中国vivoのカメラ特化スマホ「X100 Pro」を試す 10万円台でこの性能は驚異的(1/5 ページ)
vivoはここ数年で一気にカメラ性能特化の機種を展開し、業界トレンドをけん引するところまで登りつめたメーカーだ。「vivo X100 Pro」は中国向けの上位モデルだが、そのカメラ性能について詳しく見ていきたい。
ライカとのコラボレーションで躍進を続けるXiaomi、ハッセルブラッドとのコラボによって着実な進化を遂げるOPPO、制裁を受けてもなお高い評価を得続けるHuawei。中国メーカーのカメラ性能向上は、ここ数年目覚ましいものがある。
そんな中、ここ数年で一気にカメラ性能特化の機種を展開し、業界トレンドをけん引するところまで上りつめたメーカーがvivo(ビボ)だ。日本ではあまり知られていないメーカーだが、その実力はどれほどか。
今回は中国向けの上位モデルである「vivo X100 Pro」を手にする機会を得たので、レビューしたい。なお、vivo X100 Proは技適を取得していないため、総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用している。この制度を利用すると、技適のない海外の端末に対し、所定の届け出を行うとWi-FiやBluetoothの通信が180日間可能になる。
日本にはない「もう1つのZeiss監修スマホ」
vivo X100 Proはカメラ性能重視のスマートフォンだ。本体のスペックは以下の通りだ。
- プロセッサ……MediaTek Dimensity 9300
- メモリ……8GB/12GB/16GB
- ストレージ……256GB/512GB/1TB
- ディスプレイ……6.78型 2K+
- アウトカメラ……標準:5000万画素 F1.75 1型センサー、超広角:5000万画素 F2.2、望遠:5000万画素 F2.5
- インカメラ……3200万画素
- バッテリー……5400mAh、120W充電 無接点充電対応
画面サイズは6.78型と大型の部類となる。OLEDパネルを搭載しており、画面解像度は2K+だ。画面輝度もピーク時3000ニトとかなり高く、屋外でも視認性が向上した。若干のエッジを描くディスプレイとなっており、近年主流のベゼルを削ったフラットディスプレイではない。また、本体スピーカーはステレオ構成となっており、高音質での再生が可能だ。
本体はカメラを意識したデザインとなっており、色によって仕上げや重量が異なる。今回レビューのブルーはガラスパネルだが、本体には「星の軌跡」が意匠として描かれている。
プロセッサにはMediaTekの「Dimensity 9300」を世界初採用している。同社のAndroid端末向けプロセッサとしては最上位となり、Qualcommの「Snapdragon 8 Gen 3」にも引けを取らない高い性能を備える。
Dimensity 9300は高効率コアのCortex-X4とCortex-A720のみで構成されており、省電力コアが存在しない。一見電池持ちが悪そうな構成だが、同社は従来比で約20%の省電力化を達成したとしている。もちろん、基本性能だけにとどまらず、ISP性能やAI性能が向上したことで、カメラ性能の向上にも大きく寄与している。
搭載メモリは12GBまたは16GBと必要十分だ。冷却性能も向上しており、最新プロセッサとの組み合わせもあって、長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。ストレージもUFS4.0規格の高速なものが採用されている。これにより、省電力ながら高速の伝送が可能になっており、仮想メモリなどを利用してもパフォーマンスの低下を抑えられているという。
vivo X100 Proを使ってみると、最新ハイエンド機のためブラウジング、SNSや動画視聴といった動作にストレスは感じない。Dimensity 9300が優秀なプロセッサということもあり、本体の発熱も以前に比べて抑えられているように感じた。
例えばゲームでも「原神」のような高負荷なコンテンツを1時間ほど続けてプレイしても極端に「熱い」と感じることは少なかった。感覚的にはSnapdragon 8 Gen 3を採用する「Xiaomi 14 Pro」と同等レベルで快適に遊ぶことができた。
バッテリー持ちについては、他社の5000mAhクラスの製品と同等の印象だった。そのため、電池持ちはやや悪い部類と考えられるが、vivo X100 Proでは5400mAhと大容量のバッテリーを搭載したことでカバーした形だ。加えて、最大120Wの高速充電、50Wのワイヤレス充電と10Wのリバースチャージにも対応している。
なお、vivo X100 Proでは120Wの充電に対応している。ソフトバンクがXiaomi 13T Proなどで訴求している「神ジューデン」に近い仕様だ。中国ではXiaomiに限らず競合他社も充電速度をアピールする製品を展開しているため、「充電速度の競争」が起こっている。もちろん、急速充電に対応した充電器も付属する。
OSについてはAndroid 14ベースの独自UI「Origin OS 4.0」を採用する。HuaweiやXiaomiが近年アピールする「複数デバイスとのコネクティビティ」を重視するものではなく、端末の利用ログから各種最適化を行ってユーザー体験を向上させる思想が感じられる。変わり種の機能として、ロック画面の常時表示(AOD)の画像をAI生成で作成できる機能を備えている。
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