変化が乏しい「OPPO Reno9 A」が先代より130%売れているワケ 貫いた開発思想に迫る(2/3 ページ)
OPPOの日本専用モデル「Reno9 A」が先代の「Reno7 A」よりも130%売れているという。Snapdragon 695を維持したことが物議を醸しているが、価格を優先した結果。ハイエンドモデルの日本投入についても聞いた。
実は背面素材をガラスに変更して耐傷性が向上
―― 先ほどOPPO Glowをガラスにしたというお話がありましたが、その利点はどこにあるのでしょうか。Reno7 Aもデザイン的にはよかったので、ガラスにするメリットを教えてください。
齋藤氏 Reno7 Aから長くご利用いただけるよう、システム劣化防止機能を入れています。同じようにReno9 Aも長くご利用いただきたい。前モデルはポリカーボネートでしたが、ガラスにすることで耐傷性が上がり、擦れに強くなります。結果、長くご利用いただいたあとでも、買ったときのままご利用いただけます。
―― どちらかというと、ポリカーボネートの方が割れにくい印象もありますが。
齋藤氏 確かに割れはありませんが、強度的にはガラスの方がポリカーボネートより強い。ポリカーボネートだと傷がつくと白くなってしまったりするのですが、そういった傷はガラスだとつきにくくなります。
―― その意味では、長く使えるというReno7 Aからのコンセプトがよかったということですね。
齋藤氏 ご購入いただいた方にインタビューをしたり、アンケートを取ったりしましたが、長く使えるから選んだという項目は価格より上に来ていました。お客さまには大変ご好評だったと思います。
―― これは、1台のスマホを使う期間が長くなっていることと関係しているのでしょうか。
齋藤氏 今だと7割ぐらいが3年以上で、それ以上の方も多くいます。壊れるまで使うという方もいます。そのような方々が長く使っても動作が遅くならないシステム劣化防止機能は、ご評価いただけています。
何があっても価格は上げるべきではないと判断
―― 直販価格を見ると、2000円値上げにはなっていますが、大枠での価格は変わっていません。スペックアップはありませんが、円安や物価高が進む中、価格を維持すること自体が難しかったのではないでしょうか。
齋藤氏 プロダクトの観点で申し上げると、OPPOはグローバルメーカーで、部材の調達にはスケールメリットを生かせます。物価高や半導体不足はありましたが、その中でも安定して調達ができ、かつコストもグローバルのスケールメリットで抑えられました。
河野氏 がんばっています(笑)。価格を上げるという選択肢は当然、ありました。為替が20%ぐらい違いますからね。その分、20%上乗せしてもいいのではという議論はありました。しかしながら、Reno Aシリーズはそもそもミッドレンジモデルで、2年前までは3万円台で販売していました。そのため、4万円台のスマホとしてまず価格設定をして、最初の話に戻りますが、どういう方が使うのかを想定しました。
その想定をしたとき、何があっても価格は上げるべきではないという判断になりました。2000円上がっていますが(笑)、為替の20%を反映すると、値上げ幅は7000円、8000円になってしまいます。
もう1つ、徹底的なコストダウンを至るところで図っています。経営的な話で言えば、グローバル企業はグローバル全体でどれだけ利益を取れるかと考えるのが一般的ですが、私たちはそのリージョンごとに利益を出すことをやっています。グローバルのサプライチェーンで価格を吸収するのは1つですが、他にも財務的に金融機関と協力しながら、為替変動に左右されない仕組みを一緒に考えながら導入するといったことも当然やっています。
また、基本的にはどのメーカーも新機種を出す前にモックは100種類以上、場合によっては150種類以上作って、その中から選んでいると思います。そのもの自体のコストはたかがしれていますが、人件費や時間がものすごくかかる。そこで今回は、そういうことをやめ、間接的なコストも徹底的に詰めました。余計なことをせず、なおかつ価格を抑えるということをやっています。
―― モックなしで、製品ができるものなのでしょうか。Reno7 Aというベースがあったからでしょうか。
河野氏 ボディーはReno7 Aと比較するとコンマ数mm単位で変わっているのでケースをそのまま使うことはできませんが、見た目はあまり変わっていないので、そういった経営判断をしました。ただし、モデル名と中身が変わっているので、技適などは全て取り直しになっています。そういうところも、同じで済めばいいのですが(笑)。
齋藤氏 ただし、ソフトウェアは、新機能を搭載するための開発を行っています。サクサク感を上げる新機能(Dynamic Computing Engine)を追加したりしながら、コストを下げています。
河野氏 かけないところは徹底的にかけないという方針ですね。
―― この新機能は、アップデートで過去のReno Aシリーズでも使えるようになるのでしょうか。
齋藤氏 されます。ただし、Reno9 Aはメモリが8GBと多い分、より快適に使えます。
関連記事
「OPPO Reno9 A」のスペックから分かる“苦肉の策” それでも売れる要素は備えている
OPPOの最新スマートフォン「OPPO Reno9 A」が、6月22日に発売される。先代のReno7 Aと比べると、スペックの差分は乏しい。では、Reno9 Aはどんな人に向いているのか。スマホ新製品が1年前から大きな進化なし? 円安&物価高で透けて見えるメーカーの苦悩
6月22日に発売される「OPPO Reno9 A」は、先代のモデルから大きく進化していない印象も受ける。こうした仕様からは、端末メーカーの苦悩が透けて見える。円安と物価高のダブルパンチで、難しいかじ取りを迫られている。「OPPO Reno9 A」6月22日に発売 8GBメモリ搭載で“3年使える”性能が進化、4万円台前半
OPPO Reno Aシリーズの最新モデル「OPPO Reno9 A」が6月22日に発売される。先代の「OPPO Reno7 A」の特徴を継承しながら、デザインやパフォーマンスをブラッシュアップさせた。ミッドレンジモデルとしては大容量の8GBメモリを搭載している。オウガ・ジャパン河野氏に聞くOPPOの日本戦略 “惨敗”からSIMフリーAndroidでトップに上り詰めた要因は?
OPPOが2021年の夏モデルとして投入するのが、フラグシップモデルの「Find X3 Pro」と、日本専用モデルの「Reno5 A」だ。エントリーモデルとして日本で初めて5Gに対応した「A54 5G」も投入する。新規参入を果たした2018年から徐々にシェアを伸ばし、販路を広げているOPPOだが、同社はどのような戦略で日本市場に臨んでいるのか。OPPOの最新折りたたみスマホ「Find N2/N2 Flip」をじっくり試す Galaxyと比べてどう?
OPPOが2022年12月に海外で発売した折りたたみスマホ「OPPO Find N2」シリーズを使ってみた。折りたたむとコンパクトになり、高性能なプロセッサを使用しているため動作もヌルサク。快適に使える端末に仕上がっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.