを使って気球を上げていたが、成層圏でも気流があるので、同じ場所にずっととどまることが難しかった。通信キャリアにとっては、同じ場所、同じ品質で電波を発射して送受信できることがマストだが、インターネット業界の人たちはベストエフォート型。今までなかったところに電波があるだけでもいいよね、という考え方なので、ビジネスの組み立て方が違っていた。技術的にはさすがGoogleで、世界で300個くらいの気球を上げて通信していたが、たった2人のオペレーションで、あとは全部AIで自動化されていた。それを見た瞬間に提携しようという話をしたくらいで、自動化のノウハウを注入してもらった。
また、Loonとわれわれが共同で無線機を作った。手作り感が満載だったが、成層圏まで行ってLTEの電波を発射し、品質も最高のクオリティーまで出せた。そういうものが手作りで作れる仲間たちだったことが大きかった。一番の財産は、7、8年間もの間、ずっと気球を上げ続けて得た成層圏のデータを共有してもらったこと。
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