キャリアショップでの「マイナンバーカード申請サポート」が好評だった理由(1/2 ページ)
キャリアショップでマイナンバーカードの申請サポートを行う意義や課題について述べてみたい。キャリアショップでマイナンバーカードのサポートを希望する人の多くがシニア層。繁忙期には100~200人ほどの予約が集まっていた。
マイナポイント第2弾の対象となるマイナンバーカードの申請期限である2023年2月28日が、ついに過ぎた。
このマイナンバーカードの申請が増加して市町村の役所窓口が混雑したことから、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク3社のキャリアショップにて、マイナンバーカードやマイナポイントの申請支援を行っている。
今回は、携帯ショップのコンサルタントという立場から、キャリアショップでマイナンバーカードの申請サポートを行ってきた意義や課題について述べてみたい。
キャリアショップでマイナンバーカードのサポートを希望する人の多くがシニア層だ。郊外店舗の繁忙期では、マイナンバーカードやマイナポイントの申請サポートに、毎月100~200人ほどの予約が殺到していた。2月28日時点で、キャリアショップは約280万件の申請サポートを実施してきたという。キャリアショップでのマイナンバーカードやマイナポイントの申請にはノルマが課せられているが、ノルマを大きく超える郊外店舗も多いと聞く。
高齢者が気軽にサポートを受けられるメリット マイナポイントの認知拡大にも貢献
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、2022年7月26日に「マイナンバーカードに係る申請サポート事業」を受託。同年7月27日に全国のキャリアショップでマイナンバーカード申請サポートを開始した。なお、サポートは2023年3月21日で終了する。
これまで、マイナンバーカード申請の機会がなかったスマホユーザーに対し、効率よく申請をサポートし、市区町村窓口の負担を軽減することが目的だ。
キャリアショップでの申請は好評で、店舗窓口には多くの申し込み希望者が殺到している。特に、高齢者などの足腰の悪いユーザーが近隣店舗で手軽にサポートが受けられることが大きい。一部市町村を除きマイナンバーカードの申請を受け付けているのが平日8時30分~17時なのに対し、キャリアショップでは平日と土日祝日を問わず、申請サポートを利用できることもメリットだ。
マイナンバーカードやマイナポイントの申請をキャリアショップで行うシニア層が多いのは、マイナポイントを活用したキャッシュレスサービスの利用方法を聞けるから。もちろん、マイナンバーカードやマイナポイントの申請を、スタッフの説明を聞きながら対面で行える安心感も大きい。
スマートフォンを利用するシニア層は増えており、中には若者と同じように使いこなす人も増えている。しかし、電話はかけられるけれどアプリの利用は難しいという人や、いざレジでキャッシュレス登録をしようとたが、登録方法が分からないといった人も依然として多い。そんな人が、キャリアショップに頼りに来るのだ。
市町村でマイナンバーカードの申請を済ませたが、ポイントがキャッシュレスサービスと連携できることを知らず、キャリアショップに再び問い合わせをするケースもまれではない。実際、MMD研究所が2020年に実施した「マイナンバーカードとマイナポイントに関する調査」では、マイナポイントについて47.6%が「聞いたことがあるが、内容を把握していない」、16.9%が「聞いたことがない/分からない」と回答している。
また、マイナンバーカードを申請しマイナポイントを獲得したが、ポイントが利用できない、といった問い合わせも多い。マイナポイントの認知を進める上で、キャリアショップは重要な役割を果たしている。
キャリアショップでのサポートはどこまでが無償?
キャリアショップでの申請サポートは無償で受けられる。主なサポート内容は以下の通りだ。
マイナンバーカード申請 概要
- 土日祝日含めたショップ営業時間内はいつでも申請可能(予約推奨)
- 各ショップの来店予約サイトより、申請サポートの来店予約が可能
- 携帯電話回線の契約有無を問わず申請可能
- 店舗スタッフによる窓口での申請サポートを実施
- 証明写真撮影用のアプリをインストール、申請者顔写真撮影
マイナポイント連携 概要
- 土日祝日含め、ショップ営業時間内はいつでも申請可能(マイナンバーカード同様)
- 各ショップの来店予約サイトより、申請サポートの来店予約が可能(マイナンバーカード同様)
- 携帯電話回線の契約有無を問わず誰でも申請可能 (マイナンバーカード同様)
- 店舗スタッフによる窓口での申請サポートを実施 (マイナンバーカード同様)
- 「マイナンバーカード健康保険証利用」登録
- 「マイナンバーカード公金受取口座」登録
- マイナポイント連携キャッシュレスサービスの変更.キャリアキャッシュレス新規登録
キャリアショップで浮き彫りになった申請時の課題
好評なサービスの背景で申請への課題も浮き彫りとなっている。
キャリアショップは2019年より順次店舗来店予約制度を導入、ユーザーの店舗滞在時間を短くし、満足度を上げるための取り組みだ。
マイナンバーカードやマイナポイント連携も同様に、予約した上で来店してもらっているが、予約なしで来店するユーザーもいる。また、店舗窓口で登録連携作業時に申請書類の不足や個人情報等(パスワード)を情報不足から再来店、申請手続きを持ち越しにするといったケースも増えている。
マイナポイント連携する際に「パスワード管理」と「キャッシュレス事業者」の選定が不透明というケースもあった。
関連記事
キャリアショップが「マイナンバーカード」申請をサポートする理由 実際に体験して分かったこと
マイナンバーカードの申請をドコモショップで行った。なぜドコモショップが申請サポートを行っているのか。その狙いと課題を読み解く。キャリアショップが「マイナンバーカード」申請をサポート 全携協、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが共同で7月中旬から実施へ
携帯電話の業界団体が、大手キャリア3社と共同で総務省の「マイナンバーカードに係る申請サポート事業」を受託する見通しとなった。早ければ7月中旬から、NTTドコモ、KDDI(沖縄セルラー電話)とソフトバンクのキャリアショップにおいてマイナンバーカード(個人番号カード)の発行申請のサポートを受けられるようになる。マイナポイント第2弾のポイント申込期限、2023年5月末までに延期
総務省は2月17日、マイナポイント第2弾のポイント申込期限を、2023年2月末から2023年5月末に延期することを発表した。第2弾では最大2万円分のポイントを還元する。マイナンバーカードの申請期限は、2023年2月末まで。「ほぼ全員」にはほど遠い マイナンバーカードがなかなか普及しない理由
プラスチック製のICチップ付きのマイナンバーカード。日本国内における行政関連手続きで個人を特定すべく識別番号が付与される。申請から受け取りに至るまでの課題は何か。「マイナポイント第2弾」に申し込んでみた 合計2万円の特典を得るのに必要なことは?
「マイナポイント第2弾」の健康保険証と公金受取口座の申し込みが6月30日に開始したので、早速申し込んでみた。健康保険証と公金受取口座の申し込みについては、「マイナポータル」アプリで操作するだけで、合計1万5000円分のポイントがもらえる。まだマイナンバーカードを持っていない人は、申請期限が2022年の9月末までになるので注意したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.