INFOBARスマホはもう出ない? 「INFOBAR大百科展」で振り返る“デザインケータイ”の20年(2/3 ページ)
KDDIは東京都多摩市にある「KDDI MUSEUM」で、「INFOBAR 大百科展」を開催する。期間は10月30日~2024年1月19日。初日となる30日、au Design projectや、iidaブランドの製品を企画してきた事業創造本部 Web3推進部 エキスパートの砂原哲氏がINFOBARの秘話や、今後を語った。
スマートフォンとして進化を遂げたINFOBARの姿とは
2010年代以降はスマートフォンが大手キャリアのラインアップのほぼ全てを占める“スマートフォン全盛期”に突入した。INFOBAR初のスマートフォン「A01」の開発が進む傍らで2010年に「iPhone 4」が発売された。砂原氏は「iPhone 4は深澤さんのデザイン思想に通ずる部分があり、それをiPhone 4登場前に予測していた深澤さんはすごい」と評する。A01はもともと丸みを控えめにした板形状のiPhone 4に近いデザインだったため、(コンセプト)そのままの姿で世に出ることはなく、別の姿としてより丸みを帯びてカラフルな外装で2011年に発売されることになったという。
A01は中身もブラッシュアップされたスマートフォンならではのタッチディスプレイを生かし、縦スクロールで大きなタイルを一括して閲覧し、必要な情報やアプリへすぐにアクセスできる「iida UI」を採用。UI(ユーザーインタフェース)のデザインは中村勇吾氏が担当した。
ただ、A01は「Androidやプロセッサの性能がUIに追い付いておらず、メーカーやデザイナーがカスタマイズを施しても、動き(レスポンス)が鈍い、起動が遅い、などの体感につながってしまった」と砂原氏は反省点を述べる一方で、「これはOSの部分に起因するところが多く、われわれだけではどうしてもコントロールできない」と話す。
A01発売の翌2012年には「C01」が登場。砂原氏によると、CはClassicを意味する。INFOBARのハードウェアの良さをうまく生かし、ここであえてテンキーを復活させたという。当時、携帯電話ユーザーのために頑張ってストラップホールを設けようとするなど、あらゆる提案が出されたそうだ。スマートフォンとケータイの“いいとこ取り”をしたような製品だったが、サイズの制約から十字キーと発話/終話キーが省かれた。
2013年発売の「A02」は最近のスマートフォンでは当たり前になったアルミフレームをいち早く採用した。一方で「アルミの削り出しは難しく、アルミフレームをアンテナ代わりにするのも一苦労あった」と砂原氏。UIは「Windowsよりも先にタイルのようなUIにした(はず)」と冗談を交えながら、進化版の「iida UI 2.0」と名付け、写真やFacebook/Twitter(現X)のタイムラインを貼り付けられる点や、スクロールの速度に応じて形が変化し、ゼリーのような“ぷにぷに”とした動きを見せる点をアピールした。
「でもやっぱりボタンほしいよね」という声を受け、誕生したのが2015年発売の「A03」だという。ボタンは物理ではなくタッチセンサーで復活を果たし、下にボタンが並びそのすぐ上にディスプレイがある正面の見た目はA01をほうふつとさせるものだった。「モノとしての魅力」もいっそう高めるため、強化ガラスを透明樹脂で一体成形し、手に握れるようなフォルムを持たせたという。
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