「Apple Watch Ultra」はガジェット愛好家も選ぶべき? 日常使いでの○×をチェック(2/2 ページ)
Appleが9月23日に発売した「Apple Watch Ultra」。他モデルに比べるとディスプレイが大きくボタンが追加されている上、動作温度が広がるなど独自の特徴が多い。アウトドアで活躍するのは当然の本機を都市部、市街地で日常使いするとどんな点が便利だろうか。
動作温度とバッテリー持ちの長さは◎
機能登山やダイビングなど、アウトドアシーンを想定した機能を除く場合、Apple Watch Ultraで特筆すべきポイントは、2つある。
1つは、動作温度が-20℃まで対応していること。より詳細に言えば、通常のApple Watchが0℃~35℃で正常に動作するとされているのに対し、Apple Watch Ultraはそれが-20℃~55℃まで広がる。もしウインタースポーツや冬の登山などはしないという人でも、そもそも冬の氷点下は当たり前という寒冷地方に住む人ならば、魅力的な特徴といえる。
例えば、氷点下で通常のApple Watchを使っている場合だとバッテリー持ちが極端に悪くなったり、そもそも正常に動作しなかったり、というリスクが出てくる。一方、Apple Watch Ultraなら(執筆にあたって実際の検証はできていないものの)氷点下でも安定して使えることが期待される。
ちなみに、iPhoneの動作温度も他のApple Watchと同じく0~35℃だ。万が一iPhoneがうまく動作しないような温度でも、通信プランを契約しているApple Watch Ultraなら連絡手段として利用できるかもしれない。
寒いのは山の上だけとは限らない。寒冷地でも安定した挙動が期待できるのはApple Watch Ultraの重要なポイントだろう(一方、従来のApple Watchでも夏場の炎天下で挙動がおかしくなったようなことは経験がないので、夏場の体験にはそこまで差はないのでは、と筆者としては思う)
また、バッテリー持ちも、他のApple Watchと比べれば長い。例えば、仕様上の数値では、Series 8やSE(第2世代)だと最大18時間使用できる。一方、Ultraなら最大36時間の連続稼働が可能。LTE通信をオンにしても最大18時間利用可能とされる。
また、Apple Watchのバッテリー持ちは使い方によって前後するが、ワークアウトやアプリなどを積極的に使わない日には、仕様表記よりも長くなる傾向がある。体感的には、通常モデルで1.5日前後、Ultraで2日強は使えるという印象だ。「低電力モード」をオンにすれば、さらに利用可能時間は伸びるだろう。日中利用して睡眠の測定もしたいという場合に、電池持ちの面では扱いやすい。
同様に、ワークアウトを実施する場合も、Ultraのスタミナは心強い。仕様としては、「GPSを使用した屋外ワークアウト」で最大12時間利用できるとされる(参考リンク)。Series 8の最大7時間と比べると5時間もの差がある。
例えば、1キロ12分のペースで42.195キロ歩くと考えると、およそ8時間半かかる計算になる。つまり、歩くのとさほど変わらないペースでフルマラソンにチャレンジした場合、Series 8では途中でバッテリーが切れるが、Ultraなら現場への行き帰りも含めて余裕でバッテリーが持つということになる。
実際、筆者が屋外ウオーキングを1時間実施したところ、ワークアウト開始時に89%あったバッテリー残量は、1時間で81%まで、つまり7%分減った。もし減り方が一定と仮定すると、100%から12時間強のワークアウトができることになり、仕様の数値と比べても大きな隔たりはないと推測できる。
ただし、Ultraの重量は61.3gでApple Watchとしてはかなり重い。例えば、41mmのアルミニウムニウムケースを選べば31.9~32.2gなので、約半分の重さで済む。日々のジョギングやランナー需要を考えると、軽さを重視した選択の方が魅力的に感じるかもしれない。
ちなみに、筆者がスマートウォッチとして軽いと感じるのは大体40g前後を下回るモデルだ。61.3gのUltraは手首にずっしりと存在感がある。もちろん、個人差がある部分なので、Ultraの重さでも全然気にならない人は当然いるだろう
画面輝度の向上やアクションボタンの設定は魅力
アップデートしたポイントとしては、画面輝度が最大2000ニトに向上して直射日光下でも文字盤を視認しやすくなったことや、L1+L5の高精度2周波GPSに対応して位置測位を正確に行いやすくなったことなども挙げられる。ただし、これらはレビューをするように、複数機種を細かく比較しながら使わないと体感的には気付きにくいところでもある。また、筆者としては従来のApple Watchを市街地で使っていて輝度や位置情報で困ったことはあまりないので、購入検討時にそこまで差を気にしなくていいものでもあるとは思う。
アクションボタンの操作で、割り当てた機能をショートカット起動できるのは慣れると便利だ(ただし、慣れないうちは意図せずにボタンを押してしまい、誤操作することも度々……)。例えば、ワークアウトを割り当てれば、日々のジョギングやウオーキングがスマートに開始できる。また、ワークアウト以外でも、例えばSiriショートカットを登録しておいたスマート家電の操作などをボタンに割り当てておけば、テレビのオン・オフを手元で操作できたりもする
まとめ:従来のスタミナに不満があった人には価値あり
Apple Watch Ultraはシリーズ最上位モデルらしく、アウトドア用途以外の重要機能も網羅している。例えば、睡眠の計測や、女性なら体温の計測などもできるため、ライフログ用途でもしっかり利用可能だ。バッテリー持ちも通常モデルに比べて長いので、これまでのApple Watchのバッテリー持ちに不満があった人にとっても、選ぶ価値のあるモデルといえる。
また、ディスプレイが広くて画面のタッチ操作は行いやすいこと、アクションボタンのショートカット機能でスピーディーな操作が行えることも、Ultraならではのポイントだ。
一方、デザインはアウトドアユースに全振りしたものになっているため、ディスプレイにエッジがあることや、Digital Crownのサイズ感、ケースの重みなどは、常用する上での快適さを損なう要因にもなり得る。それぞれ致命的な問題でこそないものの、受け取り方に個人差はあるはずだ。やはりスマートウォッチで重要なのは、「長い時間、違和感なく身につけ続けること」だと筆者は思うので、可能な限り装着感などに問題がないかを店頭で確かめてから購入することをおすすめしたい。
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