「HUAWEI Mate 50」のカメラを試す ライカとの提携終了でも“新時代への挑戦”を感じた理由(2/2 ページ)
9月に発表されたHuawei製「Mate 50」シリーズ。ライカとの提携解消や米国制裁下でありながらも世に放ったフラグシップモデルを今回実際に手にすることができたので、簡単に紹介していきたい。
5G非対応でGoogle使用不可でも、これからのカメラトレンドを切り開くスマートフォン
Mate 40シリーズから2年越しのフラグシップといえるMate 50シリーズ。2021年のP50 Proの発売時には「最後のHuaweiハイエンドスマートフォンになるかもしれない」と筆者も思ったが、杞憂(きゆう)に終わった。
改めてHuaweiが持つ画像処理のノウハウの高さ、スマートフォンのカメラにおける「次の時代への挑戦」を感じ取ることができた。
Mate 50ではより多くの光を取り込めるRYYB配列のセンサーを採用し、F1.4という明るいレンズを採用するなど、工夫を凝らしていることがうかがえる。
レンズが明るいと露出オーバーになりやすく、昼間の撮影にも影響してくる。近年のスマートフォンではセンサーの大型化もあって、意図せず被写体の周囲がボケて流れる描画も多く見られるようになった。
Mate 50では物理的な可変絞りを採用することで、被写体が過度にボケる描写を抑え、XDR Fusion Proといった高度な画像処理も合わせて行っている。この物理的な絞り機構と高度な画像処理の組み合わせは、今後のスマートフォンにおけるカメラのトレンドになるのではないかと感じる。
ライカとの提携を解消して以降、Huaweiではソフト、ハードでのイメージング技術をXMAGEと称し、Mate 50シリーズはそのブランドを冠する初めてのハイエンド機となる。ライカ提携のノウハウは生きており、撮影した限りでは以前に比べて劣化は感じられなかった。XMAGEではライカで得たノウハウを次のレベルに高めようとしている。
イメージング技術のブランディング、ハードウェア的にも新たな挑戦をしているHuawei。制裁下とはいえ、画像処理などに関しては先進的な機能を多く取り込んでいる。成熟してきたといわれるスマートフォンのカメラ性能に対して、さらにその上を切り開こうとしている。
そんなMate 50シリーズの存在は、今後の業界トレンドにも大きく影響してくるはずだ。この機種に対して、各メーカーがどのようなアプローチを仕掛けてくるのか。Huaweiの今後の展開も含め、スマートフォンの進化にもまだまだ目が離せない。
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