「ahamo小盛りは作らない」「OCN モバイル ONEは統合しない」 ドコモ井伊社長が断言する理由(1/3 ページ)
ITmedia Mobileでは、NTTドコモの井伊基之社長に単独インタビューを行う機会を得た。楽天モバイルの0円廃止発表後、意外にもahamoが伸びているという。ただし小容量プランを提供する考えはないとのこと。MVNOとは共存する考えも示した。
ITmedia Mobileでは、NTTドコモの井伊基之社長に単独インタビューを行う機会を得た。
ここ最近のモバイル業界で話題となっているのが、楽天モバイルの「0円廃止」に端を発して、さらに活性化しつつある携帯料金の競争だ。各社がキャンペーンに動く中、ドコモは小容量プランや大掛かりなキャンペーンは打たず、静観の構えを見せている。
一方で、ドコモは月額4950円(税込み、以下同)で100GBまでのデータ通信を利用できる「ahamo大盛り」を6月9日に提供開始した。7月には、NTTコミュニケーションズが提供しているMVNOサービス「OCN モバイル ONE」をNTTレゾナントに移管し、レゾナントはドコモの子会社となる。OCN モバイル ONEはドコモの「エコノミーMVNO」にも参画しているが、今後の位置付けも気になるところだ。
こうした料金施策に対する疑問を井伊氏にぶつけた。
ahamo大盛りは思っていた以上に好調
―― 「ahamo大盛り」の反響は、いかがでしょうか?
井伊氏 事前のご予約もありましたけど、コンスタントに申し込みがありますよ。(ahamoの契約者が)300万ちょっとを超えたところですが、思っていた以上に最初の希望者が多かった。やっぱり20GBじゃ足りなかったということですよね。
―― 発表時期が3月と早かったので、情報が行き渡った面もあるのでしょうか。
井伊氏 それもありますよね。他社さんとの競争状況なので、実施時期よりも先にローンチ(発表)しておかないと、他社に移ってしまう可能性があるので。なるべく発表を早くと。その間にシステムなどを大突貫工事で準備するというパターンですね。
―― ドコモと他社、どちらからの申し込みが多いのでしょう。
井伊氏 それは見えない。ポートインはポートインで別の管理をしているので。意外と、楽天さんの話が火種になって、ahamoが売れるという不思議な現象が起きているんですよ。0円じゃないので、何でahamoが受けているんだろうと。ひょっとしたら大盛りもあるのかもしれませんけど、そこは区別できないですね。
価格で動く人はロイヤルカスタマーではない
―― 楽天モバイルが5月13日に新料金プランを発表して以降、他社へ流れる動きが出ていますが、ドコモさんも同じ状況だと。
井伊氏 同じですね。エコノミーMVNOも増えているし、ahamoも増えている。ああいう話題が起きると、顧客の流動性が高まるんですね。みんな1回、プランを見直すのかもしれないですね。
―― 相乗効果というか、波及効果というか……。
井伊氏 かもしれません。ただ、価格で動く人はまた動いてしまうので、ロイヤルカスタマーかというと、そうではなくて。比較的、安いのを探していらっしゃる方かもしれないので、いっときの現象だと思っています。
―― ahamoはどれぐらい数字が伸びているのでしょうか。
井伊氏 (ahamo大盛りは)まだ1週間ぐらいなので、あんまり言えないんですよ。初期の飛びつきかもしれない。
楽天モバイルの0円廃止は「意外ではなかった」
―― 楽天モバイルが5月13日に発表した新料金プランで、0円を廃止することが決まりました。率直に、どう受け止めていますか。
井伊氏 0円を出したときは意外だったんですけど、キャンペーンかプランとして0円でやるかという中で、0円でも加入数を伸ばしたいという意図でされたんだろうなと。ただ、経営的には「1GB以下0円」は全くもって赤字のはずなので、そう長くは続かないと思っていました。今、楽天さんも設備投資を盛んにしないといけない。つまりコストが出る時期なので、その間に収益が上がらない0円モデルはしんどいだろうなと思っていたので、こういうタイミングで、決算時期に合わせて見直されたんだろうなと思います。意外ではなかったですね。
―― ドコモさんにとっては追い風ですよね。
井伊氏 まあそうなんですけど、われわれは0円を提供していないので、低価格帯を望んでいる人たちがもう1回どこを選ぶのかという、再見直しが来ていると思うんですよね。他キャリアさんはそれを補強するようなキャンペーンも打たれていますけど、われわれはもう1回価格競争には持ち込みたくない。不毛なので。今のまま、自然体でエコノミーMVNOとahamoをやっています。
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