月額1078円で5GBに J:COM MOBILEが値下げよりも“データ増量”に注力する理由:MVNOに聞く(2/3 ページ)
J:COM MOBILEは、2月1日に複数サービスのセット契約でデータ容量を大幅に増量する、「データ盛」を開始した。J:COM MOBILEといえば、訪問設定サービスまで含めた手厚いサポートを売りにしている。必ずしもヘビーユーザーが多いわけではない中で、なぜデータ盛を導入したのか。
サポートにはかなりのコストを掛けている
―― 2021年2月に新料金プランを開始し、間もなく1年です。若年層を増やすという目標も掲げていましたが、その後はいかがでしょうか。
石川氏 比率としては増えています。ただし、やはり一番多いのがシニアで、これが4割ぐらいですね。前はもうちょっと極端でしたが、4割ぐらいに下がってきたという感じです。ただ、ここはもうちょっと頑張らなければと思っています。iPhone SE(第2世代)を扱い始めたころから、加入される世代が変わり始めていますが、今のプランを入れ、もう一段変わりました。
学生さんにも魅力を感じていただけるよう、固定のネットとモバイルをセットにした割引も始めました。6カ月限定ですが、2980円でネットもモバイルも使えます。今の若い方はほとんどが1月から3月に契約されています。今まで実家のネットを使っていた方が一人暮らしを始めてネットを引いたり、スマホを新しくしたりします。そういったこともあり、この割引を出させていただきました。
―― データ盛を適用しない場合、1GBコースは1GBで1078円ですが、これはMVNOの中では高めの料金設定だと思います。やはりサポートなどが理由でしょうか。
石川氏 サポートがあり、公衆Wi-Fiも使えて、データも繰り越せます。(J:COMオンデマンドの)ゼロレーティングもやっていますし、私どものお客さまは音声通話をたくさん利用するので、5分間のかけ放題メニューも出しています。MVNOとの単純なデータ容量の比較では勝負しないという方針です。
―― 一方で、昨年はUQ mobileが大幅な値下げをして、自宅セット割適用時の料金が3GB、980円まで下がりました。
石川氏 生存領域が狭まっているのは間違いないですね。
―― 楽天モバイルの影響はありますか。
石川氏 こちらに関しては、以前は取られる一方でしたが、今は10取られると6ぐらい返せてもらっています。その意味で、大きな影響はありません。MNPで取られるのは数百といったレベルで、今月(インタビューは1月)は取った、取られたが100もいかないぐらいです。流入元はドコモ、au、ソフトバンクが多く、MVNOからもそんなに入ってきていません。
―― 一般的なMVNOとユーザー層が大きく違うので、MVNO同士の競争の影響はあまり受けていないということもありそうですね。
石川氏 いくら料金を500円、600円にしても、私どものお客さまはサポートがなければ「なんだ」ということになってしまいますから、サポートはせざるをえません。ショップをそこまで持っているわけではないので、アフターで来てくださいというわけにはいかない。ですから、初回はご希望があれば、お客さまのところへ伺って設定をしています。この辺は、他のMVNOに比べてかなりコストをかけているところです。お客さまにきちんと価値をお届けるのは大前提ですからね。使えない状態で(SIMカードや端末だけを)お渡ししても、意味がありません。
J:COM LINKのゼロレーティングは厳しい
―― 冒頭でお話がありましたJ:COM LINKですが、いわゆる放送をスマホのデータ通信で見られるというのはかなり魅力的だと思いました。こちらは、どの程度の利用率でしょうか。
石川氏 J:COM LINKの中のモバイル契約者という意味だと、20%強です。古いSTBを使っている方もいるので、LINK全体だとそういう数字になりますが、まあまあ立派な数字だと思っています。訪問した際に設定を済ませて、最初のハードルは下げるようにしています。
―― 今のゼロレーティングはJ:COMオンデマンドに対してですが、J:COM LINKへの適用は難しいのでしょうか。
石川氏 それはちょっと厳しいですね。MVNOでなければそういった強烈なことはできたかもしれませんが、MVNOの構造だとちょっと難しい。極端なご利用をされる方のニーズには、残念ながらおこたえできません。やや大きめなデータ容量のコースを用意したのには、そういった背景もあります。自分たちのターゲットはしっかりあり、そこでのポジションは取っていきます。ステディにこれを伸ばしていくのと、既存領域とのシナジーを重視する。これがモバイルでの戦略です。
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