「ほぼ全員」にはほど遠い マイナンバーカードがなかなか普及しない理由(1/2 ページ)
プラスチック製のICチップ付きのマイナンバーカード。日本国内における行政関連手続きで個人を特定すべく識別番号が付与される。申請から受け取りに至るまでの課題は何か。
日本国内における行政関連手続きで個人を特定すべく、識別番号が付与されるプラスチック製のICチップ付きのマイナンバーカード。
2022年10月2日時点での申請枚数は7000万枚で、9月末時点での人口に対しての普及率は49%となっている。政府は23年3月末までに「ほぼ全員が取得」を目指すという。
マイナンバーカード所有者がキャッシュレス決済事業者を選択し、購入金額またはチャージ金額に対して一定額の特典が各決済サービスのポイントで還元される。
そのマイナポイント事業の第2弾について、総務省は当初9月末までとしていたマイナンバーカード(個人番号カード)の申請期限を「2022年12月末」に延長した。これにより、2022年内にマイナンバーカードを申請すればマイナポイント第2弾に応募できるようになる。
そんなマイナポイントとも深い関係を持つマイナンバーカードについて、現状の課題を整理してみたい。
マイナンバーカードの申請に時間がかかる
マイナンバーカードは個人番号、つまり特定の個人を識別するための番号が付与され、氏名や住所、生年月日などの個人情報が1枚で分かるプラスチック製のICカード。発行するには申請手続きが必要になる。
メリットとしてよく聞かれるのが「身分証明書になるから」「マイナポイントがもらえるから」などの理由。このうち、マイナポイントについては、9月末までとされていたマイナンバーカードの申請期限が「2022年12月末」に延長となったことで、2022年内にマイナンバーカードを申請すればマイナポイント第2弾に応募できる。応募締め切りは「2023年2月末」となっている。
マイナポイントは以前にも紹介しているが、マイナンバーカードの取得後に対象のキャッシュレス決済を選び手続きをすると、合計最大2万円分のマイナポイントがもらえるという内容だ。
一見すると便利そうなこのマイナンバーカード。政府は「ほぼ全員にこのマイナンバーカードが行き渡るようにする」方針を掲げているが、実際は普及までに時間がかかるとの見方が強い。
デジタル庁の資料によれば、マイナンバーカードの未取得理由で最も多いのが「情報流出が怖いから」で35.2%、次いで「申請方法が面倒だから」で31.4%、「マイナンバーカードにメリットを感じないから」の31.3%となっている。
情報流出については「マイナンバーカードのセキュリティ対策」というページにこう書かれている。
- 紛失や盗難の被害に遭った場合は、24時間365日体制で一時利用停止可能
- アプリごとにパスワードを設定し、一定回数間違うと機能をロック
- 不正に情報を読み出そうとすると、ICチップが壊れる仕組みを採用
政府がいうには実際にはマイナンバーカードの所有による個人情報の直接的な流出にはつながらない。ただ、それが伝わっていないことが、普及の障壁となってしまっている。
取得後も実際に使えるかどうかも気になるところだが、1枚で身分証明が済むケースと、そうでないケースが存在する。例えば、公的な手続きならマイナンバーカード1枚で済むが、場合によってはマイナンバーカードに加え、補助書類として住民票の提示が求められるケースがある。せっかく取得したマイナンバーカードなら、それだけで身分証明を済ませたい、と感じるのは自然だろう。
メリットの大きなマイナンバーカードだが、申請から受け取りまでの流れは単純ではない。申請から発行までに概ね1カ月から2カ月かかる。地方公共団体情報システム機構(J-LIS)で作成されるため、ここまでの時間を要してしまう。
申請後、「個人番号カード交付・電子証明書発行通知書兼照会書」が届くため、居住している市区町村役所、総合支所またはマイナンバーカード特設センターに受け取りに出向く必要があり、これも消費者にとっての負担となっている。
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