タフネススマホ「TORQUE G06」は何が進化したのか その中身と「耐海水」の秘密を聞く(3/3 ページ)
京セラの「TORQUE G06」は、タフネススマートフォンとして現在も現役でありつづけるTORQUEシリーズの最新モデルだ。先代の「TORQUE 5G」からボディーが小型軽量となっただけでなく、カメラ機能も進化した。これら進化した点の詳細と、タフネスデバイスでは非常にまれな「耐海水」を掲げる理由を京セラに聞いた。
暗所や屋外でもディスプレイを見やすくする工夫
TORQUEシリーズには夜間モードが用意されている。これにより、夜間の屋外にスマートフォンを使用しても視力を保持できるよう、刺激の少ない色でディスプレイを表示する。映画で潜水艦の照明が赤くなる場面をイメージすると近いだろう。
夜間モードの色彩は、そうした映画でよくある「赤色灯」と比べると「オレンジ」に近い。山田氏によると、TORQUEの夜間モードは「ブルーライトを取り込んだ設定でiPhoneなどのナイトモードを黄色にするイメージに近い」色彩設計とした。「赤色灯のような極端な発色にすると、一般ユーザーにとって違和感が出てしまう」(山田氏)ためだ。
同様に、より暗い状況で刺激を少なくするモードも用意している。こちらは具体的な輝度(ニト値)は公表していないものの、Androidが標準で用意している機能をそのまま利用している。
実際に使っていてよくあるのが、「標準の輝度に戻したいが、夜が明けるとディスプレイが暗すぎて視認できない」という状況だ。このようなとき、カスタマイズボタンに割り当てられるアイコンなり設定項目なりが欲しいと思うユーザーは少なくないと思うが、京セラに確認したところ「ソフトウェア的に不可能ではない」とのコメントを得られたので、将来的にアップデートでの対応を期待したいところではある(取材時にそれとなく、いやはっきりと要望は伝えておいた)。
アウトドア利用におけるディスプレイの問題という意味では、偏光グラスをかけた状態でディスプレイが見にくいこともある。日中のアウトドア活動でサングラスの着用は必須だが、遮光効果の高い偏光グラスを着用すると、液晶または有機ELディスプレイの偏光フィルターと干渉して表示が暗くなってしまう、または色味が変わってしまって使いにくいという問題が出てしまう。
TORQUE G06は有機ELを採用しているため、液晶ディスプレイ搭載スマートフォンと比べて偏光グラスの影響は多くなる。この問題を回避するために京セラでは、画質設定、特にガンマ値の調整で屋外でも見やすいディスプレイ表示を目指している。「開発メンバーが、夏の炎天下の屋外で実際に調査していますので、そこは自信を持っているところです」(山田氏)
ヨット利用を想定した「Sailor's Log」アプリを用意
TORQUEシリーズでは、アウトドア活用における多種多様なシーンに合わせたユーティリティーを用意している。こうした機能では、個人的に関心を持っている「ヨット」はたいてい除外されてしまうのだが、さすがアウトドアを知るTORQUEシリーズだけあって、ヨット利用を想定した「Sailor's Log」を用意している。
Sailor's Logは、オイルスキンをはじめとするマリンウェアブランド「ヘリー・ハンセン」(通称“ヘリハン” 映画「彼女が水着に着替えたら」でもバンバン登場していた)がリリースしたアプリだが、ヨットシーンの利用場面の考案では、学生のヨット部に協力を依頼しているという。
登山利用ではプロアドベンチャーレーサーの田中陽希氏とのコラボグッズを製作した実績があるが、ヨットレーサーとして世界的に活躍している白石康次郎氏にもTORQUE 5G開発時にコンタクトを取った実績があるという。
TORQUEシリーズはなぜコンシューマーであり続けられるのか
京セラは2023年5月に個人向け携帯端末事業からの撤退を発表している。にもかかわらず、TORQUE G06が9月に発表されて11月からは“無事”個人向けの出荷が始まった。長谷川氏も「基本的には、法人さんにも(携帯端末を)提供し続けていきますので、TORQUEシリーズも続けていくということで」と今回の取材で答えている。
法人利用、アウトドア利用のいずれにおいてもその利用場面は多種多様で、それぞれに特化した事情は要望がある。京セラでもオーナーズイベントを積極的に開催しており、「TORQUE G06でも(2023年時点で存在しない)イエローカラーバリエーションを要望する声は多い」(長谷川氏)など、フィードバックの収集に力を入れている。
こうした「かゆいところに手を届ける」開発姿勢を継続する限り、TORQUEシリーズはユーザーの希望を具現化し続けていくだろう。
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