邪魔なもの? 近年のスマホに「キャリアロゴ」の刻印が減ってきた理由(2/2 ページ)
Androidスマートフォンにはしばしば「キャリアのロゴ」が端末に入ることがある。これによって「デザインが阻害される」といった意見を聞く。ただ、最近はこのキャリアロゴを見かける機会が減ってきた。
カメラブランドのロゴが増加
近年増えてきたのが、カメラのブランド刻印だ。かつてのNokia LumiaやXperiaにて、提携先のZeissやソニーの「Gレンズ」のロゴが入っていたことを思い出した人もいるだろう。グローバルではHuaweiのライカ(Leica)を皮切りに、提携しているZeissやハッセルブラッドといったメーカーの刻印が入るようになった。
これらはカメラ性能を特に強化した機種を中心に入っており、端末当初のデザインに組み込まれるようになっている。
他に特徴的なものとして、中国のテンセントが提携したゲーミングスマートフォンには「Tencent Games」というロゴが入る。テンセント版ともいわれるもので、ASUSのROG Phoneやnubia REDMAGICをはじめとした機種で展開される。共通してストレージ容量が少なめなものの、価格がかなり安価という特徴がある。
iPhoneの普及やSIMロック禁止が影響か
日本でキャリアロゴが減ってきたり抑えめになったりした背景には、消費者の声はもちろん、メーカーが自ら端末を販売するようなったことも関係している。その筆頭がiPhoneだ。
キャリアロゴが一切ないiPhoneが日本で普及してからは、Androidスマホでもキャリアロゴをなくしてほしいと思う消費者が増えたことは想像に難くない。auではiPhoneの取り扱いを前後してキャリアロゴを廃した機種が多く、キャリア型番のみの刻印になっている。ソフトバンクではキャリアロゴをほとんど採用しておらず、キャリアによって方針の差が見えてくる。
その一方で、ドコモはキャリアロゴへのこだわりが感じられるケースが多い。かつての「開発」をかなり意識した展開方法が尾を引く状態だ。それは今もなお続いており、取り扱っているほぼ全てのAndroid端末にロゴがついている。
SIMロックが禁止されたことで、購入したキャリア以外でもスマートフォンを利用しやすくなった。一方、端末の通信バンド制限は、こうした端末販売の自由化を阻害する要素として指摘されることもあり、キャリアは自社展開していない周波数への対応も迫られている。
その流れもあり、キャリアロゴは「乗り換え時に端末を他社では利用できない」という印象を消費者に与えるという意見もある。ハイエンド機ほど長く使うことからも、キャリアロゴは「目立たなくする」もしくは「なくす」といった対応になりつつあるようだ。
時代とともに変化してきたスマートフォンのロゴ。日本では端末販売の自由化などの理由から、以前に比べると抑えめにはなってきている。デザインを阻害する邪魔なものといわれるキャリアロゴだが、今となっては通信規格の変化なども感じ取れる要素になっている。
また10年ほどが経過すると、このロゴについてもまた変わった見方になるはずだ。もしかしたら、思い出話に花を咲かせるきっかけになるのかもしれない。
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