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スマホの充電端子、なぜ「USB Type-C」に統一? iPhoneはどうなる?

欧州議会と欧州理事会は6月7日(現地時間)、あらゆる電子機器に充電用ポートとしてUSB Type-Cの搭載を義務付けるという無線機器法の改正案について暫定合意に達したと発表しました。早ければ2024年秋以降にEU圏内で発売されるスマートフォンやタブレットはUSB Type-Cの搭載が必須となります。Appleは反発していますが、既にUSB Type-Cを搭載したiPhoneをテストしているといううわさもあります。

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 欧州連合(EU)の政策決定機関である欧州議会と欧州理事会は6月7日(現地時間)、あらゆる電子機器に充電用ポートとしてUSB Type-Cの搭載を義務付けるという無線機器法の改正案について暫定合意に達したと発表しました。今後、あらためて欧州議会と理事会の双方での承認が必要となりますが、成立は確実とみられています。

 この本承認は、夏休み明けということなので、早ければ2022年8月末〜9月上旬になりそうです。法令の発効後、24カ月の猶予期間が設けられており、早ければ2024年秋以降にEU圏内で発売されるスマートフォンやタブレット、電子書籍リーダー、デジタルカメラ、イヤフォンなどの製品についてはUSB Type-Cの搭載が必須となり、40カ月後にはノートPCもUSB Type-C充電に対応する必要があります。

USB Type-C
EUは全てのモバイルデバイスでUSB Type-C充電を義務付ける法案に暫定合意した

 AppleのLightningポートを狙い撃ちにしているとも言われるこの法案ですが、目的としてはモバイルデバイスの充電器を共通化することにあります。充電仕様を共通化し、同じ充電器で全ての機器が充電できるようになれば、消費者は年間で最大2億5000万ユーロ(約360億円)を節約でき、年間1万1000トンに相当する未使用充電器の破棄を削減できるとしています。

 この充電器問題に対する取り組みは今に始まったことではなく、EUでは10年前から取り組んでいました。2009年には、携帯電話やスマートフォンの充電器を業界で統一するという合意を主要メーカーと取り交わし、それまで各社バラバラだった充電器や充電ポートが、主にMicro USBに統一されるようになったという実績もあります。これは、法規制を回避するために、業界に対して自主的な規制を求めた結果です。

 この合意が期限切れとなった2014年には、スマートフォン向けの共通充電規格を開発し、廃棄物コストやユーザーの手間を減らすべきだとして、無線機器法を改正するという合意がなされています。これが、現在のUSB Type-Cでの充電で統一という流れに続いているわけです。

USB Type-C
共通の充電規格を求める2014年のプレスリリース

 記者会見の中で、Appleをターゲットにしているのか質問された欧州委員会のThierry Breton委員は、「私たちは企業ではなく、消費者のために働いている。私たちは誰もEU市場に参入することを強制していませんが、参入したいのであれば、ルールに従わなければならない」と答えています

USB Type-C
欧州委員会のThierry Breton委員

 なお、Appleは「充電規格の統一はイノベーションを阻害する」「既存のLightningアクセサリーが使えなくなり、廃棄物が増える」と反発していますが、Appleは既にUSB Type-Cを搭載したiPhoneをテストしているといううわさもあります。iPhone関連に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo氏は、2023年のiPhoneは、USB Type-Cになるとの予想を行っていました。

 そんなEUのUSB Type-C規制ですが、当然ながら各メーカーがEU出荷分だけ仕様を変えるとは思えず、日本を含む世界中でUSB Type-C搭載製品が増えるはずです。また、米国でも一部の上院議員が充電仕様の統一を米商務省に要求するなど、EU以外への広がりも見せ始めています。最近は多くの製品が充電ポートとしてUSB Type-Cを採用していますが、まだMicro USBの製品も多く残っており、こうした製品がUSB Type-Cに統一されていくのは、一消費者としては歓迎したいところです。

 ただ、充電ポートにUSB Type-Cを採用する製品の中には、USB PD対応の高出力な充電器が使えず、5V1Aなどの昔ながらの充電器でしか充電できないものもあります。ポートだけUSB Type-Cにして、中身はMicro USBから変わっていないからとも思えるのですが、こうした製品を充電するためには専用の充電器を用意しておく必要があり「USB Type-Cに統一すれば、無駄な充電器を減らせる」という思惑からは外れてしまいます。今後、こういった製品をどのように規制していくのかも気になるところです。

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