さよなら「Galaxy」、おかえり「Samsung Galaxy」? ロゴ変更の理由を聞いた:ふぉーんなハナシ
2月28日、日本における「Galaxyブランド」に大きな転換点が訪れました。長らく続けてきた「Galaxy」というメーカー名義を、本来の「Samsung(サムスン)」に戻すというのです。なぜ、このタイミングで「Samsung Galaxy」に戻すのでしょうか……?
既報の通り、サムスン電子ジャパンは2月28日12時にオンラインショップ「Samsung(サムスン)ストア」をオープンしました。
SamsungストアではGalaxyブランドのSIMフリー(自社販売)スマートフォン/タブレットや、同ブランドのスマホ/タブレット用の周辺機器が販売されます。
そう聞くと「え、それほど大きなニュースでないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実はこれ、日本におけるGalaxyブランドの“取り扱い”が大きく変わるという意味では大ニュースだったりします。
日本向けのGalaxyは“特別”だった
スマホやタブレットに詳しい人にとって、Galaxyブランドのスマホやタブレットが韓国Samsung Electronics(サムスン電子)製であることは“当たり前”の話です。Galaxyスマホ/タブレットは世界中でいろいろなモデルが販売されており、ボディーには「Samsungロゴ」も刻まれています。
日本も当初は例外ではなく、ハイエンドスマホでいえば「GALAXY S4」まではSamsungロゴ付きで販売されていました。
モデルによって位置やサイズはまちまちですが、Galaxyブランドのスマホやタブレットの本体にはどこかに必ずSamsungロゴが刻まれています(写真は2017年10月に韓国で取材した際に撮影した「Galaxy Note8」の背面)
ところが、その次の「GALAXY S5」では、日本の一部キャリア向けモデルにおいてSamsungロゴが省かれました。そしてリブランドされた「Galaxy S6シリーズ」からは、日本向けの全モデルでSamsungロゴが省かれるようになったのです。それ以来、日本向けのGalaxyスマホ/タブレットでは、ごくごく一部の例外(※1)を除いてSamsungロゴは付いていません。
(※1)販路を絞って販売されたWi-Fi版のGalaxy Tabシリーズなど
「GALAXY」から「Galaxy」にリブランドされた「Galaxy S6シリーズ」以降の日本向けモデルは、ごく一部の例外を除いてSamsungロゴがなくなりました(画像はNTTドコモ向けの「Galaxy S6 SC-05G」)
このことは他の部分でも徹底されました。まずGalaxyブランドのWebサイトですが、他国では「samsung.com」配下に設置されていましたが、日本では独自の「galaxymobile.jp」を使っていました(samsung.comからアクセスしようとすると転送される徹底ぶりです)。
プロモーションでも、海外では「Samsung」とされていた所が徹底的に「Galaxy」に置き換えられました。メーカーのプリインストールアプリも、例えば「Samsung Notes」が「Galaxy Notes」というように名称が変えられています。そして企業(メーカー)名義も極力「サムスン電子(ジャパン)」ではなく「Galaxy」としてきました。
要するに、日本におけるGalaxyブランドは「Samsung」を徹底的に“隠す”戦略を貫いてきたのです。
思い出話ですが、海外取材で「Galaxy Note9 SC-01L」を使っていたら、海外のメディア関係者から「お前のGalaxy、Samsungロゴないな。パチモンか?」と話しかけられたことがあります。良く見ているなぁと思いつつ、「いいや、ホンモノさ。SamsungロゴのないGalaxyは日本でしか買えないんだぜ!」と返事したことも、今となっては懐かしいです。
筆者がかつて使っていた「Galaxy Note9 SC-01L」も、Samsungロゴがありません。スマホに詳しい海外メディア関係者が日本向けのGalaxyスマホを見て「Samsungロゴは?」と聞いてくることも結構ありました(筆者はクリアケースを使っているので、スマホの背面がよく見える)
これからは「Samsung」を前に出す なぜ?
日本ではSamsungブランドが全く知られていないかといえば、そんなことはありません。先述の通り、以前は「SamsungのGALAXY」スマホを展開していました。
加えて、サムスン電子の記憶媒体、とりわけ同社製のSSDはメーカー製のPCに広く搭載されています。内蔵/外付けSSDやSDメモリーカードのパッケージ製品は、ずっとSamsungロゴを冠して販売されています。
記憶媒体の販売ではSamsungブランドを前面に出している一方で、スマホやタブレットの販売ではSamsungブランドを徹底的に隠す――記憶媒体とスマホ/タブレットでは商流が異なるものの、同じメーカーの製品なのに、分野によってメーカー名の扱い方が異なるのは、ある意味で“ちぐはぐ”です。
サムスン電子のパッケージ記憶媒体は、Samsungロゴ(ブランド)を前面に出して販売しています(写真は「Samsung Portable SSD T7 Shield」の日本未発売カラーのパッケージですが、日本で発売されているカラーも同じ意匠のパッケージです)
話は冒頭に戻りますが、サムスン電子ジャパンがオープンしたSamsungストアは、Galaxyブランドの製品を販売するオンラインショップです。従来だったら「Galaxyストア」になってもよい所を、あえて「Samsung」としています。
同ストアの立ち上げに際し、同社はメーカー(会社)のブランドを「Galaxy」から「Samsung」に改めた上で、一部のアプリやサービスをSamsungを冠するように改称することも表明しました。
これからは、記憶媒体と同様にGalaxyブランドの製品も「SamsungのGalaxy」として販売していくことになります。
ここに来て、なぜ再びSamsungを前に出すことにしたのか――サムスン電子ジャパンにその意図を尋ねてみました(可読性を高めるために体裁を整えています)。
―― このタイミングでメーカーブランドを「Galaxy」から「Samsung」に改める理由を教えてください。
サムスン電子ジャパン これまで、日本では「Galaxy」という製品名の認知を優先してきました。結果、多くの方々のご協力もあり、日本でもGalaxyの認知度はある程度向上したと認識しております。
一方で、昨今の社会ではSDGs(持続可能な開発目標)に対する意識が高まってきています。グローバル企業として、サムスン電子もさまざまなサステナビリティ活動に注力してきました。
そのこともあり、これからは「Samsung」という社名を前面に出して、グローバル企業としての姿勢をきちんと打ち出していこうと考えました。
―― プレスリリースの再確認ですが、今後のGalaxyブランド製品はSamsungロゴ付きになるのでしょうか。
サムスン電子ジャパン 今後発売するモデルでは背面にSamsungロゴを印字する予定です。
グローバル企業として活動する中で、日本でのみ企業名を出さないことは難しいと考えたようです。
今後、Galaxyスマホ/タブレットの日本向けモデルは海外モデルと近い見た目となる可能性があります。以前のように「SamsungロゴのないGalaxyは日本でしか買えない!」というネタはできなくなりますが、それはそれでいいのかもしれません。
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