楽天モバイル、ゼロ円プラン廃止で契約者23万減――逃した魚は大きかったのか:石川温のスマホ業界新聞
「月額0円から」のプランが廃止されることになり、楽天モバイルからの顧客流出が一時話題となったが、先の2022年度第2四半期決算でその影響がMNOとMVNOで合計約23万件の純減という数字で明らかとなった。月額0円からを目当てに契約しているユーザーが相当数いる現状では、短期的に解約が収益の改善につながると思われるが、中期/長期的に見るとそうとも言えない可能性もある。
楽天モバイルの最新の契約者数が明らかになった。6月末現在で546万契約と、4月末現在と比べて23万件、減少した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年8月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
理由は「ゼロ円プラン」の廃止だろう。三木谷浩史会長は「解約ユーザーの8割はゼロ円ユーザー」だと語る。23万件の純減ではあるが、当然のことながら、新規契約者もいるわけで、実際に楽天モバイルに愛想を尽かせて解約したユーザーはもっと多い。
この契約者数は楽天モバイルが想定するよりも多いのか、少ないのか。そのあたりを三木谷会長に尋ねたが「当然、ゼロ円だったユーザーや、正直、全く使ってなかったユーザーもいた。ある意味一定の離脱は致し方ない」とはぐらかされてしまった。
確かに短期的に見れば、回線を維持するためだけだったり、1GB以下しか使わないという、利益をもたらさないユーザーを切るというのは経営的には正しいことなのかも知れない。しかし、これらのユーザーはわざわざ新規契約の手続きをしてくれ、本人確認書類なども提出してくれた人たちだ。スイッチングコストを負担してまでも楽天モバイルに加入してきてくれた人を他社に移行させてしまうのはなんだかもったいない気もしなくもない。
もうちょっと踏ん張って、1GB以上を使わせる努力もできたような気がする。
実際のところ、ほとんどのユーザーがメインではなく、サブ回線として契約しているのだろう。KDDIの通信障害によって「サブ回線需要」というものが出始めてきているだけに、何とももったいない。
ゼロ円といわないまでも、1GB以下250円ぐらいの値付けであれば、他社にもまだまだ勝てる値付けであるだけに、流出するユーザーはグッと減ったのではないだろうか。
流出したユーザーに対して、三木谷会長は「楽天モバイルは進化している。これから5Gも本格化するし、最先端の技術を投入している。楽天ポイントの獲得率も大幅に上げた。総合的に見て、また時期を見て楽天モバイルを検討していただければと思う」と語ったが、一度、見切りをつけたユーザーが同じブランドを選ぶというのは至難の業だ。
実際、過去にはソフトバンクの通信品質がイマイチだった頃、一度、ソフトバンクを辞めたユーザーがまたソフトバンクに帰ってくることはほとんどないとされていた。
ただ、一方で、あるMVNO幹部は「ゼロ円で釣ったユーザーは定着しない」と語る。ゼロ円ユーザーに早々に見切りをつけたのは正しかったのか。それとも、もうちょっとゼロ円ユーザーが優良顧客に育つまで待つべきだったのか。
この判断が正しかったのかがわかるのは、もうちょっと時間がかかるのかも知れない。
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