多すぎて分からない「ワイヤレスイヤフォン」 選び方のポイントを解説(2/3 ページ)
完全左右独立型のイヤフォンは「TWS(True Wireless Stereo)イヤフォン」とも呼ばれ、ここ数年で多く普及していることもあり、販売される製品も数多くある。そこで今回は選ぶべきポイントを挙げながら、イヤフォン選びについて語っていきたいと思う。
アクティブノイズキャンセリングや外音取り込み機能にも注目
スマートフォンメーカーだけでなく、オーディオメーカー各社も多種多様なイヤフォンを展開している。アクティブノイズキャンセリングや外音取り込み機能は目に見えて選びやすい機能といえる。
アクティブノイズキャンセリングの設計は難しいものだが、近年はQualcommがこれらの機能を内蔵したプロセッサを展開しているため、これを搭載したことで、安価で高性能なノイズキャンセリング機能や、外音取り込み機能を搭載できた機種も多く、機種が増えて選びやすくなった。ただ、精度は搭載しているマイクの性能、設置位置、使用しているスピーカの特性などに左右されるので、一概に全ての機種でいいとはいえない状況だ。
ノイズキャンセリングで評価が高い製品が、ソニーの「WF1000X」シリーズだ。ウォークマンや専用機で培った独自のアルゴリズムを搭載し、多くのユーザーから高い評価を得ている。
対応するコーデックから考える
音質面では「コーデック」というものが関わってくる。商品紹介でよく見かける「SBC」や「AAC」は多くのTWSイヤフォンで標準対応になりつつあるコーデックだ。スマートフォン側もほぼ全ての機種が対応しているといえる。
高音質なコーデックとしてはQualcommの「aptX」が有名だ。現在では派生した幾つかの上位規格をひとまとめにした「aptX Adaptive」対応のイヤフォンとスマートフォンが増えている。「Final ZE3000」や「Noble Audio Falcon 2」などの高音質を売りにする機種ではaptX Adaptiveに対応している。
近年では「Snapdragon Sound」というものも登場している。aptX Adaptiveの24bit/96KHz再生に対応し、Qualcomm製の特定のチップを搭載した上で、同社ラボで接続性や周波数特性、信号遅延などの試験に合格した機種にのみ与えられる称号だ。対応イヤフォンはまだ少ないが、今後増えていくことに期待していきたい。
AVIOTの「TE-BD21j-ltd」は数少ないSnapdragon Sound対応機種だ。対応スマートフォンもかなり少数だが、対応機器同士の組み合わせでは非常に高品質なリスニングが可能だ。
この他に「LDAC」と呼ばれるコーデックがある。ソニーが旗振りをして策定したコーデックで、ハイレゾ相当の高音質なサウンドを再生できる。ソニーのXperiaシリーズだけでなく、近年のAndroidスマートフォンでは多くの機種で利用できる。ソニーの「WF-1000XM4」はLDACにも対応するだけでなく、高音質に磨きをかけた商品だ。
コーデック以外では搭載しているドライバーユニット(スピーカー)の性能や構成、各社のサウンドチューニングなどが音質に大きく関わってくる。
JVCの「FW1000T」では、同社の有線イヤフォン同様にウッドドーム振動版を採用している。11?と大型のユニットを採用したこともあって、独特の雰囲気をもつサウンドに仕上がっており、市場でも異彩を放つ商品だ。
高音質再生に全てを振った商品としてはNoble Audioの「Fokus Pro」がある。ノイズキャンセリングなどの機能も持たない商品だが、プロ仕様の構成と卓越したチューニングで既存のTWSイヤフォンとは一線を画すクオリティーのサウンドが楽しめる。実売価格が5万円以上とこの手の商品としてはかなり高額な価格設定ながら、一時は生産が追い付かずに受注停止となったくらいの人気商品だ。
なお、iPhoneではSBCとAACのコーデックにしか対応していない関係で、aptXやLDAC対応のイヤフォンの性能を発揮するのは難しい環境だ。これらのTWSイヤフォンではハードウェア的には高音質で聴けるのに問題はないのだが、音質の点から言うと、コーデックなどで最適化されたAndroidスマートフォンの方が有利だ。ソニーのWF-1000XM4などのように、本体にアップコンバート機能を備え、スマートフォンを選ばずに高音質化できる機種もあるが、かなり少数になる。
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