1~3月期にiPhoneの売上が過去最高に 好調の要因は日本市場にあらず?
Appleは5月4日(現地時間)、4月1日を末日とする2023年会計年度第2四半期(1月~3月)の業績を発表しました。減収減益でしたが、iPhoneは過去最高の売り上げを記録。低価格なiPhone SEや旧モデルではなく、iPhone 14シリーズなどのハイエンドモデルが売れているとみられます。
Appleは5月4日(現地時間)、4月1日を末日とする2023年会計年度第2四半期(1月~3月)の業績を発表しました。
売上高は948億3600万ドルで、前年同期比2.5%の減少。営業利益も前年同期比5.54%の減少となる283億1800万ドルとなりました。前前四半期(10月~12月)に続き、2四半期連続の減収とはなりましたが、米Bloombergによると、アナリストによる市場予想は926億ドルだったとのことで、予想を上回る好調だったといえます。
製品カテゴリー別では、iPhoneの売上高は513億3400万ドルで、前年同期比1.5%の増加。1~3月期の売上高としては、過去最高となりました。CEOのティム・クック氏は「困難なマクロ経済環境にもかかわらず、iPhoneで1~3月期最高の売上高を報告できることをうれしく思います」と発表資料で述べています。ちなみに、iPhone以外では、Apple StoreやApple Music、iCloudなどのサービス部門の売上高も前年同期比5.5%増の209億700万ドルで過去最高となっています。
市場調査会社IDCのレポートによると、2023年第1月~3月期の世界スマートフォン出荷台数は、前年同期から14.6%減少し、2億6860万台だったとのこと。市場需要の鈍化やインフレ、マクロ的な不確実性に苦戦し続けており、これで7四半期連続の減少となります。
AppleはiPhoneの出荷台数を明らかにしていませんが、IDCによると出荷台数は前年同期比で2.3%減の5520万台だったとのこと。出荷台数が減ったにもかかわらず売上高が伸びているのは、低価格なiPhone SEや旧モデルではなく、iPhone 14シリーズなどのハイエンドモデルが売れているということなのでしょう。前四半期では、中国の主要な工場が新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンのため、iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxの供給が不足するという自体も発生しており、それゆえに売上も低迷していましたが、その状況からも順調に脱している様子がうかがえます。
また、業績発表後のプレスとの電話会議では、インドやメキシコなどの新興市場が好調だったと語っています。特に、インドでは4月に直営店を2店舗オープンするなど力を入れており、クック氏は「中流階級になる人が増えており、インドが転換期を迎えていることを実感している」と述べ、「エキサイティングで重要な市場だ」とインド市場に力を入れていることをアピールしています。ハイエンドなiPhoneが売れているのも、こうした新興市場が成長し、購買力が上がっていることも要因の1つなのでしょう。
実際、セグメント別の売上高では、日本と中国を除く太平洋アジア地域が前年同期比15.3%アップと大幅に増加。欧州も微増していますが、米国や中国、そして日本市場では減少となっています。
これまで、日本市場を重要視する姿勢を見せていたAppleですが、今後はインドや新興市場に注力することになり、相対的に日本の重要度は下がっていくことになるのかもしれません。
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