Pixel Watch本音レビュー 使って分かった「気に入ったところ」と「困ったこと」(2/3 ページ)
Googleが10月13日に発売した「Pixel Watch」は、Google初のスマートウォッチだ。スマートウォッチ向けOSを提供している一方でApple Watchと比べると約7年半の後れを取っているが、本体デザインやUIは好印象を持てる。
ハード・ソフトともに操作感は良好
前述したように、Pixel Watchは、現状Wear OS 3.5で駆動している。ざっと基本操作を説明しておくと、ディスプレイを下にスワイプするとクイック設定画面が、上へすワイプすると通知画面が表示される。左右にスワイプすると「タイル」と呼ばれるアプリウィジェットの画面に切り替わる。また、文字盤を長押しすることで、文字盤デザインを変更するための画面に切り替わる。
ボタン操作は、2時位置のボタンを1度押しで、最近起動したアプリの一覧画面が、長押しでGoogleアシスタントが起動する。一方、3時位置(リューズ)のボタンは、1度押しでメニューの一覧が、2度押しでウォレットが、長押しで電源オン、オフや緊急通報操作のための画面が表示される。なお、アプリ画面を開いているような場合には、リューズの1度押し操作で、文字盤画面まで戻る。
リューズは回転させるとメニュー画面などをスクロールできる。この際に、心地よい振動によってフィードバックがある。こうしたUXはよく作り込まれていて、実際にApple Watchなどと比べても遜色なく感じた。
ちなみに、2時位置のボタンの押し心地がやや硬く感じることがあるかもしれない。これは、ボタンの配置がやや裏面に寄っているからだ。そのため、側面の真横からボタンを押下しようとうると、ハードとしてボタンを押せる向きとベクトルが異なるため硬く感じる。実は、やや奥に指を潜り込ませるようにして、少し手前に向かってボタンを押下することで、多少滑らかに押せるので、もし実機を触って違和感を覚えたら試してみてほしい。
ソフトウェアの連携は煩雑で準備不足な印象もある
Pixel Watchの初期設定は「Google Pixel Watch」アプリ経由で行う。対応端末を近づけるとポップアップでPlayストアまで誘導されるし、初期設定操作のなかで丁寧なチュートリアルも表示される。読み飛ばさなければ、おそらく設定手順や前述したような基本操作で戸惑うことはないだろう。
ただし、登録手順の中でFitbitアカウントとの連携が求められる。これまでにFitbit製品を使ったことがない人や、冒頭で説明したGoogleとFitbitの関係性を知らない人にとっては、理解に戸惑う可能性は大だ。
関連して、Pixel Watchのなかで、ヘルスケア機能やワークアウト機能を利用する際に、Google Fit由来の機能とFitbit由来の機能が混在してしまっており、使い分けが非常に分かりづらい。例えば、ウオーキングをする際に、Google Fit由来の「Fitエクササイズ」を選ぶべきか、Fitbit由来の「Fitbit Exercise」を選ぶべきか、ユーザーが悩まなくてはいけない。これはあまり美しくない状況だ。
もちろんAndroidでは、Androidとしての機能とメーカー独自の機能が重複することも普通なので、ある意味こうした構造もGoogleらしいといえばGoogleらしい。しかし、わざわざ「ピュアAndroid」の分かりやすい体験を求めるPixelユーザーの視点からいうと、「ピュアWear OS」のような存在を求めて購入したら中身がごっちゃごちゃに散らかっていて期待を裏切られたような感覚になる。
将来的に、Google FitがFitbitアプリに統合されていけばシンプルな使い勝手になっていくのかもしれないが、要するに現状ではFitbitのサービスを“そのまま”Googleサービスの体系に取り込んだために、本来整えるべきUXがとっ散らかったまま製品としてリリースされているような状況なのだと感じた。
一方、Fitbit Premiumの有料プランに誘導する設計上、どうやらGoogleとしてはFitbit由来のサービスにユーザーを誘導したい節もある。例えば、Pixel Watchで取得した睡眠の計測データはGoogle Fit側に連携されないようだった(もちろん、筆者が必要な設定項目を見落としている可能性もゼロではないが……)。
ビジネスとしては、それが当然だろうと頭で理解できる一方で、デバイスに4万円も支払ったユーザーとしては――6カ月無料でFitbit Premiumを利用できるとはいえ――意味のある形で睡眠計測を利用するのに有料プラン(月650円、または年6400円)に入りつづけなければいけないのは、少々気が重い。7000円で購入できるFitbit製のスマートバンドなら、そこに数年間のサブスク費用を追加支払うのもやぶさかではないのだが、Pixel Watchでは同機能を継続利用するかどうかは正直考えさせられてしまった。
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