Androidスマートフォンの“寿命”がiPhoneよりも短い理由(3/3 ページ)
今回はスマートフォンをとりまくOSアップデートの実情、新たな取り組みについて考察する。AndroidスマートフォンのOSアップデートがiPhoneよりも少ない背景には、検証コストやプロセッサのサポート期間がある。そのAndroidスマートフォンでも、OSのアップデート長期化の流れも見え始めている。
継続的なソフトウェアアップデートと修理対応が今後のトレンドか
iPhoneに限らず、AndroidスマートフォンでもOSのアップデート長期化の流れも見え始め、今後はハイエンド端末を中心に4年間のサポートが行われる流れになるはずだ。そのようになると回避できなくなる問題が、スマートフォンのハードウェア的な劣化だ。
最も身近なものとしてバッテリーの劣化がある。3年もスマートフォンを利用すればバッテリーの寿命も迎えており、多くの場合は交換を考える時期に入る。ソフトウェアのアップデート保証期間だけでなく、本体の保証期間も考える必要が出てくるのだ。
iPhoneではメーカー修理も充実している。今なお2014年発売のiPhone 6の修理まで対応するなど、長期間の手厚いサポートが魅力だ。Androidスマートフォンにおいても、キャリアで販売されたモデルは比較的長期に渡って修理対応が行われるものも多い。その一方、端末の提供時期の短さなどから比較的短期間で対応が終了している機種もあり、保証期間は一律ではない。
例として、2018年発売のXperia XZ2シリーズを見てみる。ドコモで販売されたXperia XZ2のサポート終了日時が2023年3月末に対して、上位機種のXperia XZ2 Premiumは2022年11月末、Xperia XZ2 Compactは2023年1月末となっており、機種によって異なることが分かる
機種としてはおおむね5年に満たない程度のサポート期間となっており、それ以降は同等クラスの製品への交換対応となる。
日本では大手キャリアの手厚いサポートなどもあり、ハードウェアの故障修理に対してはショップをはじめ、代替機を含めて対応してくれることが多い。一方、オープンマーケットで販売される端末に関しては、キャリアに比べて不十分な対応となるメーカーも多い。今後、オープンマーケットのスマートフォンは、端末本体の修理体制もしっかり吟味して選ぶ必要がある。
中国メーカーはOSバージョンアップに加え、各社の独自UIを長期に渡ってアップデートを提供する考えを示している。独自UIのアップデートはOSバージョンアップとは異なる形だが、ユーザー体験を向上させる点で目指している方向は同じだ。
変わり種としては、Huaweiのように古い機種のストレージ容量をアップグレードするサービスを展開するメーカーもある。
欧米や欧州では「修理する権利」という考え方が注目されている。スマートフォンを個人で持続的にメンテナンスを可能にする点が、新たな商品への付加価値となっている。AppleやGoogleでは一部地域向けに、製品のパーツ販売や修理マニュアルを公開するなど、新しい動きも見えつつある。
近年は新たな指標として「修理可能性指数」が注目されている。これはフランス政府が導入しているもので、サーキュラーエコノミーの考え方に沿って商品に点数として明示されている。スマートフォンの修理しやすさ、スペアパーツの入手価格、入手可能な時期などを10点満点の評価で数値化している。フランスでは2022年時点で、販売されている90%近いスマートフォンに数値が明示されており、消費者が修理のしやすさで端末を選べる。
日本で「個人が修理する権利」を公に行使することは難しい。技適マークのある携帯電話の分解、修理をメーカー以外が行うと、現行電波法上では「無線機の違法改造」に触れることになる。
スマートフォンを数年間、持続的に使っていけるようにすることが今後のトレンドになるだろう。全くアップデートされなかったスマートフォン――そういう時代はもう終わりつつあるのかもしれない。
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たしかに、たまにiOS 6が懐かしくなります。
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