「Xiaomi 13T/13T Pro」は「日本は頑張ったな」という価格になる Xiaomiの日本戦略を聞く(2/3 ページ)
Xiaomi Japanが9月27日に発表会を開催し、スマートフォン、タブレット、スマートバンド、スマートテレビ、ロボット掃除機を一挙発表した。通信キャリアとの協業も深め、認知拡大を目指す。スマホの価格は高騰しているが、Xiaomi 13T/13T Proは海外と比べても安価になるという。
廉価スマホは必ずしも決まったサイクルで出す必要はない
―― 2023年のスマホは例年よりは少ないですが、過去に出した機種も販売は継続されて、2~3年のスパンで売っていく形でしょうか。
安達氏 そうですね。買い換えサイクルが長期化していて、4年ぐらいとも言われています。円安の影響もありますが、ユーザー目線で考えると、毎年モデルチェンジする必要があるのかどうか。例えば「Redmi 12 5G」は、廉価機種としては1年以上の間を開けていますが、進化させるには一定の期間が必要です。半年や1年ごとにリニューアルする商品はハイエンド系であるかもしれませんが、ミドルレンジや廉価帯の機種は、商品の適切なライフサイクルを考えながら、最終的にはお客さまに還元できる価格を意識して投入タイミングを決めるのがいいと思います。
大沼氏 補足になりますが、スマートフォン単体だと購買動機はなかなか起こらないかもしれませんが、IoTの組み合わせで、「もっとこんな便利なことができる」という購買の動機を訴えていくつもりです。そこに事業者さんのサービスやコンテンツが付加してくることもあります。
―― 競合メーカーを見ると、グローバルの機種をそのまま持ってくる場合と、日本向けにカスタマイズしたモデルも出しています。安達さんがXiaomi Japanに加わった背景に、オリジナルのスマホを作るため、という話もあったと思います。そのあたりのロードマップは現状いかがでしょう。
安達氏 それに関しては、まだ何もお伝えすることができません。Xiaomiに入ってから約2年たちますが、発表した商品にはいろいろなフィードバックを生かしています。そういう意味では、少なからず貢献させていただいているかなと。その中で日本専用にするメリットは、日本のお客さまに喜んでいただけることもある一方で、Xiaomiの1つの強みである、グローバルでのスケールメリットは有利には働きません。そこは見極めて、投入する商品に反映させていきたいですね。
―― 今回発表したXiaomi 13Tと13T Proは、グローバルベースで、おサイフケータイやバンドの部分をカスタマイズしているのでしょうか。
安達氏 そうですね。カメラのライカ(Leica)の部分を除くと、いわゆるグローバル準拠のハードウェアになっています。差分はおサイフケータイの搭載。それからeSIMもあります。eSIMは、日本市場ではキャリアさんを中心にかなりご要望をいただいていまして、実はグローバルの展開国では、どちらかというとプラスチック(物理SIM)2枚のところが多いんです。
大沼氏 あとは、キャリアさんのソフトウェア仕様があるので、ソフトバンクさんなり、KDDIさんなりのソフトウェアの違いがあります。
ドコモも含めてキャリアは全方位で展開したい
―― 今回、KDDIでスマートテレビを独占販売し、ソフトバンクで(急速充電の)神ジューデン対応をうたうスマートフォンを国内(キャリアでは)独占販売としています。やはり、キャリアとの提携は認知拡大には欠かせないのでしょうか。
大沼氏 今は欠かせないですね。ソフトバンクさんもKDDIさんもしっかりしたお客さんを抱えていらっしゃる。ドコモさんも含めてですが、キャリアさんのお客さんを外すとなると、全体のマーケットが10%行くか行かないかなので。キャリアさんとの領域は大切にしていきたいですし、事業の1つの大きな柱だと思っています。
―― まだ製品が採用されていないドコモも加えて全方位でやっていくということですね。
大沼氏 そこは丁寧にご説明していきたいですし、われわれがまだ力不足なのかもしれませんが、考え方をお伝えする活動をやめることはないです。
―― 逆に楽天モバイルは何でも受け入れてくれそうな印象はあります。
安達氏 MNOとして非常にアグレッシブに展開されている事業者さんなので、継続的に話し合いはさせていただいています。
大沼氏 楽天さんも大事なお客さんなので、われわれの考えをしっかりと伝えていきます。どこの会社さんでも考え方は同じです。
安達氏 (楽天モバイルには)現状、1機種を販売いただいています。ですから3社、ご一緒できていますが、残り1社ですね。
―― Xiaomi 13Tと13T Proは(ドコモで使われている)5Gのn79には対応していないのでしょうか。
安達氏 今回の商品には、n79は搭載していません。グローバルの商品もn79は入っていませんが、グローバルで販売しているハイエンドモデルはn79に対応しているものもあります。技術としては持っていますので、今後の話し合いの進行状況次第ですね。
―― auでスマートテレビを売るというのは、KDDIもコンテンツ視聴を拡充させたいというイメージがあるのですが、家の中で見るとなると、Wi-Fiを使うので、(大容量プランを契約するなど)KDDI側のアップセルにはつながらないようにも思えます。方や、モバイル回線を使用した据え置きルーターもあるので、KDDIにとっても、アップセルにつながるという判断があったのでしょうか。
大沼氏 そうですね。今おっしゃったようなこともありますし、(Miracastで)スマホとつなげる際に容量が一番高いプランに入っておけば、ということもあります。そこに豊富なコンテンツもある。Xiaomiが掲げる「家庭に中心にテレビがある」という戦略が一致したということです。
安達氏 コアなゲーマーはハイエンドモニターを買いますが、普通に据え置きゲームをするなら、HDMIをつなげるだけで大画面モニターとして使えます。われわれが気付かない使い方を、ユーザーさんが見つけてくれるのではと思います。
―― auショップでもテレビは販売されると思います。テレビは大きなものですが、ショップで利用シーンを想起させる展示もあるのでしょうか。
大沼氏 お店の規模によって、置けるサイズも違うと思いますし、そこはKDDIさんと計画していくところです。
関連記事
携帯キャリアとの提携を強化するXiaomi 目指すのは「スマートなくらしを、すべての人へ」
Xiaomiが日本で一挙7製品を発表した。スマートフォンだけでなく、IoT家電も積極投入していく。携帯キャリアとの提携も強化し、「スマートな暮らしを、全ての人へ」というコンセプトを推進していく。「Xiaomi 13T」シリーズ国内発表 19分で100%まで充電可能な「13T Pro」も
Xiaomi Japanは新型スマートフォン「Xiaomi 13T」シリーズを発表した。エントリーモデルのXiaomi 13TはKDDIがauとUQ mobileで12月上旬以降に発売予定。ハイエンドモデルのXiaomi 13T Proはソフトバンクや家電量販店などが12月上旬以降に発売予定だ。Xiaomi Japanが「Redmi 12 5G」発表 2万9800円のエントリーモデル、auとUQ mobileも販売へ
Xiaomi Japanは新型スマートフォン「Redmi 12 5G」を発表した。国内通信事業者としてはKDDIがauとUQ mobileで10月6日から取り扱う。オープンマーケット向けモデルはビックカメラやヨドバシカメラなどの量販店が10月19日以降に販売予定だ。チューナーレスの「Xiaomi TV A Pro」、au限定で10月27日から順次発売
KDDIは、10月27日以降にチューナーレススマートテレビ「Xiaomi TV A Pro」を「au +1 collection」から順次発売。2024年1月8日まで購入者全員を対象に商品代金から最大1万6500円割引するキャンペーンを行う。Redmi Note 11で終わりではない Xiaomiに聞く、日本での“カスタマイズ”戦略
2022年の第1弾として投入した「Redmi Note 11」を皮切りに、Xiaomiは日本での事業を強化する。2021年には初のFeliCa対応端末の発売などでローカライズを進めたが、2022年はXiaomi Japan自体の体制を強化する方針。具体的には、社内の人員や流通、販路、マーケティングまで、その分野は多岐にわたる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.