iOS 16でハマる画像の「切り抜き」機能――スマホはOSとAIのコラボで差別化を図る時代に突入:石川温のスマホ業界新聞
2022年秋にリリース予定の「iOS 16」のパブリックベータをじっくり触ってみている。Googleの「Pixel 6a」などでもAIを生かした機能をアピールしているが、これからはOSと機械学習ベースのAIを生かした機能で差別化を図る時代になっていく予感がする。
今週、取材が全くなかったので、今秋、正式リリース予定のiOS 16をじっくりと触ってみた。
使っていて特に気に入っているのが「切り抜き」機能だ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年8月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
カメラで撮影した画像を、写真アプリで表示し、長押しするとAIが被写体を認識し、切り抜いてくれるというものだ。人物やペットなど、あっと言う間に切り抜いてくれる。切り抜いた画像はコピーや共有ができ、メッセージなどで送れるし、YouTubeのサムネイルなどにも活用できる。実際、子どもを切り抜き、メッセージで送って楽しんでいる。
アップルの自社開発チップでは機械学習などのAI処理能力に長けている。この画像切り抜き処理もAIのチカラが大きいのだろう。
今回、iOS 16では、iPhone7などの過去モデルが非対応機種となった。iPhone 7などではAI処理が難しいということで対応機種から外された模様だ。
AI処理という点においては、Google「Pixel 6a」も楽しい。消しゴムマジックで背景を、ビックリするぐらい綺麗に消せるのは驚きだ。実際、5歳児の前で消しゴムマジックを使うと、「消えた!」と声を上げて喜んでくれるほどだ。消しゴムマジックもグーグルの自社開発チップ「Tensor」の存在が大きい。
これらの画像処理技術を見ていると、もはやスマートフォンの差別化要因は、自社開発チップによるAI処理の域に達しているように思える。
もともと機械学習によって、撮影したカメラ画像の処理に威力を発揮しており、ユーザーにはわかりにくかったが、切り抜きや消しゴムマジックなど、AI処理をわかりやすい方向に持ってきている。
また、iOS 16では、音声入力をしつつ、キーボード入力も併用できるというアップデートを行っている。実際にiPhone 13 Pro Maxで試してみたが、音声入力でサクサクと日本語を認識してくれるし、句読点はキーボードで入力しつつ、誤入力はキーボードで修正するということができて、とても快適であった。
この処理にAIがどこまで使われているかは不明だが、いずれにしても、OSとチップ、ハードウェアがすべて同じメーカーが開発されている垂直統合モデルが生かされている格好と言えそうだ。
スマートフォンのハードウェアでなかなか差別化できない中、いよいよチップとOSを組み合わせた勝負の世界に入った感がある。
アップルとグーグルが抜きん出る中、クアルコム・Snapdragonを用いる他のメーカーは、どのようにAI処理で差別化していくべきなのか。
他のメーカーにとっては悩ましい時代に突入したと言えそうだ。
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