27日からの法令改正でスマホ割引はどうなる? 4キャリアの変更点と“今買うべき機種”(1/4 ページ)
12月27日から、電気通信事業法に関するガイドライン(総務省令)が改正される。これに伴い、端末割引は4万4000円までに制限され、端末単体割引も同様に制限される。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルで変更される(と思われる)端末割引施策をまとめた。
12月27日から、電気通信事業法に関するガイドライン(総務省令)が改正される。これに伴い、端末の売り方が変わる。端末販売に関する大きな変更点は以下の2つ。
- 端末割引を2万2000円(税込み、以下同)から4万4000円までに変更する。ただし4万4000円~8万8000円の機種は半額まで、4万4000円までの機種は2万2000円までの割引とする
- 端末単体の割引も同様に規制する
1については純粋な規制緩和で、8万8000円以上の機種は、追加で2万2000円の割引が可能になる。一方、2については規制強化に当たる。これまで、端末割引の規制対象となっていたのは通信とセットで販売する場合。電気通信事業法第27条の3の基本理念である「通信料金と端末代金の完全分離」と「行きすぎた囲い込みの禁止」からは逸脱しないため、端末単体の割引は規制していなかった。
しかし端末単体の購入に対して過度な割引を行ったり、転売が横行したりする問題から、端末単体の場合も、通信とセットで購入する場合と同様に割引が規制される。
では実際のところ、27日以降の端末割引はどのように変化するのだろうか。ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの発表をおさらいするとともに、各社にも確認してみた。
ドコモ:オンラインショップの端末割引を終了 いつでもカエドキプログラム主体の割引になる?
NTTドコモは、ドコモオンラインショップで実施している「オンラインショップ限定 機種購入割引」と「オンラインショップおトク割」を12月26日で終了する。これらの割引は単体購入も対象となっており、11型の「iPad Pro(第4世代、1TB)」と11型の「iPad Pro(第4世代、2TB)」は6万6000円割引、「Galaxy Z Flip4」は5万1700円割引が設定されており、4万4000円を超えるので改正法令に違反してしまう。
一方、「arrows N」は4万700円割引、「iPhone 14/14 Plus(512GB)」や「AQUOS R7」は2万2000円割引。いずれも定価が8万円を超えているので、一見すると問題ない割引金額に思えるが、端末購入プログラムの「いつでもカエドキプログラム」を併用すると、割引額が4万4000円を超えてしまう(恐れがある)。
同プログラムでは、端末を48回払いで購入し、返却すると、24回目に設定された残価の支払いが不要になる。端末を返却するので、買い取り価格に相当する金額は差し引く必要があるが、その差し引いた金額が「利益供与」と見なされるので、「残価-下取り価格」に「端末そのものの割引額」を合わせた金額が4万4000円を超えるとガイドライン違反になる。
例えばAQUOS R7の場合、23カ月目に端末を返却すると、残価の8万3160円が免除されるが、2年後の下取り価格が約3万6000円だとすると、約4万5360円の割引になってしまい、この時点で違反になる可能性が高い。オンラインショップ限定 機種購入割引の2万2000円を合わせると約6万7360円の割引になるので、明確な違反になる。ちなみに約3万6000円という下取り価格は、約2年半前に発売された「AQUOS R6」のドコモの下取り価格(2万1000円)に、R7の価格上昇率(約1.7倍)を加算している。
ドコモ広報は「法令の範囲内での残価および割引実施をさせていただきます」と回答しており、いつでもカエドキプログラムがある限り、単体購入を対象とした割引は厳しくなりそうだ。
オンラインショップ限定 機種購入割引とオンラインショップおトク割は26日23時まで実施しているので、対象機種で欲しいものがあれば、それまでに注文しておこう。特にGalaxy Z Flip4は1年前の機種ではあるが、オンラインショップ限定 機種購入割引+いつでもカエドキプログラムを適用して23カ月目に返却すると、実質4万480円で運用できる。
今後はいつでもカエドキプログラム主体の割引になりそうだが、このいつでもカエドキプログラムの残価も見直される可能性が高い。2023年9月以降に発売された機種は、より短期の1年での機種変更がお得にできる「いつでもカエドキプログラム+」を適用できるが、ここでは23カ月後に返却する例を見ていきたい。
23カ月目に返却して支払いが免除される残価について、「iPhone 15 Pro(256GB)」は10万8240円に設定されている。ここから4万4000円を引くと、6万4240円。つまり2年後の下取り価格が6万4240円以上なら、違反にはならない。参考までに、約2年前に発売された「iPhone 13 Pro(256GB)」のドコモの下取り価格は5万9000円。これに15 Proの価格上昇率(約1.1倍※13 Proの値上げ後価格と比較)を掛けると約6万6100円なので、これをiPhone 15 Proの下取り価格と考えれば、現状の残価は問題ないといえる。
一方、Androidの場合はどうか。「Pixel 8」は残価が8万5800円に設定されており、4万4000円を引くと4万1800円。約2年前に発売されたPixel 6はドコモは扱っていないので、ゲオの下取り価格を見ると128GBが約3万円。これに価格上昇率(約1.6倍)をかけると約4万8000円なので問題なさそうではある。ただ、Pixel 6並みの下取り価格なら違反になり、判断が難しい。リセールバリューの低いと判断する機種は、残価が減額される可能性があるので、26日までに購入する方がいいだろう。
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