子どもを狙ったネット詐欺に要注意 “中学生副業”に応募してみたところ……:子どもとスマホの付き合い方
子どもが遭いやすい詐欺に、フィッシング詐欺、ワンクリック詐欺、情報商材、個人間取引などがあります。実は年齢が低いほどワンクリック詐欺やフィッシング詐欺に遭遇しています。小学生高学年ともなれば、「自分が何か悪いことをしてしまったのではないか」と考え、詐欺に引っ掛かることも考えられます。
とあるサイトを見ようとしたら、年齢確認ボタンが表示されて、タップすると「会員登録ありがとうございました。登録料は6万円です」といった表示が出る詐欺をご存じでしょうか。これは「ワンクリック詐欺」というネットの詐欺です。使い古された手段のようですが、実は今でも被害が絶えません。最近では、サイトを訪問しただけで「会員登録ありがとうございました」と表示される、「ゼロクリック詐欺」も横行しています。
また、メールやSNSなどで偽のWebサイトに誘導し、アカウント情報(IDやパスワード)、クレジットカード番号などを盗み取る「フィッシング詐欺」も増加しています。国税庁を語り、「税金のお支払方法に問題があります。更新してください」などとSMSを送ってくるフィッシング詐欺も出てきています。
こうしたネット詐欺は子どもとは無縁のものと考えてしまいますが、実は年齢が低いほどワンクリック詐欺やフィッシング詐欺に遭遇しており、最も割合が多いのは未就学児となっています。
年齢が低いお子さんがワンクリック詐欺やフィッシング詐欺に遭遇した場合、意味が把握できずに保護者に相談して事なきを得るかもしれません。しかし、小学生高学年ともなれば、「自分が何か悪いことをしてしまったのではないか」と考え、詐欺に引っ掛かることも考えられます。
ワンクリック詐欺では、個人が特定されているような番号が表示されます。フィッシング詐欺では子どもも使っているような漫画・動画サイト、フリマアプリなどを装ってきます。子どもの判断力では、すぐに詐欺だと分からないかもしれません。
また、高校生以上になると、お小遣いやバイト代など自由になるお金も増え、さまざまなサービスのアカウントを持つようになります。詐欺にあった際の被害額が大きくなります。
2022年4月に施行された成人年齢の引き下げにより、18歳からクレジットカードを作れるようになりました。今まで親に頼むか、コンビニで支払っていた代金も、オンラインで簡単に済ませられるようになっています。自分が使っているオンラインショップや宅配業者からフィッシング詐欺のメールが来ると、対応してしまうかもしれません。
個人間取引や情報商材に関するトラブルも
中学生以上になると、SNSを始める人が多くなります。SNSを使った詐欺に遭うリスクも同時に高まります。
例えば、「コンサートチケットを譲る」と持ちかけ、金銭だけ支払わされてチケットが届かないといった「個人間取引」による詐欺があります。同じ有名人のファンを装うことで親近感を持たせていますが、偽名を使っており、支払いを急がせてきます。キャッシュレス決済などで支払いを行うと、それっきり連絡は取れません。「推し」である有名人の限定グッズを売ると投稿してだます詐欺もあります。
また、芸能人のプライベートが分かる書類や画像を送ると持ち掛けたり、副業でもうかると誘う「情報商材」の販売もあります。中高生が副業なんて、と考えてしまいますが、Twitterを「#中学生副業」で検索すると、「未成年の私でも稼げました」というツイートが散見されます。「親バレはしない」「ノンアダルト」「1日数万円」との文言もあり、気軽に連絡を取らせようとしてきます。
筆者は以前、こうした副業募集に応募してみました。すると、情報商材を買い求めるように言われ、さらにこの情報商材を自分も売ることでもうけられるとのことでした。他のアカウントでは、ポイントサイトへの登録を求められ、紹介側のポイントを稼いでいるようでした。とても数万円も稼げる話ではなく、お金も取られてしまいます。
副業はこれにとどまりません。副業が発展すると「裏バイト」になり、振り込め詐欺の「受け子(現金を受け取る役割)」や「出し子(だまし取ったお金をATMから引き出す役割)」をさせられる可能性もあります。実際に、振り込め詐欺に関わった高校生が逮捕に至った事例もあります。SNSで出会った人は正体が分からないため、安易に連絡を取ると危ない目に遭ってしまいます。
ネットで詐欺に遭わないために親ができること
子どもがネット詐欺に遭わないために、保護者はどうすればいいのでしょうか。
ワンクリック詐欺については、画面が出ても支払う必要がないことを伝えておきましょう。個人情報は知られていないと説明し、慌てて先方に連絡しないように話しておきます。
フィッシング詐欺では、メールやSMSのURLをタップしてしまうと偽サイトに遷移してしまいます。まず、自分が使っているサービスでも、決して記載されているURLをタップしないように話してください。もし、本当にアカウントにトラブルが起きているかも、などの不安がある場合は、ブラウザでサービスを検索して公式サイトにアクセスするか、公式アプリでログインするようにしましょう。
もし個人情報を偽サイトに入力してしまった場合、警察庁の「フィッシング110番」に相談してください。都道府県別に相談窓口が用意されています。
そして、個人間取引のトラブルへの対策は、ネットで知り合った相手をすぐに信じてはいけないと伝えてください。被害に合った場合は、「消費者ホットライン188」に相談してみてください。内容によっては、最寄りの警察署に相談してみる方法もあります。
ワンクリック詐欺やフィッシング詐欺は、大人でもだまされてしまう巧妙な詐欺です。SNSで出会う悪い人も、最初は優しく近づいてきます。子どもが早めに保護者に相談してくれるように、普段からトラブルを話せる関係性を築いておきましょう。
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